アクリル板を使ったワックス管理の考え方
床、特にPタイルや長尺シートなどのプラスチック系床剤には床維持剤(ワックス)を塗布します。このワックスは通常アクリル樹脂になるのですが、この管理がメンテナンス会社にとって重要な仕事の1つになります。
私がリーから教わったワックス管理の基本は以下の様なものでした。
リーが私の目の前で、アクリル板から保護紙をビリビリと取り去ります。保護紙を取ったばかりのアクリル板はまるでガラスの様に美しいのです。綺麗なアクリル板を私に見せこう言いました。
「矢部、床ワックスもアクリルだ。これもアクリル板だ。従って、これが床に敷いてあると考えれば話は早い事になる。」
そういってから床から土砂をつまみ上げてアクリル板の上に載せ、自分の靴を脱いで靴底で軽くこすりました。アクリル板は無残な程傷ついていました。体重を載せたわけでもなく、軽くこすっただけなのに・・。
「矢部、アクリルの特徴は硬くて透明な事だ。まるでガラスのようだろう?だが、Plastic is a Plastic{プラスチックはプラスチックだ}、ガラスと違ってこれだけ傷つきやすい。これがワックスの光沢を落とす原因だ。」
それから、マット管理、ダストコントロールの重要性など、効果的な土砂の除去方法への話しに入って行ったのです。
目で見せて、驚かせ、興味を抱かせる・・・。時々冗談を交えながら。これがリー・レマスターの授業風景でした。
因みに、その後、このアクリル板はワックス再塗布の際の汚れの残留注意にも役立ちました。やり方は
アクリル板に水性マジックで汚し、タオルで拭けばすぐ取れます。ワックスも上に着いた汚れは取れるのです。
次に水性マジックでいたずら書きをした上に、もう一枚アクリル板を載せ、その上からタオルで拭くのです。当たり前ですが、汚れは取れるはずがないのです。
