シーズン3 登場人物

● 主人公 紀子(ノリコ)さん

…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。

●紀子の夫 マサル

…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。

●紀子の親友 真子

…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。

●真子の夫 健二さん

…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。

●田中君

…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。

 

※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。

シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』

シーズン2 武田さんの芝生 

『隣の芝生②-1未婚の母を選択する女性。』

 

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翌朝、健二さんは長女に

たまには二人で

アイスでも食べに行こうかと

声をかけた。

 

 

次女は両親に任せ

健二さんと長女は

近所の可愛いカフェに入った。

 

 

最初は学校の、

たわいのない話をした。

 

そういえばこうして

長女の話を聞いてあげたこと

しばらくなかった気がする。

 

 

そんなことを思いながら

30分くらい経った頃

健二さんは思い切って

話を切り出した。

 

 

 

 

健二さん

「昨日さ、おばあちゃんと
 ママのこと、話してたの?」
 
 
 
長女
「…うん…」
 
 
 
健二さん
「そっか…」
 
 
 
長女
「パパともずっと話したかったけど
 パパ…
 
 ママのこと聞いたり話してる時は
 しんどそうだから…」
 
 
 
健二さん
「え?そうか?
 パパ…そんな顔してたか?
 
 
 だってママのことなんて
 あんまり話してないじゃないか。」
 
 
 
 
長女は首を横に振った。
 
 
 
 
 
長女
「パパ…最近からだ、大丈夫?」
 
 
健二さん
「・・え?どうしたんだ急に・・」
 
 
長女
「引っ越す前のパパは
 毎日家のことが大変そうで
 
 
 学校のこと話しても
 次の日に忘れちゃってたり…
 
 
 
 夜寝る前は、
 
 ママがいなくてごめんとか
 
 ママじゃなくてごめんとか
 
 ママは、パパじゃない方が
 いいんだよって
 話したこともあったよ。」
 
 
 
 
健二さん
「え?
 
 
 …あぁ…あぁ、そうか…
 俺はそんなこと…」
 
 
 
 
健二さんは、項垂れた。
 
 
ボロが出ないように
頑張っていたつもりだった。
 
 
辛い顔を見せないように。
 
 
 
真子のことは
子供達には話さないとか言いながら
 
 
自分で全部やるって、そう思いながら
 
なんにも上手く出来てなかった。
 
 
 
紀子さんや周りには 
 
なんとかやっている
頑張っていると話していたけれど
かっこよく見せたかったけれど
 
 
 
実際はそんなことなくて
心は矛盾ばかりで
 
 
本当は、何度も一人で泣いていた。
 
 
もはやそれだって
長女は見ていたのかもしれない。
 
 
 
真子の浮気がわかったあの日から
引越しの手順やその近辺までは
本当は辛すぎて辛すぎて
記憶にないことも沢山ある。
 
 
振り返れば
子供が遊んでいる隣で
放心状態の顔をしていた日もある。
 
 
だから仕事だって、今思えば
上手く出来ていたかわからない。
 
 
 
その時期たしかに、次女が学校に
持っていかなければいけないものを
持たせ忘れたりもして
自己嫌悪にもなった。
 
 
 
本当は辛い
 
 
 
本当は限界だ
 
 
 
誰か助けてください。
 
 
 
 
気持ちの面もぐちゃぐちゃで
頑張るなんて
全然思えない日もあって
 
 
 
健二さんの心は
 
もう本当はとっくに
 
 
 
壊れていた。
 
 
 
 
 
長女
「パパ…ごめんなさい…」
 
 
 
健二さん
「…なんで謝るんだよ。
 
 悪いのはパパじゃないか。
 
 
 パパ…
 なんにも出来てなかった…」
 
 
 
長女
「だってパパが
 毎日しんどそうで
 
 
 パパが・・・
 
 
 死んじゃうんじゃないかって
 思ってた・・
 
 
 私が頑張るから
 お母さんするから
 
 パパ・・・無理しないでよ・・」
 
 
 
 
長女の目から
 
涙がポロポロ溢れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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