ジョン ブリアン
まじょが、まだお日さまもでていないのに起きるなんて
ぼくは、あたりのぜんぶがおどろいて世の中がちがう色になっちゃうんじゃないかと思った
そして、【きょうふのふくろ】をひきずって家を出るまじょを
それぞれがへんてこりんな顔をして見送った
その日
たっきゅうびんがやって来た
ピャンピョ~ン ・ ピャンピョ~ン
ジンジン 「誰か来た・・」
ぼく 「何かが来た・・」
家族① 「宅急便だったよ」
ぼく 「そっか・・」
家族① 「逗子の・・」
ユリぼうず 「・・・ボス?」
家族① 「わかんない・・ でも多分そうかも」
ぼく 「ボスだよ! 早くあけて!」
家族① 「魔女に来てるから勝手に開けられない。 魔女が帰って来るまで我慢してて」
たっきゅうびんは毎日つくえの上においてある
だからぼくは毎日、それだけはわすれなかった
水玉 「何か・・ 気になるね」
ぼく 「なるね・・」
ユリぼうず 「開けちゃう?」
ぼく 「あけちゃう?」
ジンジン 「やめなよ」
ユリぼうず 「家族①、今日はいません」
水玉 「なら開けても誰がやったかわかんないから、誰を怒ったらいいかもわかんないし、誰も叱られないかもね」
ぼく 「 《水たま》 って頭いいね!」
ジンジン 「それってさぁ、《伐》的発想だよね・・」
インジゴ 「逆にみんなが叱られるって事もあるんじゃないの?」
ぼく 「 《インジゴ》 はもっと頭いいね!!」
水玉 「じゃあどうするのさ、開けないの?」
ユリぼうず 「僕、開けます」
それから 《ユリぼうず》 はためらいもせずテーブルにのっかっていたたっきゅうびんをじょうずにいすの上に落っことした
これから悪い事をするくせに、【テーブルに乗っちゃいけません】 という言いつけをきちんと守るところがぼくにはうんとおかしかった
箱はそのままの形でじょうずにいすに落ちた
《ユリぼうず》は、箱のてっぺんの真ん中らへんにつめをつっこんで、すぅい~と引いた
ぼくと 《水たま》 もおもしろがってちがうところをつめでカリカリしてみた
はこはじきに開いた
中をのぞいて、みんなで感動した
みんな 「わあ~! すご~い!!」
水玉 「やっぱりね!」
ジンジン 「うん、微かだけど匂うねぇ、カリカリだよ」
ぼく 「こっちのかんづめの形は高きゅうな物だね!」
水玉 「やっぱり僕らに送って来たんだったじゃん!」
インジゴ 「缶詰は心配ないけど、カリカリは危ないよね」
ジンジン 「誰か泥棒食べしちゃいそうな猫がいたよねぇ」
インジゴ 「交代で箱の見張りをしたら?」
水玉 「それは危険じゃないか? 見張り番が食べちゃったらどうするんだよ」
ジンジン 「それは自分の事かい?」
水玉 「何だって! もう一度言ってみろ!」
ここで 《ジンジン》 と 《水たま》 がけんかになった
いつの間にか実家に顔を出しに来た 《りょうこ》 が
よけいな事に、とちゅうから 《水たま》 の味方をしたものだから
けんかはどんどんはげしくなってしまい
2匹はそれから口も聞かなくなってしまった
どういうわけか、《ユリぼうず》 が見はりばんをする、という事が大さわぎの中でかってに決められた
それはきっと、《ユリぼうず》 がおくすりご飯以外食べられないねこだからだったのと、毎日家でグダグダしてばかりだからなんだと思う
その日、帰って来た家ぞく①は
箱のてっぺんがぽっくり開けられたたっきゅうびんを見て
(思ったとおりだ・・)
みたいな顔をした
さいしょのうち、《ユリぼうず》 はこわい顔をしてたっきゅうびんの見はりをした
そしてぼくらが近づくとにらんだ
でもそのうちには、毎日箱の前でねむってた
でも・・
《ユリぼうず》 いがいのぼくらはじきに気づいたんだ
箱を見はるひつようなんてなかった事に
だって
食いしんぼうの 《ばつ》 はもういないんだ・・