シーズン3 登場人物
● 主人公 紀子(ノリコ)さん
…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。
●紀子の夫 マサル
…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。
●紀子の親友 真子
…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。
●真子の夫 健二さん
…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。
●田中君
…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。
※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。
シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』
シーズン2 武田さんの芝生
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昨夜のご報告について
沢山のコメントをありがとうございました!
落ち着いたら武田さんにも
読んでもらいたいと思います^ ^
さぁ…こんなハッピーなお話のあとなのですが…
シーズン3の続きをはじめさせていただきます。
◆
次女
「ねぇパパ、ママはいつ帰ってくるの?
どこにいるの?」
引っ越して1ヶ月を過ぎた頃
洗い物をしている健二さんの側で
次女がそう尋ねてきた。
長女
「そんなこと、パパは知らないよ!」
隣で、食器ふきを手伝っていた長女が
少しきつめに言った。
健二さん
「…ごめんな。
パパもわからないんだ。」
次女
「ふぅん・・つまんない。」
次女が、少しふてくされた様子で、
リビングから出て行ってしまった。
ここ数日、次女の様子がおかしい。
引っ越した当初の方がむしろ
取り越し苦労かと思うくらいに
毎日ケラケラ笑っていて
健二さんは安心していたのに。
健二さん
「……」
長女
「多分、新しい学校に行くのが
不安なんだと思う・・。」
何かを察して、隣で長女が呟いた。
健二さん
「不安??…そうなのか
・・でもそれはお姉ちゃんもだよな?」
聞き返すと、
長女も小さくうなづいた。
健二さんは食器を洗う手を止め
急いで次女を呼びに行った。
そして、娘二人をリビングに集めた。
健二さん
「二人とも・・・
パパたちのせいで
急にお前たちが転校することになって
本当にごめん・・・」
長女
「…パパのせいじゃないよ。」
次女
「……」
次女はずっと、黙っている。
健二さん
「…怒ってるのか?…
なんでもいいから、
パパに教えてくれよ。」
次女は俯いて、じっと黙っている。
健二さん
「黙ってたら、パパ全然・・
わからないから・・」
すると、俯く次女の瞳から
涙がポタポタ
こぼれ落ちているのがわかった。
健二
「……えっ、どうしたんだ…」
次女
「うぅ…。。
ママがいなくて寂しい・・・
ママのご飯が食べたい・・
うぅぅぅぅ・・・
学校行きたくない・・・
でも、我慢しないといけないから。
我慢する・・我慢する・・・」
そう言って、溢れる涙を必死で
何度も何度も手でぬぐい始めた。
健二さん
「!!」
健二さんはたまらず
次女を抱きしめた。
健二さん
「ごめんな。パパがご飯
美味しく作れなくてな・・」
長女
「そんなことない!!
パパのご飯おいしいから!!」
健二さん
「二人にいっぱい我慢させて
ごめんな。ごめんな・・・」
次女
「あぁあぁぁぁぁーーー
ママーーーー
ママーママーーー」
泣き叫ぶ次女を抱きしめながら
健二さんはなす術がなかった。
健二さんを庇っている長女だって
きっとママって叫びながら
泣きたいはずだった。
あとでこの時のことを
教えてくれた紀子さんは
紀子さん
「だけど1番泣きたかったのは
1番我慢していたのは
きっと健二さんだったと思います。」
そう言ってまた、泣いていた。
誰か・・・
どうしてこの人たちが、
傷つけられた人たちがこんなに
悲しい涙を流さなければいけないのか
教えてください・・・
だって、苦しいよ。
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