染師・まいまい です
前回の話
特別展 京都 ~洛中洛外図屏風と障壁画の美~
の、ちょっと補足です
「逆(ぎゃく)パース」の状態を図付きで説明します
※前回の文章に、つぎたして書いてます
それにしても、日本に遠近法の概念が無い時代・・・・・
全て平行だけで成立させてしまう世界・・・
建物の構造はどこをとっても平行 の図
↑遠くへ行ってるはずなのに建物がずーっと平行のままです
なので人物もどこまで行っても、小さくならず・・・
視点も空から街全体を見る事になります
(それにしても、雲、低すぎ・・・)
途中、つじつまが合わなくなれば、金の雲でごまかしたり・・・
堂々と逆パース(美術の用語・遠近感が逆さまで、
遠くに行くほど、狭まらず、広がっている、
おかしい状態、不安定にも感じる)だし・・・
逆パース の図 舟木本 ・岩佐又兵衛 筆
↑この人物の商売道具の箱、台に注目
台の側面が見えますね
人物に近い方、奥の方の、台の縦の一辺が手前の一辺より
長く、側面が奥に行くほどに広がっています
商品が陳列された台の上部も同じこと
逆パースの側面との相乗効果?で
上部がより、せり上がってしまっています
逆パース の図 舟木本 ・岩佐又兵衛 筆
↑中央の扇屋の人物がなにやら作業をしている台も
手前より奥の方が広がっていって、不安定です
そっくりそのまま、
台をひっくり返すと安定するのに・・・
人物の後ろに大量に積み上がった白い箱も逆パース
※遠近法が無い時代でも、
人間の脳は、訓練されてない場合、
なぜか自然と、逆パースを描いてしまいます
※英語で遠近法のことを
perspective(パースペクティブ)といい
日本では、パースと略語にすることが多い
洛中洛外図屏風(上杉本)に上杉謙信らしき人物が
描かれているのですが、
謙信公が乗ってる輿なんて、もちろん逆パースだし、
意地でも平行を保とうとするから、形がバタバタです
↓これ!
逆パースの図 狩野永徳 筆
(実際、この輿に乗ったら、ドリフみたいにバラバラに全壊する
だろうな・・・・・)
たけど・・・・・
画力と やりきり でもっで、見る人を魅了します
特に、人物の何気ない一瞬を切り取るのが、みごとです
さすが狩野永徳です ・・・・・・
※この頃、西洋でも、芸術がドカドカ花開いている時で、
遠近法なんて、あって当たり前でしたね
ダビィンチとミケランジェロが、遠近法をバリバリ駆使した
作品で、つばぜり合いやってましたね
だからって、日本の芸術が劣っていたなんてことは
ありません
以下、前回と同じ
逆パースの説明、平行の話は、
こんな感じです