リーのパフォーマンスはなかなか独創的で、理解し易いものが多かったのですが、その一つが万能洗剤をスプレーヤーに入れ、ノズルを絞り込んで水鉄砲の様にして汚れを弾き飛ばすものでした。
今から10年以上前の事ですが、スパルタンケミカル社が新しい万能洗剤(アルカリ洗剤の事)を売りに出しました。「マルチサーフィスクリーナー」と言う名の洗剤です(そのものズバリのネーミングはスパルタンの得意とする所です)。
この洗剤の特徴は万能洗剤でありながら、ワックスの光沢を落とさないと言うのが大きな特徴でした。それまでの万能洗剤は、汚れは落ちるものの、光沢まで落としてしまうものが殆どだったのです。
リーが「「マルチサーフィスクリーナー」の説明をあらかた終え、「チョット来てみろ」と2人で床にある汚れを探しました。なかなかしつこそうな油汚れを見つけ、リーが上記のように汚れをスプレーの力だけで取って行きました。スプレーではじきながら「矢部、コスっていないぞ、洗剤の力だけだぞ」と言ったのです。
リー・レマスターは米国の業界では有名人でした。弊社では清掃用機械の輸入販売もしていますが、その老舗機械メーカーNSS(National Super Service)社の弊社の担当者がリーと私が話している所を見て、知り合いかどうかを尋ねました。私が知り合いだと事得ると「彼はこの業界では有名人だ」と教えてくれたのです。リーは地方局のラジオ番組にも出ており、業界以外の人にも知られていたのです。
リーは数年前、スパルタンケミカル社を退社し、ご夫婦で様々な土地をトレーラーハウスで移動しながら楽しむ生活をしていたのですが、最近体調を少し壊したようです。
リーのこのスプレーヤーでのデモンストレーションは(勿論水圧が掛かっているのも事実ですが)洗剤の力と言うものをシッカリと私の頭の中に植え付けたのです。
