病院清掃③「感染に対する対応が必要」
病院は特別な場所と①で書きました。病院では感染に対する対応が必要になります。各病院にはICN(感染管理看護師)がいますので、その指示に従う事が必要になります。自分で心がける事としては、
1.自分が感染しない事
2.自分が感染源にならない事
3.感染を防ぐ対策を実践する事
になります。
1. の自分が感染しない事は、プロとしては当たり前の事ですのが、先ず真っ先に心がけましょう。
2. の自分が感染源にならない事は、病院では易感染者(いかんせんしゃ)と言う病気にかかり易い人がいます。こうした人に対して、常在菌の中に感染を起こすものがいます(日和見感染)ので、通常の水拭き等の行為が感染を広げる事があるのです。仕事をしながら、患者の方の不利になる行為をする事は絶対に避けなければなりません。自分が感染源にならない事は病院清掃では必須事項です。
3. 感染を防ぐ対策を実践する事は、病院内での表面からの感染を防止する事は大部分がメンテナンスサイドが受け持つ事になります。感染防止洗剤を正しく理解し、使用しましょう。
さて、感染に対しては上記ICNや医療関係者からの講習があれば、是非受ける様にして下さい。感染に対する理解が必要です。ここでは、そうした機会のまだない方に向け、感染のメカニズムを説明していきます。
米国では医療関係メンテナンス従事者に以下の様に教えています。
上記の三角形を使用して説明しています。
左下の宿主(しゅくしゅ)はその人の体力や免疫力の問題です。免疫力が弱っていたり、基礎疾患があったり、今回の新型コロナウィルスで言えば、ワクチン接種をシッカリ受けているか等の事柄がここに来ます。
右下は微生物の種類(性質)や数の問題です。種類(性質)としては感染しやすい・感染すると毒性が強いと言った性質がどうなっているかと言う事と、数が多いか少ないかの問題です。数が多ければ感染し易くなるのです。
最後がモード(方法、感染の仕方)です。
空気を媒体にした感染、血液・体液を媒体にした感染・表面からの感染の3種になります。
空気を媒体にした感染は、インフルエンザや今回の新型コロナウィルスの様な飛沫感染とこれらより更に小さな飛沫核を媒体にした空気感染(代表は結核や風疹)があります。飛沫感染にはマスク着用やソーシャルディスタンス(社会的距離)が有効ですが、空気感染では医療関係では設備的な備えやマスクもN95と言った装備が必要となり、医療機関の指示に従う事が大変重要になります。
血液・体系を媒体にした感染はブラッドボーンパソゲン(血液由来病原体)と言うものに拠る感染になります。代表的なものはHIV(エイズ)、HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)になります。これらの感染症には兎に角、罹らない様にする事が非常に重要です。人の血液・体液に直に触れる可能性のある行為は絶対に禁止です。先ず、手袋は必須です。その他、必要性のある場合には(顔に洗浄液や汚水が飛ぶ可能性がある場合)ゴーグルやフェイスシールド、ガウン等の着用が必要になります。これもICNの指示にシッカリ従う事が必要になります。
最後が表面からの感染です。感染者がアチコチ触り、そこに次の方が触れ、その手で目や鼻、口等を触る事で感染が起きます。接触感染です。従って、手洗いの重要性が大きなものになります(手洗いは自分が感染者にならない為にも必要です)。その表面を綺麗に感染防止清掃をする事で、表面が安全になります。ここが私達メンテナンスサイドの守備範囲になります。
以上の三角形のバランスが崩れると感染を起こすと言う事になるのです。