インジゴ
魔女 「なに・・ 今日も魔女のことを書くの?」
私 「うん!」
魔女 「もう・・ いいよ」
私 「ダメ! 今朝びっくりしたんだから」
何日か前から、魔女が夜とか朝とかに顔を洗った後につぶやいていた
今朝もそう・・
魔女 「ここの所、顔を洗うとスースーするんだよね・・」
私 「スースー?」
魔女 「うん、スースー・・ しかもこの洗顔料、ぜ~んぜん落ちないし!」
家族① 「わぁ・・ 魔女、 なにやってんの!」
魔女 「見りゃわかるでしょ、顔洗ってるのよ」
家族① 「なんで?!」
魔女 「なんで・・って、朝だから」
家族① 「そうじゃなくって!何を使って顔を洗ってるのか聞いてるの!」
魔女 「へ?・・」
家族① 「良く見てみ、それなに?!」
魔女 「洗顔料・・ じゃな・・・い?」
家族① 「ここのところ練り歯磨きの減り具合が激しいと思ったら!」
今日は雨と風が強くて、私たちはお部屋から出なかった
午後はアトリエの展覧会のための絵をギャラリーに運ぶことになっているらしく、魔女はいまさら焦ってドタバタしている
玄関のドアを開けて離れのアトリエに絵の額を取りに行こうとして・・
魔女にくっついて移動していた 《ユリぼうず》 が何かに気づいた
ユリぼうず 「魔女、なにか落っこちているよ・・」
魔女 「なに?」
ユリぼうず 「キラキラしたものが付いていて、きれいなもの・・」
魔女 「なによ、 ん・・・・ ん? えっ!」
ユリぼうず 「なに、これ?」
魔女 「こ、これは・・ えっと・・ ドアに付けておいた・・ お、お正月の松飾り・・だわね」
私 「だってお正月は・・ず~っと前に終わったんでしょう」
魔女 「・・・」
ユリぼうず 「はずすの、忘れちゃったの?」
魔女 「うん、完全に忘れちゃってた・・ 風で飛ばされなきゃずっと忘れたままだった・・ 風さん、どうもありがとう 」
ちょっと前なんて
魔女の家では、人格別に髪を洗う洗剤がまちまちで
それぞれがマイ シャンプーとかを持っている
ちなみに私たちも猫用シャンプーを持っている
その頃、魔女の髪は今よりもっとバサバサで・・
家族① 「ねぇ、魔女、前から思ってたんだけど、なんで私のシャンプーの隣にいつも液体の洗濯洗剤が置いてあるの?」
魔女 「そんなの置いてる訳ないじゃん」
家族② 「あるよ、ほら!」
魔女 「・・・ なに・・ それ、洗濯洗剤・・ なの?」
家族① 「・・・ えっ、なに? 魔女ひょっとしてこれで髪洗ってたの? そ、それでここのところずっと髪がバサバサだったの?」
魔女 「シャンプーに見えたから・・ 買って来たんだけど」
家族② 「どうしたらこれがシャンプーに見えるのよ、 信じられない!」
魔女 「なかなか泡立たないかった・・」
家族① 「あったりまえでしょうよ!」
こんな事も朝飯前で・・
魔女 「ねぇ、《ユリぼうず》、 《ユリぼうず》 ったら~」
家族② 「ちょっといいかな? 魔女、誰に話しかけてる?」
魔女 「 《ユリぼうず》 ・・」
家族② 「良く見てみ、魔女が話しかけてるの・・ 家族①だよ」
魔女 「・・・」
家族① 「もう、いい加減にして! なんで毎回毎回 《ユリぼうず》 と私の名前間違えるのよ!」
しかもそのズボラさは天下一品で・・
大雨が降ると、雨水を利用して突然車を洗いだす
ついでにベランダのモップ掛けもやりだす
ぽかぽか陽気の日には眠る
ニコニコ笑いながらひたすら眠る
私たちがしっかりしているのは
こんな魔女と生活しているからなんです