環境対応洗剤の選び方 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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環境対応の洗剤の選び方について、ある方から質問を受けました。丁度いいと思ったので以下の様に纏めました。

 

科学的であること 世界的であること

環境対応製品を選ぶ際に重要なことは、科学的な根拠がはっきりしており、また世界に通用し、共有できるものである事です。自分達だけの思い込みでは十分とは言えません。我が日本はともすると世界的な情報に欠けることがあり、ガラパゴス化してしまう事があります。例えば、水を加工したものが必ずしも環境対応とは言えない事は世界的には常識ですが、日本では環境対応と考えられてしまう事があります。世界で通用する科学性がある事が重要です。

【メンテナンス流通国と日本の孤立化】

環境ラベル

環境対応製品を自分で判断するのは難しい事から、しっかりした機関に判断させ、それを使用するというやり方が世界的には主流になっています。その最も広がりを見せているのが、ISOの環境ラベルです。ISO14020番に環境ラベルの規定があり、環境ラベルを

タイプⅠ タイプⅡ タイプⅢ

に分けています。

 

環境ラベルタイプⅠ(例):

ドイツ     米国      日本

 

タイプⅠは一国一制度で、これが最も信頼度が高いとされています。最初に始めたドイツでは「ブルーエンジェル」米国では「グリーンシール」日本では「エコマーク」になります。タイプⅠは先進国ではお互いを同等に尊重しあうと言う習慣があることから、「ブルーエンジェル」「グリーンシール」は日本では「エコマーク」相当と考える事が出来ます。現在洗剤ではエコマークのものがありませんので、こうしたものは日本国内では証明済みのものでは最高峰のものと考える事が可能になります。

尚、米国では、タイプⅠをグリーンピースという環境団体が先に取得してしまった事から、米国環境省(EPA=Environmental Protection Agency)認証の環境ラベル「セーファーチョイス」がタイプⅡになっています(タイプⅠ以外がタイプⅡ)。米国内では「セーファーチョイス」も同様に信頼性の高いものと考えられています。こうしたことから、タイプⅠが信頼性が最も高く、タイプⅡを選ぶ場合はどの団体が実施しているかをしっかり吟味することが必要になります。

セーファーチョイス

(注:タイプⅢは使用者側の判断基準になりますが、現在は主な活用がなされていない状況です。これからという事になるでしょう)

性能が劣らないか、値段が高価にならないか

 環境対応洗剤出現の歴史は古く、大きなきっかけになったのは1998年の「環境リーダーシップ宣言」(日本ではグリーン購入法)です。これをきっかけに、世界では様々な環境対応洗剤が発売されています。環境を切り口に従来に無い様々な特徴のある洗剤が飛びだして来ており、性能が優秀なものも少なくありません。価格も既に練られており、問題になることは殆どありません。その洗剤の特徴をうまく掴む事で従来にない、効果を得ることも可能になっています。

弊社グリーンシール取得「ピロキシー」と「トライベース」を例にご説明しましょう。

「ピロキシー」はスパルタンケミカル社が専売権を持つ5種類の環境対応界面活性剤に過酸化水素(H2O2)を配合したハイブリッド型の万能洗剤です。大きな特徴は酸に傾いていることです(pH2~3)。通常の万能洗剤は全てアルカリ性です。殆どの汚れがアルカリ側で落ち、アルカリが比較的強いことから、万能洗剤(色々なものに使える)と呼ぶのです。従って酸が必要なトイレやお風呂場では効果がありませんでした。

ピロキシーと通常万能洗剤清掃範囲比較

 

ピロキシーは過酸化水素の「汚れを浮かせて分解する(汚れに対して発泡性と分解性を持っています)」効果と環境対応界面活性剤(水と油を仲良くさせる/表面張力を落とす)の効果を併せ持ったハイブリッド型の洗剤です。通常の汚れを上記の仕組みで取り、酸に傾いていることから、トイレや浴室でも高い効果を上げます。また、「ウールセーフ」マークも取得していますので、微妙なウールのカーペット洗浄も可能です。染み抜きや洗浄が簡単にできることになるのです。

ウールセーフマーク

 

1:10希釈~1:128希釈になっていますが、1:32希釈以上はノンリンスで使用可能です。床洗浄には1:64ですが、1:128希釈ではガラスクリーナーとしての使用も可能になっています。拭き跡を残さないのです。即ち1種類で、通常の汚れ、トイレ・風呂場、カーペットとガラスまで、建物丸ごと1種類できれいにする事が可能になっています(但し、大理石等の耐酸性のない建材には不向きです)。

環境対応・従来にない幅広い使用範囲・・・こうした特徴は新しいタイプの物だからこその特徴になっています。

 

「トライベース」

もう一つの「トライベース」は上記5種の環境対応界面活性剤に「コーン・ココナッツ・パーム核」の3つを合わせたハイブリッド型の洗剤です。pHは(9~10)で通常のアルカリ性万能洗剤よりは弱いですが、アルカリサイドになっています。

 この洗剤の特徴はほぼ「ピロキシー」と同等の使用範囲を持っていますが、従来の中性洗剤やアルカリ性万能洗剤と使用方法や注意点が同じという事です。トイレの便器内(強い酸が必要)とカーペットが使用範囲から抜けています。

トライベース

希釈は1:16~1:128です。

1:16では定期清掃(床洗浄+ワックス再塗布)として使用できます。1:32ではノンリンス、床使用では1:64、1:128でガラスクリーナーとして使用可能です。この洗剤の大きな特徴は酸性洗剤を使用する際の洗剤教育が不要な事です(酸性洗剤使用の際は、リンス拭きや拭き取りをすること、耐酸性のない床材に対する注意、次亜塩素酸との同時使用の禁止等の教育が必要です)。

そして、メインのメンテナンスが床管理の場合はこの洗剤は中性の範囲(pH8~9を1:64に薄めるので)で、ブラックヒールマーク(通常はpH10程度が必要)の除去が可能です。自動洗浄機を使用した際に、通常では赤パッド(少し研磨剤が入っています)使用ですが、白パッド(研磨剤なし)を使用できますので、毎日の洗浄で床のバフ掛けと同等の効果をもたらす事が出来ます。メンテナンススケジュールを大幅に縮小することが可能になるのです。

洗剤跡が残らない

8ヶ月間定期なし、週2回、自動洗浄機白パッド洗浄のみ

 

以上2つの例を上げましたが、環境対応洗剤は、選び方をしっかりすることで、従来の洗剤よりも高効果の結果を出すことも可能になるのです。