ジョン ブリアン
このところ、アトリエでちょっとした評判になっているのが 《水玉先生》 だ
《水玉》 はいつも教室の椅子に座ってみんなの様子を見ていた
けど、それでは首を伸ばしても、頭がやっと机の上に出るくらい
ある日、生徒のたまちゃんのおひざに乗り
机にひじをついて、みんなの様子を眺め始めた
それは 《水玉》 にとって、なかなか気分が良かったらしく・・
すっかり癖になってしまった
さあ、始めようか!
違う曜日にも誰かのおひざに飛び乗り
生徒の様子をジロジロと眺めた
ちょっと君、ちゃんと描きなよ
よそ見をして絵を描いていない子がいると
おひざから机に上がって
偉そうにして、その子に注意をし始める
っていうか
「描かないなら僕は君のスケッチブックの上で寝てしまうぞ!」
と脅すんだ
生徒 「魔女先生~! 《水玉》 がスケッチブックの上に乗っかって絵が描けないんですけどぉ」
魔女 「絵を描かずに何か他の事やってたでしょう」
生徒 「・・・」
魔女 「ちゃんとやりなさい」
生徒 「ちゃんと描く!」
魔女 「じゃあ、《水玉》、どいてあげて」
すると 《水玉》 はスケッチブックからどいて、おひざに戻る
ジンジン 「以前は 《今日ちゃん》 の役目だったのにな・・」
僕 「《今日ちゃん》 がやってたの?!」
ジンジン 「うん、《今日ちゃん》 はアトリエで暮らしてたんだ」
僕 「僕らと一緒にお部屋にいたじゃない」
ジンジン 「それは病気が重くなって僕らを襲えなくなったからなんだ」
僕 「そうなんだ・・」
ジンジン 「《今日ちゃん》 は僕らと一緒には暮らせなくて、魔女と一緒にいられる時間が少なかったんだよ」
僕 「かわいそう・・」
ジンジン 「だからアトリエの時間がすごく楽しみでさ・・ 魔女を喜ばせようと一生懸命働いてた」
インジゴ 「そうだったわね・・」
ジンジン 「アトリエの子供たちも事情を知って、《今日ちゃん》 をもの凄く可愛がってくれたんだよ」
ユリぼうず 「冬は誰かが自分のジャケットを敷いて 《今日ちゃん》 を寝かせてあげると、ほかの子が自分のマフラーを上にかけてあげたりしてた。 それを見て僕はずいぶんやっかんだもんだ」
インジゴ 「だからあの頃の子供たちのスケッチブックには 《今日ちゃん》の絵がいっぱいあったよ」
ユリぼうず 「モデルの仕事の時は、絶対に動かずにいたよね。
僕、スゲ~!と思ったもん」
ジンジン 「アトリエのみんなが 《今日ちゃん》 を大事にしてくれた」
僕 「みんなに優しくしてもらって、《今日ちゃん》 は幸せだったね」
ジンジン 「アトリエの 《今日ちゃん》 は本当に楽しそうだったな」
アトリエで、電話対応中の《今日ちゃん》 2002年冬
僕 「それで 《水玉》 は 《今日ちゃん》 の真似をしているのかなあ」
ジンジン 「いやぁ~・・ あれは 《今日ちゃん》 とはだいぶ違うな」
ユリぼうず 「子供が言う事聞かないと怒ってるもの」
ジンジン 「恐い顔してね」
ユリぼうず 「うん、確かにいばってるよね。 机にひじついてさ」
僕 「《今日ちゃん》 と違ってきびしい先生なんだね」
ジンジン 「本人はなかなか気に入ってるようだけどね」
《水玉》 は今、アトリエの生徒たちに 《水玉先生》 と呼ばれ
とてもいい気になっている
そこの君、立ち歩かない!!