メンテナンスの考え方 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

 

メンテナンスの考え方

 

前回も述べましたが、メンテナンスには様々な種類があります。ワックス・カーペット・トイレ・・・・等で、それぞれ全くメンテナンス方法は異なります。しかし、考え方や考える順番は皆一緒です。以下の様になっています。

1.素材を知る

2.汚れの種類とターゲティング

3.正しいメンテナンス方法を知り、実践する

 

1.  の「素材を知る」では、素材の種類や特性を知らなければ、上手くメンテンナンスする事は出来ません。カーペットを例に取りましょう。カーペットは床材の中で、特徴的なのは三次元の世界であるという事です。他の床材は二次元(平面)ですので、汚れは空気の移動により、隅に溜まります。従って、清掃では隅が重要なのです。しかし、カーペットは三次元(立体)の世界です。パイル(糸)が立っていますので、汚れは移動せず、中に潜ってしまいます(土砂の場合)。従って、カーペットはバキュームで土砂を除去する事が最重要なのですが、バキュームはPath(パス=人の歩く所)を中心に掛けます。他の床と違って隅は(人が歩かないので)それ程重要ではありません。ここは入り口近くでも軽歩行度になるのです(床の土砂の90%は靴によって運び込まれます)。イラストの黒い部分を重点的に掛けます。

 

2. の「汚れの種類とターゲティングでは」対象の汚れを絞り込みます。汚れをモグラ叩きの様にどれもこれも目くじらを立てて取ろうとすると効率が上がりません。メンテナンスにはそれぞれツボとなる汚れがあり、それを取ってしまえば概ね良好と言うものがあります。トイレを例に取れば尿石と水垢です。便器は陶器で出来ており、陶器には釉(うわぐすり)が付いています。これはガラス質です。固くて滑りやすく(滑性が高い)汚れが付きにくく、ついてもすぐに水で流れてしまいます。例外として尿石と水垢がこびり付くのです。従ってこれを上手く取ってしまえば、メンテナンスは上手く処理出来る事になります。

3. の 「正しいメンテナンス方法を知り、実践する」では上記トイレメンテナンスで言えば尿石と水垢の除去には酸が必要になります。尿石はカルシウムの単体ですし、水垢はカルシウムに二酸化ケイ素(ガラスの粒と思って下さい)の混ざったものです。カルシウムはアルカリ性ですので、通常の洗剤は効きません(普通の洗剤はアルカリ性なので)。トイレには酸性洗剤が必要になるのです。カーペットやワックス管理では土砂を主なターゲットにします。

このように考えていきます。

 

また、物理的力(ゴシゴシ擦る事)と化学的力(洗剤の力で落とす事)のバランスが重要です。これは世界も日本も同様なのですが、我が日本では洗剤を使う量が欧米に比べ圧倒的に少ないので、物理的力⒛~30%+洗剤の力70~80%位のつもりでようやくバランスが取れる感覚が必要です。

また、洗剤の使用に当たっては少し教育が必要です。米国では新人が入ってきた場合、4日間を教育期間とすると、最初の2日が安全についてやり、残りの2日間は洗剤に対する教育を行います。何となれば、機械や器具の使い方は見様見真似が効くのですが、洗剤は基礎的な事を学習した方が良いからです。非常に数の多い洗剤をいちいち覚えるよりも、基礎を学び応用を利かせた方が良いからです。