病院清掃④覚えておくべき知識G.「ブラッドボーンパソゲンズ(血液由来病原体)に対する対処」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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ブラッドボーンパソゲンズ(血液由来病原体)に対処しましょう。

病院清掃をする際に、覚えておくべき重要な知識の一つがこのブラッドボーンパソゲンズ(血液由来病原体)に対する対策です。米国ではOSHA(米国労働安全衛生局=Occupational Safety and Health act)がこのブラッドボーンパソゲンズ対策に非常に力を入れています。血液・体液を媒体にして感染する感染症です。この感染症は感染すると、なかなか完治し難いのです。HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)、HIV(エイズ)等が代表になります。

私も、20年近く前になるでしょうか、スパルタン・ケミカル社を通じてOSHAのビデオが届きました。最初に、ブラッドボーンパソゲンズの説明があり、その後、様々な職種の人達がこの問題に対する対処を述べていきます。最初に出てきたのは警察官でした。犯人を逮捕する際に、相手をホールドアップさせ、先ず手袋をはめてから、身体検査をするのです。容疑者が怪我をしていた場合、そこからの感染を防ぐ為です。そのシーンの後で、警察官が、「私たちの署では、この問題に対して、正しく対処しています。」と述べるのです。次に出てきたのが、消防署員でした。火事の際に、住民を避難させるシーンがあり、そのあとで、同じように消防署員がブラッドボーンパソゲンズに正しく対処していると宣言するのです。次が医療機関で、その次はメンテナンスの人でした。

メンテナンスでは医療機関で働くメンテナンスパーソンが出来てきて、手袋を始め、必要であれば、ガウンやゴーグルの必要性を訴えるのです。

当時はまだ、我が日本ではそれ程この問題に対する意識が高くありませんでしたので、唯々感心しながら見ていたのですが、やがて日本でも、この問題に対する反響が高くなってきました。今では、医療機関での(そうでない場所でも同じなのですが)メンテナンスの際には守るべき必須事項になっています。

医療機関内(他の場所も実際には同様ですが=繰り返しです)では人の血液や体液に触れては絶対にいけません。従って、あらゆる作業をする際に、手袋は必須です。血液・体液(嘔吐や糞尿も含みます)を処理する際に、飛び跳ね等の心配のある場合には、ゴーグルやフェイスシールドも必要です。病院から処理によってはガウンを求められるかもしれません。

また、針差し事後を防ぐ工夫も必要です。ゴミの中に手を入れてはいけません。指先には目が付いていませんので、うっかりした刺し傷の可能性があるからです。ゴミ袋を運ぶ際には、体から離して運ばなければいけません。体とゴミ袋が擦れ合わさって(ブラッシングと言います)事故が起こる可能性があるからです。また、同様にテーブルや家具の下など、目に見えない場所に手を入れてはいけません。処理は必ず器材を持って行う事が重要です。万が一不幸にして針刺し事故が起きた際には責任者と医療機関に直ぐに報告し、対処が必要になります。

この問題でもっとも重要なのは教育です。作業をされる方に、この問題の重要性を十分に認識させ、対処を徹底させることです。例は悪いかもしれませんが、自動車のシートベルトと同様で、最初は少し戸惑いが有るかもしれませんが、やがて当たり前の行為になります。私にとってはシートベルトよりもこちらの対処の方が余程重要だと思っています。通常の病院清掃の講習会では30分~1時間掛けて講習します。病院清掃の教育では最も重要な事項の一つです。