涼子
昨日の魔女の話を聞いて、私は怒った
自分の気持ちをどう表したらいいかわかんなくて
おでこにしわを寄せてもの凄い声で唸ってみた
それでも足りなくてそばにあったティッシュの箱を蹴った
それでも気が済まなくてテーブルの上に乗ってそこにあった物を片っぱしから落っことした
イライラして 《ジョン ブリアン》 をぶった
ついでに 《インジゴ》 もぶっといた
みんな私を恐がって部屋の中を逃げまわった
最後に、私が 《水玉》 にぶたれた
私はテーブルの下でいじけて・・
それで・・
どんなに暴れても気が済まないことが分かった
私 「お化け屋敷がなくなるなんて、嫌だから」
水玉 「イヤなのは 《涼子》 だけじゃないんだよ! 《インジゴ》 だって、お化け屋敷からビワの枯葉を運ぶ事がたったひとつの楽しみなんじゃないか」
私 「イヤだ!イヤだ!イヤだ」
ジョン ブリアン 「 『お化けやしきをなくさないで!』 って、がんばったら?」
魔女 「地面や家って、どこもかしこも人間のものなんだよ、持ち主以外が勝手にはできないんだ」
ユリぼうず 「僕らのものはないの? 《もりやさん》 たちや虫さんたちのための場所はないの?」
魔女 「たま~に、生き物達のための森があったりするけど・・」
ユリぼうず 「ここらへんにはないの?」
魔女 「ない・・」
ユリぼうず 「とかげさんや虫さんは住む所が壊されたからって、遠くまでは行けないよ・・」
インジゴ 「人間以外の生きものには地面を分けてくれないの?」
魔女 「・・・」
インジゴ 「分けてはくれないんだ・・」
水玉 「人間は誰に断って地面を自分の物にしたの? 人間が来る前にそこに住んでた生きものに 『いいですか?』 って聞いたの?」
魔女 「勝手に自分の物にした・・」
ユリぼうず 「人間は強いから? だから弱いものいじめるの?」
魔女 「この家も元々いた多くの生きものの住処を壊して建てたんだよ・・」
私 「それで魔女は罪滅ぼしに生きものに親切にしてるんだ!」
魔女 「それもある・・ いつもごめんなさい、って思ってる」
ジンジン 「テニスコートも梅林もなくなってしまって、散歩道にも次々と家が建って・・ お化け屋敷もなくなったら、僕らはもうどこも行くとこないね・・」
私 「化けて出てやる! お化け屋敷が壊されたら、私、梅ノ木やビワの木たちと一緒に化けて出てやる!!」
ジョン ブリアン 「 《涼子》、お化けになっちゃうの?」
私 「こうなったら、何にだってなってやるわよ!!」
ユリぼうず 「 《伐》 がいたらよかった・・ そしたら選挙にりゃっこうほ(立候補)して生きものの権利、っていうのを言ってくれるはずんだったんでしょ」
水玉 「 《伐》、張り切ってたね・・」
夜中に・・
私はひとりでお化け屋敷の庭を走り回った
めちゃくちゃに走った
「人間来るな! 人間来るな!」 と泣きながら
すごい勢いで走り回った