シーズン3 登場人物
● 主人公 紀子(ノリコ)さん
…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。
●紀子の夫 マサル
…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。
●紀子の親友 真子
…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。
●真子の夫 健二さん
…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。
●メグちゃん、メグちゃんママ・パパ
……あるきっかけで、真子との関係性がわかる。
●田中君
…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。
※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。
シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』
シーズン2 武田さんの芝生
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その日紀子さんは
健二さんに電話をかけた。
けれど健二さんは
すぐには電話に出ず、
その後LINEが入ってきた。
健二さん
「今日はお誘いいただいたのに
話し合いに行けず
申し訳ありません・・
すぐにでもお話を伺いたいですが・・
今はどんなこともちょっと
受け止められる精神状態ではなくて。
少し時間をください・・
本当にすいません・・・」
紀子さんはこの文章を
マサルさんに見せた。
自分がしたことが
どれだけ罪深いのか。
自分の軽率な行動が
大切な親友をどんな目に合わせたのか
知って欲しかった。
紀子さんとマサルはこの日、
それ以上今日のことについて
話し合うことはしなかった。
それは
同じように紀子さんだって
深い深いダメージを受けていて
自分の考えだって
全然まとまらないのだ。
マサルからの謝罪も
胸に響かなかったわけじゃない。
それでも、だからって
じゃあ許しますなんて単純に
言えるはずもない。
これが人のリアル。
不倫のリアル。
そんなに簡単に
ハッピーエンドなんかにならない。
むしろ悲しいことばかり。
それから1週間後。
午後に健二さんから連絡があり
夜に電話で話すことになった。
紀子さんは、
健二さんには内緒だったが
そこにマサルも呼んだ。
2人の会話をスピーカーフォンで
聞いてもらうことにした。
健二さんの今の気持ちを
マサルに知ってもらうためだった。
健二さん
「紀子さん・・
この間はすいませんでした。
本当に、意気地のないやつですよね。
紀子さん達だって辛い中
出席されたのに・・」
紀子さん
「いえ・・健二さんこそ、
体調の優れない時にこんな・・
今は調子はどうですか?」
健二さん
「おかげさまで、
会社にはちゃんと行ってます。
ご心配をお掛けしました。
これからしばらく毎週水曜日には
母が実家から来てくれて
週末は子供達と
実家に帰る生活にしたんです。
会社を辞めることも考えたんですが
上司が色々理解してくれてるんで
今は仕事、
かなり早めに帰ってるんですよ。
その代わり土曜とかに
まとめて自宅で仕事して、日曜日は子供と
思いっきり遊ぶことにしました。」
紀子さん
「そうですか・・
仕事やご両親のサポート
よかったですね。」
健二さん
「本当に、助かります。
慣れてきたらもちろん、
母の負担は減らしたいですが
子供達のおかげで
僕も笑えてますしね。」
紀子さん
「そうですか・・・
それはきっと健二さんの
今までの仕事の頑張りとか成果が
認められてるからですよ。
それで・・・」
紀子さんは最初に
1番気になっていたことを
切り出した。
紀子さん
「長女ちゃんの様子は
どうですか?」
健二さん
「長女は、、、そうですね。
なんか私の前だからなのか
いつも通りというか
元気というか・・・
むしろ前より
しっかりしてるような気がします・・
でも、、無理・・させてますよね・・」
そんな健二さんの言葉に
紀子さんはどうしても
真子とメグちゃんパパの話が
切り出せないでいた。
こんなこと、
健二さんがまた傷ついてしまう・・
でも、長女ちゃんへのケアも
早急に必要だとも思う。
優しい紀子さんは
紀子さん自身が抱える必要のない痛みで
また苦しんでいた。
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