前回洗浄方法で洗剤が真逆と書きました。今日はその説明です。
ここでカーペットメンテナンスについて復習しておきましょう。
以下の様になっています
日常清掃
中間清掃
定期清掃/修復清掃
日常清掃はバキュームと染み抜きです。前回言及しましたが、カーペットバキュームは非常に重要です。これが甘いとカーペットは直ぐに傷んでしまいます。染み抜きは24時間以内の処理が大切です。直ぐに対処すれば、殆どの染みは簡単に処理できます。適正な(良く効くと言う意味)染み抜き剤を塗布し、白いタオルで拭き取ればよいのです。
中間清掃は我が日本ではあまり行われませんが、実際には非常に有効で、上手く行えばトータルでのメンテナンスコストを大きく削減する事が可能です。具体的にはライトエクストラクション(=エクストラクションを手早く行う事)かポリッシャーにボネットパッドかマイクロパッドを装着し、ボネット用の洗剤をスプレーし、ポリッシャーで汚れを擦り取っていく方法です。最初にバキュームが必要ですし、プリスプレーと言って、洗浄前に前処理剤や使用する洗剤をあらかじめ撒いておくと効果が大きく上がります。酷く汚れきった場所には不向きですが、チョット汚れが出て来た際には丁度良く、バランスが取れるのです。安価で有効な方法です。
ボネットパッド
最後に「定期清掃/修復清掃」ですが、大規模なものではトラックマウント等がありますが、通常は
スクラビング ポリッシャーにブラシを付け、擦り洗いする方法
エクストラクション 洗剤をジェット噴射で吹き付け、素早くバキュームで吸い取る方法
スクラッブ&エクストラクション スクラビングとエクストラクションを同時に行う方法
になります。
さて、スクラビングには泡の立ちやすい洗剤を使用します。最近のタイルカーペットを除きますが(これは特殊なカーペットなのです)、本来カーペットは基布と呼ばれる基の布に繊維を縫い付けたり、打ち付けたりして出来上がっています。そして、この基布は元々は麻でした。麻を乾燥させて織りあげて作っているのですが、麻は濡らすと糖分が出て、カーペットに砂糖水を撒いたようなシミを作ってしまいます。また、その後化繊の基布も出ましたが、大量生産方法のタフテッドカーペットでは基布の裏にゴムによる裏打ちをするのですが、大量の水分により、裏ゴムがふやけて、カーペットに伸びを生じさせてしまいます。従って、どのみち、一枚物の高級なカーペットには大量の水分は厳禁なのです。スクラビングはその為、なるべく泡立ちを良くし、泡で汚れを落とす構造になっています。水分が少なくて済むからです。
一方エクストラクションはノズルから洗剤を霧状にジェット噴射し、噴射ノズルのすぐ後ろにバキュームの吸い口があり、それで洗剤を吸い取るやり方です。手早く吸い取るので、基布を濡らし過ぎる事がないので具合が良いのです。この洗剤は泡が立ちにくいものでないと具合が悪いのです。バキュームすることで泡立ちが良いと直ぐに機械が泡で一杯になってしまう為、オーバーフローを起こしたり、頻繁に汚水槽の泡取りが必要になったりするのです。
繰り返しますと、スクラビングには泡立ちの良い洗剤です。
エクストラクションには泡が立たない洗剤です。
ここを間違うと、スクラビングで、基布を濡らし過ぎて大トラブルになったり(上記の砂糖水を撒いたような輪染みは修復できません)、エクストラクションでオーバーフローを起こして難渋したりする事になります。
カーペット洗剤を選ぶ際には、泡が立つのか立たないタイプかをしっかり把握してから作業する事が大切です。
それでは、「スクラッブ&エクストラクション」の場合はどうすればよいでしょう。この場合はそれぞれに適正洗剤を使用し、エクストラクターの回収タンクにあらかじめ消泡剤を入れておくのです。
どちらも、最初にはバキュームが必要です。床に土砂があるままカーペットシャンプーをしてしまうと、下から土砂の汚れが浮き出て大変な事になるので注意が必要です。
前述したプリスプレーがここでも有効なのは言うまでもありません。