次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム
一昨日土曜日にお客様から、「5月30日のNHKの放送で、次亜塩素酸ナトリウムが新型コロナウィルスに有効ではないという内容だったので、実際にはどうなのか」と言うご相談メールがありました。生憎私はその放送を見ていなかったので、多分次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の間違いではなかろうかと思い、その旨で返事をしましたが、会社で社員に確かめると彼らは当然の様に知っており、NITEの発表内容のネットを紹介してもらいました。
思った通り、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムとの取り違えであったようです。次亜塩素酸水についてはNITE(製品評価技術基盤機構)での発表通りです。
ここでは今更ですが、次亜塩素酸ナトリウムについて述べましょう。勿論次亜塩素酸ナトリウムは新型コロナウィルスに対して有効です。
次亜塩素酸ナトリウムは環境消毒剤としては上から2番目にランクさえる強力な消毒剤になります。順番は
1.アルデヒド系(代表 ホルマリン)
2.ハロゲン系(代表 次亜塩素酸ナトリウム)
3.フェノール系(代表 クレゾール石鹸)
4.第四級アンモニウム塩系・過酸化水素系
の様になります。
上から下へと弱くなります。
1のアルデヒド系は現在では人の環境に対しては殆ど使用されることはありません。使用によって環境アレルギーを起こす可能性があり、養魚場や養鶏場等で使用されるケースがあります。
3のフェノール系、クレゾール石鹸は今から30年位前まででしょうか、病院へ行くといつもこの臭いがしていました(独特の臭いです)。かつてはよく使われていましたが、今では特別な場合を除いて使用される事が少なくなりました。新生児室では使えませんし、排水規制もありますので、使用に当たっては十分な注意が必要です。かつては環境消毒で最も使用されていた薬剤ですが、現在では、強すぎるため、使用が控えられるようになったのです。今では、第四級アンモニウム塩系か過酸化水素系が主に使用されています。「私達にとって有害な微生物を除去し、私たちにとっては出来るだけ安全」と言うバランスが常に追求され続け、今に至っているのです。これらの感染防止洗剤は対象微生物に対しての有効証明が販売に当たって必要ですので、有効性は確実なのです。上記の次亜塩素酸水とは根本的に異なります。
さて、本論の次亜塩素酸ナトリウムですが、上記に並べたように、強さは上から2番目で非常に強い消毒剤です。除去し難い微生物が出てきた場合に、真っ先に使用されるのがこの次亜塩素酸ナトリウムになります。非常に強いのですが、水に直ぐ分解してしまうのが特徴です。水で薄めて使用しますが、直ぐに分解が始まります。分解が早いので、主婦が使用しても、排水設備を傷める事がなく、環境上の安全性が高いのです。「いつまでも残留し環境障害を起こす「」と言うことがないのです。
ですので、水で希釈したら、すぐに使用する必要があります。数時間(酷い場合には数日)経った後では、分解してしまって、水拭きと効果が変わらない事になってしまうのです。また、非常に強い薬剤ですので、狭い範囲ではいざ知らず、環境消毒と言った広範囲での使用では相当な刺激を覚悟する必要があります。カビ取り剤を使用した浴室がしばらく入りづらい程刺激臭があるのと同様です。
また、金属を腐食させます。色物は脱色を起こす可能性もあります。即ち、次亜塩素酸ナトリウムは環境消毒剤としては使い難いものだと言う事を理解する必要があります。
その為、いつも安全で使い易い(コマーシャルになってしまいますが)感染防止洗剤を使うべきですと強調しているのです。
繰り返します。次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは異なります。
次亜塩素酸ナトリウムは使い易い薬剤とは言えません。
出来れば簡単で効果の確実な感染防止洗剤を使用しましょう。
以上です。