ある雄猫の物語 Ⅵ  ~ 父親として ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

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小さな子供たちが、また段ボールの箱の中に入る練習をし始めた


すると《なぉなぉ》が、今度は子供たちが入ったままの箱に飛び込み

子供たちを入れたまま箱を90度倒し、開いている部分を壁に付くように向けた


子供たちが中で暴れると思いきや

4匹の子供たちと《なぉなぉ》の入った箱は、4分の1回転をしたまま微動だにしなかった

まるで段ボールの箱が、風に飛ばされて横倒しになり壁にくっ付いてしまったようにしか見えない


果たして子供たちは本能的に事態の学習をするものなのか・・


次に母親と姉の猫が《なぉなぉ》がやったのと同じ事をした

その時も、それまでぴゃーぴゃーと騒いでいた子供たちは

箱が横倒しになされたとたん、中でシン・・となった


次に《なぉなぉ》は・・

玄関先に置かれていた持ち手の付いた空の紙袋に近寄り

突然その中に飛び込んだ


紙袋を倒すことなく、クシャクシャにもせずに・・

覗き込むと《なぉなぉ》は紙袋の底にじっとうずくまっていた


彼はまたそこから袋の形を全く崩さないまま飛び出してきた

空の紙袋は立ったままである


さすがにこの行為は子供たちには無理があった


それで魔女は小さな紙袋を子供たちに与えてみたが

まもなくそれはくちゃくちゃにされてしまい用をなさなかった


大きな紙袋に飛び込むという方法は、母親と姉の猫が試みた

しかし、なかなか《なぉなぉ》のようには行かなかった

何度も交代でやっていたが上手く出来ない

軽い紙袋に体が当たって倒れてしまうのだ


倒れてしまった紙袋を見つめながら

暫くじっと考えていた母親が

倒れたままの袋に入って行き

一番奥まで入った所で、袋の底の部分を踏んで体重をかけ

驚いた事に、紙袋を立たせた


段ボールも、紙袋も、その状態にある限り

傍目には、ただ何気なくそこに置かれているとしか見えなかったし

ましてや、中に猫が潜んでいるなどは誰も想像しないだろう



それらは冷たい冬には彼らを北風から守り

それ以上に彼らを敵から身を守る術であった


《なぉなぉ》は暗くなってもなお、様々な方法を家族に試させた

まるで生き急いでいるかのように・・



次回に続く