水玉
もうすぐハロニャン
我が家では、お誕生日より、クリスマスより、お正月よりもテンパる日
玄関の表にはおばけや黒猫付きのモールが飾られ
中には、怪しい置物が並ぶ あ・・怪しい置物は1年中並んでるな
そこに生徒が書いた 『今日ちゃんのハロウィン』 という絵が足されるんだ
その絵は今度紹介するね
玄関の敷物はジャック リャンタンに黒猫が乗っかってて、夜空にコウモリが飛ぶ、という柄のものが敷かれ
お部屋にはかぼちゃがぶらぶら垂れ下がり
魔女はハロニャン パーリーに向けてメイクの練習をする
僕 「魔女、何やってるの?」
魔女 「顔を恐ろしく変えるのよ。 パーティーに向けてね」
ユリぼうず 「なら、そのままでいいじゃん」
魔女 「・・・」
ユリぼうず 「そのままで十分!」
魔女 「こ、この恩知らずがあ~!!」
「どんな顔にしようかな・・」
なんて独り言を言いながら、鏡に向かって
顔にペンで何やら描いてるよ
気味悪い・・
ひとりでケヘケヘ笑ってる
しばらくして・・
突然、後ろを振り返り・・
僕 「うわああああ~~~!!」
ジョン ブリアン 「びぇえええ~~!!」
僕の目はまん丸のまま動かなくなって
《ジョン ブリアン》 はびぇ!びぇ~!叫びながらベランダに逃げた
《ジンジン》 はぎゅーっと目をつぶって、すべてを忘れようとし
《インジゴ》 は体をななめにしたまま動けなくなってしまった
まるで足に接着剤がくっついてしまったように見える
そして、 《アゾ》は・・・
その場で腰を抜かしてしまった
ただ・・
《ユリぼうず》 だけは
その顔がえらく気に入ったらしく
なんだかウルウルした目で見つめている
その挙句、スリスリまでして・・
魔女はそのまま日なたぼっこを始めた
そしてポランターの草(プランターの植物)に水をあげたり
お部屋を片付けたりした
ピャンピョ~ン ピャンピョ~ン
黒猫のお兄さん 「魔女さ~ん、宅急便ですよー」
魔女 「はい、は~い」
僕ら 「まっ、魔女!!」
魔女 「宅急便なの、ちょっと待っててよ!」
玄関で箱の落ちる音がした
黒猫のお兄さん 「サッ、サ、サインを くっ、下さい・・」
魔女 「黒猫のお兄さん、なんだか今日は様子がおかしかったよ」
僕ら 「・・・」
魔女はとっくに自分の顔の事など忘れている
僕らは自信を持って言える
このまま鏡を見なければ、魔女は2度とその顔の事は思い出さない
不思議な事に
そのうち僕らはその顔に慣れてしまって・・
魔女の顔は僕たちにとってまったくふつうになった
夕方、魔女の家族たちが帰って来た
家族は、魔女を見てもフツーで・・
今日外で見かけた野良猫の話をしたり
また、テレビを観るのに犯罪物にするかアニメにするかで魔女ともめたりしてた
その後、夕食を食べながら
家族② 「そういえば、魔女は今日は口が裂けてるんだね」
家族① 「あら、ほんと、裂けてるねぇ」
魔女 「・・・そお?」