水より洗剤②素晴らしい実例
20年位前まで、ニューヨークに出張する機会がありました。その頃はISSA(International Sanitary Supply Association)の大会がニューヨークでもよく開催されていましたので(因みに、毎年各都市の持ち回りなのですが、今はニューヨークは殆どありません)。その際には、良くウォルドルフ・アストリアホテルに滞在しました。当時のビッグ3の一角で、メンテナンスが素晴らしかったのです。3~4回泊まったと記憶していますが、いつ行っても、木部(特にエレベーター内が木部です)が塗料塗りたての様に光っていました。部屋の金属部分は真鍮でしたが、いつもピカピカで、部下が面白がって、出かける際にわざと指紋をベタベタにつけていったのですが、帰ってくると元通りにピカピカになっているのです。勿論カーペットにはシミ一つありません。もう数十年行っていませんので、今は知りませんが、多分変わらないでしょう。シンガポールのラッフルズホテルも同じ様でした(今はマリーナベイサンズがランドマークになったようですが)。
米国の有名都市の有名ホテルは概ね同様に素晴らしメンテナンス状態を誇っており、それから比べると、残念ながら我が国の一流ホテルのメンテナンスは、レベル的に下回っています(ホテル関係の方が見ていらしたら申し訳ありません・・・)。原因はいい状態を知らない事、そうするための教育資料がない事なのです。
このレベルになる為の技術としては
① シミ抜きが完璧に出来る事
② ファインミスト(細かな汚れ)の除去に対する訓練
③ 保護膜タイプの洗剤を使いこなす事
です。
簡単に言えば、シミが抜けて(これは殆どの方が出来ます)、ノンリンスタイプの中性洗剤(最新のハイブリッド万能洗剤ならさらに良いのですが)を使え、木部とステンレスに保護膜タイプの洗剤を使用できる(専用のタオルを使うのがコツです)事なのです。
我が日本のメンテナンスパーソンにとってはそれ程難しい事ではありません。しかし、それがなされていないのは、ホテルにとっても、ホテルに泊まる(特に高額を払う)お客様にとっても大変不幸な事だと思います。
日本人がこうした事に不向きかと言うと、とんでもありません。私は京都に行くのが好きで、特に行くと、銀閣寺には必ず寄るのですが、秋の銀閣寺に行くと通路に落ち葉が全く落ちていないのです。路面は綺麗に箒の跡が立っています。また、テレビで京都迎賓館の特集を見たのですが、同じように秋口に来られるお客様の為に、落ち葉を手で拾って除いていました。見た瞬間に、人を迎える気持ちが伝わってきます。
即ち、洋風の建物に対する、素晴らしいメンテナンス状態が知られていない為(ガラパゴス化している為)の現象だと私は考えています。洗剤を使いこなしましょう。お客様にGreetingと言いますか、お迎えする気持ちが直接伝わりますし、非常にプロ的です。