自動希釈器その2「サブストーリー」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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自動希釈器その2「サブストーリー」

 昨日自動希釈について書きましたが、今日は自動希釈器のサブストリーを少し。

 自動希釈器が出てきたのは、今から20年以上も前になります。
 メンテナンスには流行があると前に書きましたが、自動希釈器も大流行した商品の一つになります。
 様々な会社が一斉に売り出したのですが、売り込みとしては「洗剤が無駄にならない」「それによって洗剤のコストを抑える事が出来る」というセールストークが殆んどでした。

 その頃は既にアメリカのメンテナンスの考え方の大方を理解していましたので、なぜこの機械が売れるのかよくわかりませんでした。
 と言うのはメンテナンスの支出の80~90%近くが人件費及び人に絡む経費である事を知っており、洗剤の代金はほんの少しだからです(実際には1~3%程度)。そこを合理化しても大した合理化にはならないはずだと思ったからです。
 
 一方我が日本でも自動希釈器が発売されたようで、あとで聞いた話では1台300万円近くしたと聞いて、益々自動希釈器に対する興味を失ったのです。

 その後、スパルタンケミカル社と関係が出来、スパルタンの伝説的なインストラクター(彼については機会を見つけて書きたいと思います。米国のメンテナンス業界でも有名な人でした)リー・レマスターにこの疑問をぶつけました。

「リー、自動希釈器を買う人が多いけど、洗剤の合理化では大した効果を見込めないと思うけど、どうだろうか?」

「矢部、それは考え方が基本的に違っている。自動希釈器の一番のメリットはいつも正しい希釈が守られる事だ。洗剤を正しい希釈で使う事がメンテナンスにとって最も重要な事の一つだ。」

 その後、様々な実際の洗剤の使用例を挙げて、
1. 洗剤を濃過ぎて使えば素材を傷めてしまい、その補修の為却ってコストが掛かってしまう事。
2. 洗剤が薄過ぎれば今度は洗浄効果が薄れてしまうこと
3. 実際には各洗剤には臨界ミセル濃度というベストポイントがある事
などを教わりました。

私の洗剤の使い方の講習会での基本は「正しい所に正しい洗剤、正しい希釈で」になりますが、この「正しい希釈で」まさにこの時の教えが基本になっているのです。

今は安価になった自動希釈器(1万円程度です)
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