感染の三角形△ | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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感染の三角形△

 

病院清掃の講習会をする際に、感染防止について説明をするのですが、 米国での感染防止の三角形について今日は書いていきます。

 この三角形は数年前にスパルタンケミカルの主任インストラクタ―のジョン・シャウフから教わったもので、昨年ジョンが来日した際にも、この教え方をしていました。私が講習をする際にも、この教え方になるのです。

 

 

モード:方法

 は感染の仕方です。

空気を媒体にする感染方法、

血液や体液を媒体にする感染方法、

表面からの接触による感染方法

があります。この方法のうち、どれをどう防ぐかを考える事になります。

注:「感染経路「」と言うと違う意味になりかねませんので、ここでは避けておきます。

 

空気を媒体にする感染方法

今回の新型コロナウィルスの場合、空気からの感染は非常に重要で、これからの感染を防ぐために様々な方法が提唱されています。マスク、フェイスシールド、社会的距離(約2m)、三密を避ける、不要不急の外出を避ける・・・等になります。

 

血液・体液を媒体にする感染方法

 この感染方法で重要なのはHIV(エイズ),HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)などになります。米国ではBloodborne Pathogen(ブラッドボーン・パソゲン=血液由来病原体)と言われるもので、一旦感染すると完治し難いのです。従って、この病気には感染しない事が非常に重要ですので、病院等の医療施設では、血液や体液に触れたものに関しては、必ず手袋やゴーグル(或いはフェイスシールド)をして取り扱う必要があります。病院清掃の教育をする際の最初の一歩になります。

 

表面からの接触による感染方法

 ここが私達の守備範囲になります。清掃対象は硬質(Hard Surface)で非孔性(Non Porous)の表面です。ここを対象微生物を確実に除去できる証明付きの感染防止洗剤(Disinfectant Cleaner)で清掃します。一般的に除去し易さは

 

一般細菌<真菌(カビ)<ウィルス・結核菌<芽胞菌

 

になります。左から右に向かって除去し難くなっています。

対象微生物が決まったら、その有効証明のある(ボトルやカタログに明記されています)洗剤を使用します。正しく希釈する事(希釈倍率が決まっています)、しっかり濡らす事が重要なポイントです。汚れがそこにあり、それを綺麗に拭うように拭いていきます。

 

次がSusceptible Host(感受性宿主 かんじゅせいしゅくしゅ)で、感染し易い人の事です。この方の「健康状態が良い・悪い」と言う事が感染に大きく影響します。

 

最後が微生物レベルで、微生物の特徴と量の問題です。感染しやすい・感染し難いといった特徴と、微生物の量の問題で、感染しやすい微生物でも、量が少なければ、感染し難くなりますし、感染しやすくなくとも大量に体内に入れば問題になるわけです。今回の新型コロナウィルスの関係で言えば、ニューイングランド医療ジャーナルに掲載されたCOVID-19がプラスティック上では72時間存在する事が話題になりましたが、72時間後の量は0.1%になっており、その状態は感染しやすいとは言えないとジョンズ・ホプキンス大のキャロライン・メイシェア教授(細胞学博士)も述べています。新型コロナウィルスは油断のならない、そして感染しやすいウィルスですが、冷静な目も必要になる訳です。

 

この三角形を基準に冷静に、科学的に感染防止清掃を行うべきだと考えています。