水より洗剤① 歴史的にかんがえると | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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水より洗剤① 歴史的にかんがえると

 

私達が対象にするオフィスビルやホテル、駅や展示場、ましてや病院と言った場所を清掃する際には、水拭きではなく洗剤拭きは先進国であれば説明の必要もないほど当たり前のことなのですが、我が日本では水拭きが主流であり、それが生産性を大きく妨げている事は疑いようもありません。先ず、そこの所を考察しましょう。

日本は水が豊富で、急流であり、また水を汚す事を嫌う文化がある為、水はきれいなもの、汚れを浄化してくれるものと言う文化「水神話」があります。その為、プロまでが水で清掃するので、素人との差がつかず、生産性が上がりません。

 元々、日本家屋は木と紙で出来ており、下足の習慣から、室内には土砂の持ち込みが殆どありません。家屋の創りもオープンスペースで、埃も溜まりにくく、箒と雑巾に水で、十分に清潔が保てます。汚れがひどい場合にはたまに糠を使えば、良かったのです。明治維新で開国するまでは、肉食の習慣もなく、油汚れも殆どなかったので、水拭きで済んだのです。

 一方欧米の家屋は木と石(レンガ・タイルを含む)で出来ています。三匹の子豚の例の様にレンガの家が一番良い家なのです。この手の家はオープンスペースとは言えません。空気の流れも(日本家屋に比べると)良くないのです。そして土足ですので、土砂が家屋の中にはいりこみます。環境を良くするために敷物をしますが(代表的なのがカーペット)カーペットは土砂をタップリ含む事になります。酷く埃っぽい住環境がそこにあった訳です。20世紀の初頭にカーペットバキュームが発明され、世界に広がっていきますが、カーペットバキュームは、カーペットのメンテナンスの為だけでなく、健康上必要だったのです。肉食であることから、油も良く使いますので、油汚れも常時発生します。従って、汚れ取りに石鹸を使用する事は当然の事で、家屋の中の清掃には石鹸や洗剤の使用が当たり前になっているのです。

 しかし、今の日本の一般建築物(住居を除く)は殆どの仕様が欧米のものと変わりません。土足ですし、カーペットも主流床材として敷かれています。欧米では洗剤拭き、日本では水拭きですので、差が付くのは当たり前なのです。

 我が業界の人が世界をいつも見ていれば、こうした事は起こらないのですが、ガラパゴス化はいつでもこの国に起こりがちな現象で、強い注意が必要です。何度も繰り返しますが水拭きでは生産性は上がりません

 洗剤拭きが流行らない要因として、洗剤を駆使した最高のメンテナンスの実例が日本では殆ど見られないので(世界の一流ホテルのメンテナンス状態にはビックリするものがあるのです)気付かない、良い教科書がないなどが考えられます。良い例については次回にしましょう。