ハイブリッド万能洗剤① | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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最新型の団子三兄弟「ピロキシー/トライベース/マイクロマッスル」

取り敢えず「ピロキシー」

 

 

前回は環境規制によって、洗剤が著しく進化した事を述べました。今日はその具体例についてです。「環境リーダーシップ宣言」や環境対応ビル「LEEDビル」の出現によって、環境という切り口での勝負が始まり、多くの洗剤メーカーにチャンスが訪れ、環境に良い界面活性剤の開発がなされました(前項「環境対応ケミカル/選び方も含めて」参照の事)。丁度この頃、ライバルメーカーがフード事業の参入に熱中していたのですが、スパルタンケミカル社はこの業界の環境問題に集中しており、環境対応の優れた界面活性剤5種類の専売権を取得します。

一方、界面活性剤だけでは、作業効果が充分と言えない場合の相方探しが始まったのですが、過酸化水素が大きくクローズアップされます。日本の主婦が次亜塩素酸(塩素系漂白剤)が好きなように、米国の主婦はオキシドール(過酸化水素3%溶液)が好きで、チョットした掃除や消毒に使っています。この過酸化水素を使用した洗剤が一種のブームになります。多くのメーカーは過酸化水素の殺菌力に注目し、除菌洗剤として売り出しました。米国で除菌洗剤を販売するに当たっては、この稿でも何度も書いていますが、第三者による消毒効果のテストを経て、米国環境保護局(EPA)に登録する必要があります。EPA登録は環境規制であり、環境推奨とは逆の方向になります。即ち、環境よりも衛生性を重視した方向です。

一方スパルタンケミカル社はオキシドールより更に弱い過酸化水素(原液で2%)を利用し、上記環境対応界面活性剤との組み合わせで、環境基準としては最も難しい環境ラベルタイプⅠ「グリーンシール」を取得した、「ピロキシー」を発売しました。同じ過酸化水素系であっても、ピロキシーは環境対応になるのです(写真 左)。

過酸化水素は汚れを浮かせたり、分解したりする力を持っています。それと、界面活性剤との組み合わせですので、汚れの取り方が二段階になっています。また、過酸化水素を使用している事、5種類の界面活性剤の一つがクエン酸である事から、ピロキシーは酸に傾いています(pH2~3:原液時)。しかし、上記の2段階の汚れ取り方式の為、通常の汚れに対応します(本来ならアルカリが必要な汚れと言う意味です)。また、最初から酸に傾いていますので、酸が必要であるトイレや風呂場や流し台でも、威力を発揮します。カーペットにも使用できます(ウールにも使える「ウールセーフ」取得)。1:32稀釈以上ではノンリンス(水拭き不要)です。床は1:64で使用しますが、その倍の1:128ではガラスクリーナーとしても使用できるのです(拭き残しが出ないと言う意味です)。注意すべきは大理石等、耐酸性の無い建材には使用できない事なのですが、それさえ注意すれば、1本で通常汚れ、トイレ、浴室、流し台、カーペット、床、ガラスまで、殆どの場所に対応できるのです。例えばホテルなどでは1本で済む洗剤として非常に便利ですし、最も厳しい環境対応にもなっています。

それ以外に過酸化水素ではなく、3つの穀物(コーン・アブラヤシ・ココナッツ)との組み合わせが「トライベース」、バイオとの組み合わせが「マイクロマッスル」で、この3つの洗剤はスパルタンケミカル社が専売権を持つ環境対応5種の界面活性剤を利用した3兄弟なのです。用途は全く異なります。うまく利用すれば、大きなメリットを得られるでしょう。残り2つの洗剤の説明は次回にしましょう、。