洗剤の方向が逆①「殆どの洗剤はアルカリ側」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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洗剤の方法が逆①「殆どの洗剤はアルカリ側」

 トイレメンテナンスで重要なツボ(コツ)の一つ目が「洗剤の方向が逆」です。今日はこれについて述べましょう。
 私達の身の回りの洗剤は殆どがアルカリ側に傾いています。洗剤には酸に傾いた洗剤とアルカリに傾いた洗剤がある訳ですが、殆どの洗剤はアルカリ側です。洗剤の元である石鹸もアルカリ性です。原始的な石鹸は植物の灰と油を熱で加工したものです。植物を燃やすと構成要素の酸素や炭素・水素・窒素等は気化してしまいますが、金属であるカルシウムやカリウムは残ります。これらが灰の中に炭酸カルシウムや炭酸カリウムとして残るのですが、これが石鹸の原料になります。アルカリとはアラビア語で灰の事を指します。
 ネットで石鹸の歴史を調べるとよく出てくるのが「サポーの丘」の話です。紀元前3000年頃の話で古代ローマのサポー(SAPO)の丘(メソポタミアと書かれているものもあります)で、羊を生け贄にささげるのですが、その滴り落ちた油と薪に使った灰が混ざった土が石鹸の元であり、それが変じてSOAP(ソープ=石鹸)になったと言うのです。中々面白い話ですね。
 そうしてできた石鹸は様々な変容を遂げるのですが、アルカリと油と言う構図は同じですので、アルカリ性と言う事になります。また、洗剤も石鹸の歴史の延長から生まれたものですので、主なるものはアルカリ性になります。実際に私達の身の回りの殆どの汚れはアルカリ側で落ちるのです。そうしたことから、米国では中性洗剤とはpH値が7(中性)から8までのものを指します。殆どの中性洗剤がここの領域に入る為です。

汚れを落とすためには

物理的力+化学的力

のバランスが重要だといつもいっているのですが、物理的力とはゴシゴシ擦ったり、機械化を意味します。化学的力とは洗剤を上手く使う事を意味します
 その化学的力である洗剤は殆どがアルカリ性ですので、私達は時折、洗剤=アルカリ性と錯覚してしまう事があります。通常の場所はこの考え方で大丈夫なのですが、トイレは違います(因みにお風呂場と錆落としも違います・・・細かなものは挙げませんが)。トイレは洗剤の方向が逆になります。使用の激しい業務用トイレには酸が必要になるのです。