ジンジン
魔女は体の調子がなかなか治らなくて・・
夕べはららママから貰った人間の薬を目の前に置いて
自分の心の整理に時間をかけ
それを飲む決心をした
普通の人間より少ない量を飲んだのにも関わらず
ジョン ブリアン 「魔女、夕べ薬を飲んでから寝っぱなしだ・・」
インジゴ 「もうお日様はてっぺんを過ぎているよ・・」
アゾ 「ゴ、ゴハン・・ タベタイ、 ゴハン・・ チ、チョウダイ」
僕 「可愛そうに、お腹が減ったんだね」
ユリぼうず 「そんなことより、僕の薬の時間はどうなってるんだ!」
アゾ 「ゴ、ゴハン・・ タベルネ・・」
水玉 「魔女が起きてこなきゃ食べられないんだよ」
アゾ 「ゴ、ゴハン・・ タベル ダカラ 」
インジゴ 「《アゾ》、我慢しな・・」
アゾ 「 ゴ、ゴハン タベル ダ、ダカラ・・」
水玉 「仕方ないな・・ ちょっと待ってて、何か探して来るから」
それで《水玉》はベランダの戸を開け、下の家の屋根に飛び降り
お腹を空かせているみんなのご飯を探しに出かけた
その間も、お腹を空かせた《アゾ》はずっと泣いていた
しばらくして・・
猫特有の 「食べ物ですよ~」
の鳴き声が遠くから聞こえてきた
僕らは一斉にベランダの手すりに飛び乗って、声の方を眺めた
何かをくわえた《水玉》が、下の道を登って来るのが見えた
僕らは 「《水玉》~!」
とみんなして声を張り上げて呼んだ
《水玉》は 「食べ物ですよ~」
と鳴き続けながらこっちに向かって走り出した
口に大きな袋をくわえて
上手くピョンピョンと壁やら屋根やらに飛び移りながら
それをベランダまで運んで来た
そして僕らの前に袋を置いた
煮干だ・・
それは使いかけだったけど
みんなで分ける分くらいはあった
《水玉》は袋を僕らの前に置くとお部屋に入ってしまったから
僕が歯と爪でそれを破いた
真っ先に《アゾ》が食べ始めた
「う~ぅぅ~!うぅ~!」
と唸りながら・・
こんな時、《アゾ》はまだ半分ノラなんだな・・ って思う
それでも、周りで僕らが煮干をくわえても何をするわけでもない
《アゾ》はただ無意味に唸っているだけだ
《ユリぼうず》は・・
それは自分が食べてはいけないものだと知っているから
《水玉》と一緒にお部屋にいた
小さい《アゾ》に好きなだけ食べさせたから
僕らのお腹はちっとも一杯にはならなかった
ジョン ブリアン 「魔女はどうしてなかなか病気が治らないの?」
僕 「どうしてなんだろうね・・」
インジゴ 「薄着だからじゃない?」
水玉 「そうだね・・ そういえば薄着だよ!」
僕 「外に行く時も少ししか服を着ていなくて寒そうだよね」
インジゴ 「他の人間みたいに暖かそうなの着ないよね」
ジョン ブリアン 「魔女は僕らみたいに毛が生えていないのにね」
インジゴ 「貧乏だからじゃない?」
僕 「でも、この前の冬は着てたよね・・」
ジョン ブリアン 「着てた! 暖かそうなの、着てた」
水玉 「今の冬はなんで着ないんだ?」
インジゴ 「でも、昨日《ユリぼうず》を病院に連れて行く時はちょっと暖かそうなの着て行ったよ」
ジョン ブリアン 「あれは、家族①の服じゃん!」
そんな話をしている最中に
家族①が帰って来て
元気のない僕らの様子に驚いて
魔女を起こしに行った
魔女はふらふらで、引きずられるようにしてお部屋に入って来た
そして家族①に説教をされたが
ちっとも聞いていなかった
家族① 「魔女、薄着してるんだって?! そんなだから病気が治らないんじゃん!」
魔女 「・・・」
家族① 「その椅子にかかってる服、私のよね!」
ジョン ブリアン 「やっぱり・・」
魔女 「・・」
家族① 「自分のガあるでしょ! どうして自分のを着ないの」
魔女 「・・」
家族① 「こら!座ったまま寝ない、 何でそんなに薄着なの!」
魔女 「去年・・ コートとか、ふ・・冬物の暖かそうな服を・・どこに納まったのかわかんない・・」
家族① 「・・? どこにしまったのかわかんない?」
魔女 「わかんない・・」
家族① 「探したの?」
魔女 「あちこち探した・・」
家族① 「ないの・・?」
魔女 「ない・・」
僕ら&家族① 「・・・」