筆者の経験をお話ししましょう。
今から40年以上前ですが、お掃除のアルバイト(4日間の予定)で或るデパートに行き、最初にやらされたのが、バックヤードの階段の、ノンスリップの汚れ取りでした。
金属にワックスがたっぷりくっついており、黒ずんで汚くなっていました。それをケレンナイフで削り取り、サンドペーパーで磨きをかけるというものです。9階から地下4階まである階段で最初に見たときに気が遠くなりました。
一つ一つ階段にしゃがみ込んで削りと磨きだしをするのは、姿勢もつらく、大変な作業でした。3日かけて終了しましたが、4日目は腰が立たず、申し訳なかったのですが、最終の4日目は仕事に出れませんでした。
その後、剥離剤の存在とその特性や使い方を知りました。
その後の私でしたら、簡易剥離剤を使い、簡単に拭き取るだけで、仕上げていたでしょう。1日以内で簡単に終わる作業です。
また、それから暫くして、同じ所でやらされた仕事は(その時は別の責任者でしたが)開店前朝の8時から1時間かけて、ワンフロアの売り場通路の掃き作業でした。開店前のデパートは節電から、真っ暗で、非常灯の明かりを頼りに、自在箒で掃いていくのです。汚れが取れたかどうかがハッキリしない作業をやらされるのは苦痛でした。用具置き場にダストモップが有ったので、これでやればすぐに終える事が出来ますし、重みもある事から、土砂の除去も確実なのではないか思い提案したのですが、すぐに却下されました。
「ダストモップは埃は取る事を目的としたもので、土砂は取れないのでダメだ」と言うのです。
しかし、実際にはダストモップは5ミクロン以上の汚れを90%除去する事が可能なのです。
今の私でしたら、10分で作業をより綺麗にしながら終えているでしょう。
この2つのケースは清掃主任者だった人のが知識がなかったために、作業員が苦労を強いられたという事なのです。
相変わらず、形を変えて、こうしたケースが散見されます。
例えばですが、トイレに手を入れて作業をされている人を見ると胸が痛みます。かつて、わが日本ではメンテナンス業界の一部の人が酸性洗剤を嫌った為に、酸性洗剤の発達が遅れました。
一方世界では酸性洗剤が発展し、かつての安価だが取り扱いが難しい塩酸ベースではなく、安全なものが存在しますし、それを使えば、手を入れずに簡単に、安全に、衛生的に処理出来るのです。
そうした事を声を大にしていくのが、私や弊社の務めだと思っています。


自在箒とダストモップ