ジンジン
今日は日曜日
家族①は早起きして出かけ
風邪っぴきの魔女はいつまでも寝ているので
家族②が朝から宅急便などの対応に追われている
魔女・・いい加減に起きなよぉ
僕は魔女の部屋の前でしつこく鳴き
ガラガラ声の魔女にしこたま怒鳴られた
それからしばらくして、やっと冴えない顔で魔女が起きてきて
ベランダに出た
魔女 「今日はいい天気だな・・」
アゾ 「マ、マジョ・・ ヨウコソ・・ ア、アジョノ ナワバリヘェ~」
魔女 「・・いつからベランダが 《アゾ》 の縄張りになった?」
アゾ 「マ、マア・・ ココノ イスニ ドージョォ~」
魔女 「あ、はい・・」
アゾ 「ド-ジョ~ ゴユックリ ナシャマシテェ~」
魔女 「で・・いつから?」
僕 「《アゾ》 はさ、外に出られないじゃない、だから僕らは 《アゾ》 だって縄張りが欲しいだろうな、って思って・・」
ジョン ブリアン 「正確に言うと 《ユリぼうず》 以外の猫で話し合った」
魔女 「え・・ 《ユリぼうず》 は反対したの?」
水玉 「そうじゃないよ、ただ・・ 《ユリぼうず》 はそういう猫の常識っていうものがまったく分からないからさ」
僕 「だって 《ユリぼうず》、《ぞうきん》 や 《はなくそ》 や 《ぽち》 の縄張りにまで平気で足を踏み入れているんだよ」
水玉 「そして、無傷で帰って来るんだ・・」
アゾ 「コデ・・ メ、メダカシャンノアッカチャンデ ゴジャマシュ~」
魔女 (知ってるわよ・・ 魔女が運んできたんだし)
アゾ 「ココニィ~ イシャシェテ ゴジャマシュ~」
魔女 「はい、あなたの縄張りに置かせて下さってありがとう!」
ユリぼうず 「だれか、僕の噂した?」
僕ら 「・・・」
僕 「あ・・ それはそうと、《ユリぼうず》 その後からだの具合どお?」
ユリぼうず 「・・・?」
ジョン ブリアン 「ほら、苦しがってたじゃない、おしっこが出ないって」
ユリぼうず 「あぁ・・ 病院に行った」
水玉 「それは知ってるよ」
インジゴ 「それからの体調はどうなの?って聞いてるの」
ユリぼうず 「病院に行ったからね」
インジゴ 「だから?」
ユリぼうず 「治ったんじゃない?」
インジゴ 「病院に行ったからって、そんなに簡単に治るの?!」
涼子 「単純なのよ」
僕 「そういえば、あんなに苦しんであちこちにおしっこしまくって、涙流しながら病院に行ったのに・・」
涼子 「病院から帰って来たらそれまでの事なんて嘘のように腹出してガーガー寝てたよね」
魔女 「すべて条件反射だよ・・」
ジョン ブリアン 「じょうけんはんしゃ?」
魔女 「《ユリぼうず》 はあの晩、ビニール袋の取っ手が、多分最後にはおしっこの溜まるところらへんに食い込んだんだ。 それが膀胱に石が溜まって苦しかった症状に似ていて、それを思い出してしまったんじゃないか? それで自分はまたその病気になったと思い込み、慌てておしっこ出しまくって、それで膀胱が空なのに、『出ない!出ない!!』 と焦って、それでも必死で搾り出そうと焦り、挙句、勝手に 『おしっこ出ない病』 を作り上げてしまったんだ」
水玉 「妄想の世界か・・」
僕 「わかった! 病気の度に病院に行って治ったから、今度も病院に行ったという、思い込みで治った気になってるんだ」
ジョン ブリアン 「それは、実は治ってないって事?」
魔女 「いや、そうじゃなく・・ さっぱりわからん・・」
ジョン ブリアン 「全部思い込みだったの?」
魔女 「多分ね。 動物病院で支払いしたら、 こんなにひどい風邪にかかっているのに、魔女が病院に行くお金がなくなっちまったよ・・」
ドタドタ! ギャーギャー!! ドッチャン! ガッチャン!!
インジゴ 「魔女-、大変! 《ユリぼうず》 が 《アゾ》 の縄張りで 《アゾ》 を襲っているよぉー!!」
魔女 「こらあ~!!」
ユリぼうず 「」
アゾ 「アッ、アッ、アジョガア~ セッカク ウッ、ウッ、
モッ、モラッタ ナワバリナノォニィィィィ~ 」
魔女 「・・・ 《アゾ》 聞いて! 言っておかなきゃならない事があるの・・」
アゾ 「・・・」
魔女 「実は 《ユリぼうず》 は・・ 猫じゃないんだ」
アゾ 「・・・ ]
魔女 「《ユリぼうず》 はね・・ モグアイっていう種類の生きもので・・」
インジゴ 「そう、猫じゃないの・・ つまり猫のルールは通用しないのよ」
水玉 「だから 《アゾ》 、諦めろ・・」
アゾ 「 」