トミニャガさんとベス | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ユリぼうず


yuri0722

それでその日、夜なのにトミニャガさんは飛んで来た



トミニャガさん 「魔女さん! 《ベス》 はどこにおりますの?!」


魔女 「お化け屋敷です」


トミニャガさん 「お化け・・屋敷???」


魔女 「ご案内します」


トミニャガさん 「嫌ですわよ!こんな夜に」


魔女 「じゃぁ 《ベス》 の事は良いんですね」


トミニャガさん 「・・・」


魔女 「まぁ、どっちみち行ってもこの時間じゃあ真っ暗で何も見えないと思いますが・・」


トミニャガさん 「本当にそこに居るんですわよね!」


魔女 「間違いなく・・」


トミニャガさん 「い、行きますわ・・」



魔女を先頭にトミニャガさん、僕たちの順でお化け屋敷に向かった

魔女と僕らはぜんぜん平気なのに、トミニャガさんは大変だった


先ず、お化け屋敷の庭に入る階段で足(スネ)をイヤと言うほどぶつけた



トミニャガさん 「どっぴゃあぁぁぁ~~ いっ、いっ、痛ぁいー!! 魔女さん、懐中電灯ございませんの!?」


魔女 「うちにはありません」


トミニャガさん 「なんで?」


魔女 「貧乏だから」


トミニャガさん 「む、むむ・・・」



階段を登ったところで今度はイバラのトゲにバリバリ引っかかれて、トミニャガさんはひーひー叫んだ

そして魔女が歩くのが早いと泣きそうな声で文句を言った


トミニャガさんは、魔女のシャツを必死でつかみ、その背中にしがみつき、ちょこちょこ歩きでもって引きずられるようについて行く


いよいよアパートの2階に上る階段だ

この階段はぼろぼろの鉄とかいうので出来ていて(最初からぼろぼろの鉄だった訳じゃない!)


トミニャガさんがガタガタ震えながら上るからなのか、それともちょっぴり太っているからなのか、その後に続く僕たちの頭や背中にぼろぼろと鉄の屑が落ちてくる


グアッシッ!


トミニャガさん 「ひぇ~!! 階段が抜ける!」


魔女 「落ち着いて! 出来るだけ階段のはじを登って下さい」



やっと2階に着いた

僕たちは体に付いた大量の鉄くずを、ブルブルして飛び散らせた


僕の利き手から3(向かって右から3番目)が 《涼子》 の部屋だ



魔女 「この部屋です」


トミニャガさん 「《ベス》! 《エリザベス》!! 

そこにいるの? 出ていらっしゃい」



ガタドンガタドン

トミニャガさんは暗がりの中で扉の取っ手を見つけ、必死に引っ張った



魔女 「鍵がかかってます」


トミニャガさん 「あ・・開きませんの?!」


魔女 「諦めましょう」


トミニャガさん 「じゃあ、《ベス》 はどこから入ったんですか!」


魔女 「扉の隣の割れた窓からです」



トミニャガさんは割れた窓から部屋の中に向かって 《ベス》 の名を呼び続けた

けど・・部屋の中はシ~ンとして



トミニャガさん 「魔女さん、本当にこの部屋に 《ベス》 がいるんすか!」


魔女 「100円賭けます? あ、千円でも良いです」


トミニャガさん 「こんな時に何をおっしゃってるの!」


魔女 「じゃあ、1000円で 《ベス》 がいることを証明する、ってのは・・」


トミニャガさん 「魔女さんっ!」


魔女 「わかりましたよ・・ じゃぁ、良く聞いてて下さい・・ 

ちゅ、ちゅちゅ・・《ベス》・・」


ベス 「ナ~オォォ・・」


トミニャガさん 「うわぁ! ベスゥゥゥゥ~~~!! 

出てらっしゃい! お刺身あげるから」


シーン・・


ベス~! ・ シ~ン   ベス~! ・ シ~ン


これが繰り返され

トミニャガさんが疲れた

そして、今夜のところは諦める事にしたみたい


帰り道も、トミニャガさんは鉄の階段から鉄くずを大量にこぼしたり

もう一度いばらに引っかかれたり

出口の階段で尻もちをついたりして・・


魔女の家に戻って、トミニャガさんを見た僕らはのけぞった

頭はクモの巣だらけで、髪の毛はムチャムチャ

スカートがちょっぴり破け、いばらのせいで手や足からは血が出て

魔女にしがみ付いてたせいでシャツ(ブラウス)は全部外に飛び出していた



今日は疲れちゃったから、ここまでにするけど

この後のトミニャガさんの発言が魔女に災いをもたらすんだ