病院清掃は意義のある仕事 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

病院清掃をするにあたっては、医療サービスマークの認定が必要になりますが、その為には病院清掃受託責任者の講習を受け、その認定が必要条件になっています。病院清掃受託責任者の講習テキストは年々更新されており、従来よりもかなり充実したものになっているのは前回のブログに記した通りです。

歴史に対する記述もあり、読みやすくもなっています。若し(そんなことはないでしょが)私が最初の方の記述を頼まれたとしたら、最初に書くのは

「病院清掃は意義のある仕事」

と強調します。病院清掃では汚れをシッカリ取る従来のメンテナンスに加え、衛生処理の知識や技術が必要になりますので、技術的にも(予算的にも)メンテナンスの最高峰と言われています。

病院には易感染者がいますので、通常のメンテナンス方法では不十分で、感染防止の知識と技術が必要になります。清掃しながら、環境消毒を実施し、院内の美観だけでなく衛生性も確保する事は大変意義のある事と世界的には考えられていますし、私もそう思います。院内を環境上の感染防止処置をとる事で、感染を減らせるのは最大限でも三分の一と米国では教えていますが、その数字でも非常に大きなものである事は疑いの余地がありません。

先ず、その為には、メンテナンスは技術である事を理解する必要があります。掃除は文化ですが、科学的な清掃「メンテナンス」は技術です。文化は国や地方性が重視されるべきですが、技術には国境がありません。高いか低いか、進んでいるか遅れているかがあるだけです。病院清掃になると、技術や知識的にもかなり高い物が必要になり、高い技術取得には高い技術を持っているとことから、謙虚に取得する覚悟が必要になります。

病院内の環境で衛生性を保つために、もっとも大切なことは、綺麗にする事です。汚れを取り去らずに(清掃しないで)、消毒だけするのは効果が低い事は良く知られています。汚れは微生物の住むバリアーの様なものですので、先ず、それを取り去る事が大切なのです。むきになって消毒剤を強いものにすれば、却って問題を起こす事になってしまいます。

受託責任者講習の教科書の考え方では清掃と消毒を分けているように思いますが、世界では病院専用の感染防止洗剤が発達しており、清掃と環境消毒を同時に達成できるようになっています。こうした製品を正しく使う事で、病院自体の衛生性も向上し、メンテナンス技術も高くなっていくのだと考えます。

感染防止洗剤=清掃+消毒

病院清掃では水拭きを主体に考えてはいけません。水拭きで良ければ、手洗いも水洗いで良い事になってしまいます。飲食店で食器を水洗いで済ませていたら、直ぐに保健所から業務の停止を宣告されるでしょう。コップにも指紋が着いたままでしょう。病院清掃ではなく、通常のメンテナンスの講習でも、水拭きでは綺麗にならない事を強調しています。私達の身の回りの汚れの20%は疎水性だからです。メンテナンス上大切な概念の一つにファインミスト(細かな汚れ)の除去がありますが、微生物は更に小さいのです。世界の病院内のメンテナンスを語る際に、清掃と消毒の必要性が議論になった際の清掃とは水拭きの事ではなく、最低でも、石鹸や洗剤による洗浄が念頭になっている事を忘れてはいけません。ましてや病院では易感染者が居ますので、水拭きでは常在菌を広げてしまう恐れもあるのです。

汚れを完全に取るには洗剤の使用は不可欠で、病院清掃では洗剤を使いこなせる事は当然でなければならないと思います。その上で、更に、感染防止の知識と実践が必要になるのです。

こう書くと、非常に困難なようですが、洗剤使用の基礎的な知識はそれ程難しいものではありません。洗剤の必要性、洗剤の強さ、洗剤の方向性(酸とアルカリどちらを使うか)の3つを抑えれば、概ね洗剤を上手く使える様になります。弊社の講習ではWEBでも、リアルでも30分程度です。

そして、繰り返しになりますが、病院では洗浄と消毒を同時に出来る病院専用の洗剤を使用すべきです。安全で、簡単に使用できますので、これの使用方法を覚える事で、消毒剤の種類やエビデンスについてシンプルに学ぶ事が可能になります。

病院清掃は重要な仕事としてモチベーションを上げながら、変化していくことが大切なのだと思っています。