愛犬「エル」との別れ | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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愛犬「エル」との別れ

他人の身内話は全く興味がわくものではありませんし、ましてやペットの話では他所の人にとってはどうでも良い話でしょう。しかし、好きな事を書けるブログである事、その存在は言葉によってのみ生かせることが出来ると思っている事から、愛犬であったエルの話を今日は書きます。メンテナンスとは全く関係ありませんので、悪しからずご了承下さい。

初代の雄のビーグル、次代の兄の引っ越しに伴い我が家に来た、年配の雄のハスキーを無くしてしばらくした頃、家内の強い要望でまた犬を飼おうと言う事になりました。家内がネットで探し出したのが、その後12年近く一緒に住むことになった雌のラブラドールレトリバー「エル」でした。

あるブリーダーが里親を募集していたのです。犬の事は良く分からないのですが、本来茶ラブ(茶色のラブラドール)と茶ラブはかける事はしないものなのだそうですが、飼い主が実験的にその組み合わせでかけたところ、イエローラブ(黄色のラブラドール)なのですが、目が薄茶で(本来は黒)、花もピンク色(本来は黒)の子供が生まれたのです。規格から外れていたため、売り物にならず、ブリーダーに里親を依頼していたのです。それまで何度か里親探しに出かけていたのですが、見て直ぐに決めました。生後6か月で既に充分大きかったのですが、愛らしい姿と手を出した時の反応が素晴らしかったのです。

散歩を始めると直ぐに様々な人から声を掛けられ、中にはラブラドールレトリバーに詳しい方もいて「おや、色が薄いですね」などと言う人がいるのです。そのたびに最初は生まれた経緯などを説明していたのですが、「差別化」や「ピンチはチャンス」を日々提唱している身ですので「ええ、グリーン・アイなんです」と言うと相手の反応が「すごいですね!」に変わりました。太陽の元では目の色がグリーンに見えるのです。欠点があってもらわれて来たのではなく、我が家にとってかけがえのない価値ある特別な存在になったのです。

頭のいい事には驚きました。ラブラドールは賢いとは聞いてはいましたが、もらってすぐに家内に散歩に行こうと言うと、リード(犬用の手綱)を咥えて飛んできたのにはビックリしました。人の言葉も良く理解しますし、人の感情の先読みも上手い犬でした。夫婦で出かけようとすると、自分が連れて行ってもらえる時には大喜びしましたが、そうでないときは諦めも早く、自分から、小屋に入っていきます。

誉められることが大好きで、「綺麗な犬」「可愛い」などと人に言われると、背中をピンと伸ばしますし、可能であれば、言った人に挨拶に行くのです。

我慢強く、怒ったり、攻撃したりする事は一度もありませんでした。犬同士でつっかけられたりしても、ビックリしたり、戸惑ったりすることはありますが、反撃しないのです。「こいつは憲法9条を遵守してるなァ。」と言うのが家族の評価でした。散歩中に、良く親子連れに、触ってもいいですかと言われると自信をもって「この仔は優しいので大丈夫です。」と答えました。

中でも顕著なのは忠誠心です。エルにとっての主人は家内で、常に側にいました。勿論私や息子たちとも、良く遊び、仲も十二分に良いのですが、家内に対する態度は別格です。家族が出かけて帰ってくると、真っ先に駆け付けるのは当然家内の元ですし、私達が外出から帰ってきた時も、尻尾を沢山振って喜びますが、家内が外出などをして帰った際には、全身を震わせて喜ぶのです。きっと「純子(家内の名前)命」との刻印をどっかに入れていると言うのが我が家での都市伝説でした。

様々な場所へも一緒に旅行し、楽しく過ごしていたのですが、エルも段々歳を取り、歩くのが遅くなり、時々足を痛める事などもありました。去年私も家内も大病をしたのですが、この仔がいつまでいてくれるのだろうかがいつも気になりました。なるべく長生きをしてほしいと願うばかりで、歩くのが遅くなったり、良く寝るようになり、起き難くなったりした様子を見るたびに、エルが居なくなる生活を思い浮かべる事が出来ないので、失う事を密かに恐れるようになったのです。

一週間前の夜に大好きなヨーグルト(私が食べる際に相伴するのです)を残したのにビックリしたのですが、翌日に朝になっても起きようとしませんでした。家内が口元に朝ご飯のドッグフードを1粒づつ運んでやると全て食べ終わり、昼過ぎには起きだして、普段と変わらずの生活が出来ました。その後も少しづつそんなことがあったのですが、内心で恐れていた様に、土曜日の朝、私が起きて、直ぐに覗くと眠る様に亡くなっていました。前日の夜遅くに私が出張から戻った際には迎えには出ずに寝たままで、目だけを向けて尻尾を振っていたので、頭を撫でてやったのが最後でした。

ペットはこの世を去る際に家族の不幸の種を持っていくと聞いたことがあります。また、守護神ではなく守護犬と言うものがもしあるとしたら、勿論大きな(先の二匹より体重も一番ありますので)守護犬になってくれることでしょう。あのクリクリした目を輝かせながら、ぴたりと寄り添うのは家内の側であることは疑いようもありません。