病院清掃で水拭き?普通のビルでも水拭きではプロ的ではありません!! | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

前回書きましたが、仙台での質問でした。

病院清掃で、今やっているのが水拭きなのですが、洗剤拭きに対する理解が得られないとの事でした。病院清掃では特に水拭きは不向きなのです。

先ず、この業界は相変わらず、いたるところで水拭きが横行しています。ビルメンテナンス協会が実施したアンケート(お客様800名)で、最も多かったのは「専門的な技術や知識の不足」で約半数でした。プロらしくないとの評価なのです。

仮に、これが家庭が対象のハウスクリーニングだったらどうでしょう。お掃除に来た人が洗剤を使わずに、水拭きばかりだとしたら、主婦は喜んでお金を払ってくれるでしょうか?素人が「私には出来ない!」と思う結果を出して初めて、リピーターになるのしょう。

また、私達がお風呂に入る際に、石鹸やシャンプーがなかったらどうでしょう?綺麗になった気がしないのではないですか?だとしたら本来私達が大切にすべき建物はどうでしょう。自分たちは石鹸やシャンプーを使うのに、私達が仕事で接する建物には洗剤を使ってやらなくて良いのでしょうか?水洗いでは、同じように、綺麗に、スッキリとはしないのです。

日本女子大の中西茂子先生の著書「洗剤と洗浄の科学」の中に面白いデータが載っています。

石鹸は日本に入ってきたのは鉄砲と同時期だったようですが、高すぎて、大名しか使えず、汎用になったのは明治維新後国産が現れてからなのです。

使い始めが遅れているにも関わらず、現在の使用量は

ヨーロッパの先進7か国の石鹸使用平均が0.54、シャンプーは0.91で計1.45です。最も多い英国が0.97と0.70で計1.67、

我が日本は0.88と0.85で計17.3でそれよりも多いのです。綺麗好きですからね。

しかし、自分以外への使用、即ち洗浄剤としては

ヨーロッパ先進7か国の平均が21.1、最も多いフランスが23.9、最も少ないフィンランドが12.5、

我が日本は8.5です。平均値の2.5分の1しか使っていないのです。

即ち、上記の様に、自分達には石鹸やシャンプーをふんだんに使っても、建物には水なのです。

これでは綺麗にはなりません。

ましてや、病院では、衛生性が問題です。自分の子供が手を水でしか洗わなかったら、大きな声で「石鹸を使いなさい!!!」と注意するにもかかわらず、病人の居る建物を清掃するのに水でいいのでしょうか?

勿論良くありません。病院では2つのタイプの感染症を防がなければなりませんが、その内の一つ、常在菌(どこにでもいる微生物)に対する感染症防止も必要です。水拭きではこのタイプの微生物を広げてしまうからです。