洗剤の方向が逆②「尿石と水垢の除去」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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トイレメンテナンス上最大の敵、尿石と水垢の除去について述べましょう。前回述べたように、尿石と水垢に的を絞り、これを上手く除去してしまえば、トイレのメンテナンスは楽になります。


中でも、最も問題になるのは尿石です。尿石は美観上も問題ですし、悪臭の原因になります。尿石は必ず取り去る必要があります。


その尿石はカルシウム(Ca)の単体です。ものとしては貝殻と同じ物と考えても良いのです。即ち、尿石は便器内に貝殻がこびりついているのと同じなのです。弊社のトイレ用洗剤バイオボウルのチラシに「フジツボをコスリ落とさないで!」と書いてありますが、船底に付いたフジツボをコスリ落とそうとしたら、大変な労力が掛ります。洗剤が適正でなければ、トイレメンテナンスでも同じことが起きるのです。即ち、便器の中に手をいれて、ゴシゴシ時間を掛けてコスル事になってしまうのです。


さて、カルシウムはアルカリ性ですので、酸が有効です。酸性洗剤を使用し、溶かしてしまえば簡単に除去する事が可能です。


貝殻前

Before(酸性洗剤を貝殻に垂らした直後)



貝殻後

After(30秒位経ってから)


一方、水垢はカルシウム(Ca)と二酸化ケイ素(SiO2)が混ざったものが水垢になります。水垢は悪臭は出しませんが、見苦しいのです。これも除去が必要です。尿石は尿の出る場所、小便器では下の方に付きます。水垢は水の通る所に付きます。


カルシウムの多い水垢であれば、酸性洗剤での除去が可能です。二酸化ケイ素(SiO2)の多い水垢は一旦付いてしまうと、酸性洗剤だけで落とす事が出来ません。二酸化ケイ素はガラスの粒の様なものですし、陶器の釉(うわぐす)もガラス質です。カルシウム(Ca)は異質なものですので、落としやすいのですが、同質のものは落としにくいのです。ともあれ、いつも酸性洗剤を使っていれば、水垢のカルシウム(Ca)を殺しますので、新たには付きません。


酸性洗剤で付いてしまった水垢が除去できるかは正直50%:50%でしょう。しかし、水垢は不思議な事に、酸性洗剤を毎日使用しても2~3週間はビクともしません。それを過ぎるとドンドン取れてくると言う性質がありますので、ある程度の我慢が必要です。1月半程度やってみてダメであれば一旦は陶器用のクレンザーなどで(通常のクレンザーは絶対いけません!陶器のガラス質をとってしまうので)、取ってやる必要があ

ります。その後は水垢は(酸性洗剤を使用していれば)付くことは無くなります。


安全な酸性洗剤を使用しましょう。作業が楽になる事請け合いです。