環境消毒薬の種類について | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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環境消毒薬について

 

前々回EPA登録の感染防止洗剤について書きましたので、今日は環境消毒薬について書きましょう。

 米国で環境消毒薬に使用する薬剤は強い順に以下の様になっています。

1.アルデヒド系

2.ハロゲン系

3.フェノール系

4.4級アンモニウム系/過酸化水素系

 

1のアルデヒド系は代表的なのはホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドを水中に溶かし込ませたものがホルマリンです。ホルムアルデヒドは環境アレルギーを起こす事から我が国では通常の建物内では使用できません。以前は壁紙のノリの中に含まれていたのですが(ノリが固まらないので具合が良かったのです)、現在では使用されていません。主に養鶏場や養魚場で使用されているようです。

2のハロゲン系の代表的なものは次亜塩素ナトリウムになります。いわゆる塩素系漂白剤で、我が国では非常に広範囲に使用されています。カビ取り剤の主成分でもあります。塩素特有の刺激臭があり、直ぐに分かります。次亜塩素酸は非常に強力な消毒薬で、現在でも新しい種類の感染症が現れた時などに使用されます。どのレベルの消毒薬が効くのか分からないので強いこの消毒薬を取り敢えず使用するのです。

世界的には常時使用はしません。強すぎるのと金属を腐食し、色物を脱色してしまうのです。また、次亜塩素酸は水に対して分解が早いのが特徴になっています。その為、主婦がキッチンでしようしても、排水されるうちに分解してしまう為、環境障害を起こす事が少ないのです。逆に言うと、環境消毒で使用するには希釈してすぐに使わなければいけません(希釈タイプの物の事ですが)。しかし、メンテナンスで使用する場合には希釈してすぐに使用するのは至難の業で、1時間2時間すぐに経ってしまいます。そうすると消毒効果が減殺されていくために、前々回に書いた完全不活性化(Disinfectant)が保証されなくなってしまうのです。私がよく病院に行って、清掃状況のご相談を受ける時に、「次亜塩素酸を使用している」と聞くと「いつ希釈しましたか?」「昨日です。」などのやり取りをメンテナンス会社とすることがあるのですが、これでは水拭きと変わらないのです。環境消毒薬としては使い難い薬剤です。

3のフェノール系の代表はクレゾール石鹼です。昔はどの病院に行ってもクレゾール石鹸の匂いがしました。独特の匂いで私は好きになれませんでしたが、あの香りが大好きという中学の同級生がいました。医者になりましたね。栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)という事でしょうね。この薬剤はやはり強すぎる事と排水規制がある為、使用に当たっては注意が必要です。強い消毒薬必要な場合などに限られて使用されます。

4の最後が4級アンモニウム塩と過酸化水素です。4級アンモニウム塩は我が日本ではあまり使われていませんが、世界的にはよく使用されています。元々洗剤の一種ですので、他の界面活性剤との相性も良く使いやすいのです。現在ではウィルスや結核菌にも効果のある薬剤が開発されています。あくまでもDisinfectant(ディスインフェクタント=環境消毒)としての範囲です。Antiseptics(アンチゼプティクス=人体・動物の消毒)ではありませんが。

この薬剤は濡れている時に毒性を持っています。従って対象表面を完全に濡らす事が重要です。また、清掃する際には汚れを拭き取るように布やマイクロクロスで拭いて行きます。拭いた後が濡れている事に注意してください。ノンリンスの物は乾くと安全になると言う意味ですので、濡れている内に触れてはいけません。乾いてからの使用という事に注意してください。また、スプレーして使用するのが簡単な方法ですが、霧状にスプレーして目や鼻に入ってはいけません。スプレーヤーのノズルを調整し、ドバドバと言う状態か水鉄砲の様にスプレーし布やマイクロクロスで塗り拡げながら汚れを拭き取るようにします。勿論、バケツなどに洗浄液を漬けておき、使う枚数だけ持って移動するオフロケーションも良いでしょう。

ペットなどのいる場所で使用する場合はノンリンスと書いてあっても水拭きが必要です。規定(通常は10分)時間後、水拭きをして下さい。ペットは舐めますので。

最近は過酸化水素のものも増えてきています。使い方は4級アンモニウム塩とほぼ同等と考えてください。

今日はこれから愛知県に移動し、明日用事を済ませた後で、明後日名古屋で日常清掃のプロ養成講習会を一日掛りでやる事になっています。

今朝の会議で前回書いた沖縄での不運を話しました。結構皆に受けていましたが、逆に言うと誰もこのブログを読んでいないという事なのです。(;^_^A(;^_^A(;^_^A