あくまで平行の世界! 特別展 京都 ~洛中洛外図屏風と障壁画の美~  | 江戸手描き友禅「染工房 まいむらさき」のそめいろ日記

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栃木県小山市でそめもの教室の講師をやっています。
染め物のコトや、じんくん(秋田犬)のコト、歴史、芸術、美術、日々の色々を綴っていきます。

染師・まいまい です


上野の東京国立博物館でやっている、
「特別展 京都 洛中洛外図屏風と障壁画の美」
に行きました


京都展



なんのために行ってみようと思いたったか


御屋形様(おやかたさま・上杉謙信)の
「洛中洛外図屏風」を見るため
(らくちゅう らくがい ず びょうぶ)




活気のある京都の街中をこまか~く描き込んだ絵



貴人から庶民まで、ちっちゃく大勢描かれていて、
一頃流行した絵本、「ウォーリーをさがせ」みたいな絵






若き織田信長が上杉謙信に贈り物大作戦
したとこがあるのですが、
この屏風は、そのとき贈られたモノのひとつ




会場入ってガックリ・・・・・

レプリカの展示しかない・・・・・・・・

本物の展示は、展示期間の前期に終了したとのこと


印刷を屏風にしたレプリカなら、
山形県米沢市の上杉博物館で何度も見てる

まー、いいや・・・

しつこくレプリカを見学



上杉博物館では、
「屏風に謙信公らしき人物が描き込まれている」との
説明書きがあり、丁寧な面白い紹介もありました



ですが
ここ国立博物館では、そういった説明書きは無く、
信長と謙信のエピソード、狩野永徳(かのう えいとく)筆で
国宝であること、と決まり切った紹介です・・・
つまらない・・・・・・・
(見解の違いで紹介しないのか・・・?)







謙信公と思われる人物ですが、
鞍を赤いフワフワで覆った(毛氈鞍覆・もうせんくらおおい)馬
を先頭に、列の真ん中辺りにいる、
質素な造りの輿に乗ったお坊さんが謙信公なんだそうです


足利将軍から使用を許された証である、
毛氈鞍覆を示しているし、
行列も武人のスタイルなんだとか・・・・

↑以前、上杉博物館で学んだ  合ってます?
白傘袋(しろかさぶくろ)も描いてあったかも・・・・


謙信公は、今、まさに、お屋敷訪問しようと、
玄関先にたどり着くところで、
お屋敷では準備を整え、今か今かと待っているようす


ご存じない方、
屏風の下の辺りに描かれてますから、ぜひ、ご覧ください



その様子がこの絵です

足利将軍邸にいる足利義輝に謙信公が年始の
挨拶をしにやって来たようす









輿に乗って落ち着き払いながらも
うれしそうな謙信公





お屋敷の奥で二人の人物とそわそわしている
赤い服の人が足利将軍なのかしら
(左側にある屏風の折り目の中間部分の人物のこと)



洛中洛外図屏風って、たくさん種類があるのですね

他の種類は本物もありましたよ


謙信公の屏風は「上杉本」ってゆうんですね~







それにしても、日本に遠近法の概念が無い時代・・・・・

全て平行だけで成立させてしまう世界・・・


建物の構造はどこをとっても平行 の図
洛中洛外図

↑遠くへ行ってるはずなのに建物がずーっと平行のままです
なので人物もどこまで行っても、小さくならず・・・


途中、つじつまが合わなくなれば、金の雲でごまかしたり・・・

堂々と逆パース(美術の用語・遠近感が逆さまで、
遠くに行くほど、狭まらず、広がっている、
おかしい状態、不安定にも感じる)だし・・・



逆パース の図
洛中洛外図

↑この人物の商売道具の箱、台に注目

台の側面が見えますね
人物に近い方、奥の方の、台の縦の一辺が手前の一辺より
長く、側面が奥に行くほどに広がっています

商品が陳列された台の上部も同じこと

逆パースの側面との相乗効果?で
上部がより、せり上がってしまっています



逆パース の図
洛中洛外図 

↑中央の扇屋の人物がなにやら作業をしている台も
手前より奥の方が広がっていって、不安定です

そっくりそのまま、
台をひっくり返すと安定するのに・・・

人物の後ろに大量に積み上がった箱も逆パース


※遠近法が無い時代でも、
人間の脳は、訓練されてない場合、
なぜか自然と、逆パースを描いてしまいます



謙信公が乗ってる輿なんて、もちろん逆パースだし、
意地でも平行を保とうとするから、形がバタバタです

↓これ!
逆パースの図  狩野永徳 筆


(実際、この輿に乗ったら、ドリフみたいにバラバラに全壊する
だろうな・・・・・)




たけど・・・・・

画力と やりきり でもっで、見る人を魅了します


京都が大好きな謙信公

謙信公もこの屏風をもらった当時、
とても喜んだことでしょう





京都展
平成館




龍安寺や二条城関連、海外からの里帰りの展示もありました


これらは、ピンときませんでした

絵が古すぎて、みんな茶色く変色していて、
楽しくなかったです
 
こうゆう渋いのって、本来あるべきお寺などには、しっくり
馴染むのだろうけど・・・・・

鮮やかに復元したのが見たかったな・・・・・・




京都展 





企画展は、人がいっぱいで、イヤになりました

常設展の方のが、人が少ないので、落ち着いてじっくり
観賞できるので、よっほど見応えがありました




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