プロとしての洗剤の取り扱い方⓶ 「保護具を使用せよ」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「アイソレート(isolate)する感じ」

今回の施行規則の変更の大きな改善点は「ばく露防止」です。洗剤は化学物物質なので、被爆をなるべく避ける必要があります。英語では「isolate」と言う言い方をします。日本語に訳すと「隔離する」と言った訳語が出てきます。即ち、「洗剤と自らを分け隔たせる」と言ったニュアンスになるのです。私が初めてアメリカへ行ったのはもう40年以上前になりますが、その頃から手袋や場合に寄っての(=目に入る可能性のある作業の場合)ゴーグルの着用は常識でした。最初は戸惑いましたが、その内それが当たり前になり、我が日本では一向に手袋着用をしない事に「大丈夫かな」といつも思っていました。そして機会あるたびに手袋着用を訴えましたが、当時はなかなか理解されませんでした(今は大分よくなりましが)。今回の改正は「欧米並みにする」が基本ですので、この習慣が定着する事が非常に重要です。先ず、必ず手袋を着用しましょう。中性の安全性の高いものでも、業務用の洗剤の場合は必ず手袋着用をしっかり行いましょう。立面や壁面と言った目に入る可能性がある場合には、ゴーグルも必要です。また、床洗いの場合は長靴と言った浸透性の無いものを履くことが大切です。


今回の法改正での重大事項はリスクアセスメントの実施ですが、その基本はSDSの読み込みになります。本社員の方や指導者は読む必要がありますが、読み慣れる事が大切です。最初は抵抗があるかもしれませんが、直ぐに慣れます。SDSは国連基準ですので、どの国の製品でも、書いている事項の順番は全て共通しています。使用サイドで特に注意が必要なのは2番の危険有害性の要約と4番の応急措置、7番の取り扱い及び保管上の注意と8番の暴露防止及び保護措置です(その他が必要ないという意味ではもちろんありません)。
その中で、手袋は浸透性の無いものが必要と書かれていますが、これはゴム手やビニール手袋等をせよと言う意味です。時々、「浸透テスト済みの物でないといけないのか?」と言う質問が出る事がありますが、そういった大袈裟なものである必要はありません。平たく言えば「軍手や綿の手袋じゃないもの」という事です。被爆で重要なのは量ですので、漏れた可能性があるかどうかと言った事はあまり問題にはなりません。あくまで洗剤ですので。これも、SDSを多くの方が読み慣れると、そういった質問もやがて出なくなると思われます。


 

先ず大切なのは暴露防止です。Isolate(分け隔てる)と言うのは感じとしては分かり易いのではないかと思います。プロとしては洗剤と自分をいつも分け隔てましょう。この心構えがプロとしての第一歩です。