シーズン3 登場人物
● 主人公 紀子(ノリコ)さん
…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。
●紀子の夫 マサル
…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。
●紀子の親友 真子
…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。
●真子の夫 健二9
…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。
●田中君
…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。
※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。
シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』
シーズン2 武田さんの芝生
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紀子さん
「私に時間を下さい。」
紀子さんのその言葉に
マサルはゆっくりと、体を起こした。
マサル
「…いつまでだって待つよ。
待たせてください…」
紀子さんは息子くんの肩をたたき
ゆっくりと立ち上がる。
紀子さん
「さぁ、もう寝よう。
二人で顔洗いに行こうか。」
息子くんにだけ声をかけて
よろよろと起き上がる我が子と
バスルームの方に向かった。
◆
息子くん
「お母さん、顔冷やす?」
泣き腫らした紀子さんの顔を見て
息子くんが少し笑う。
紀子さん
「確かにね。
寝る時は、
アイスノン乗せなきゃね。
…ごめんね、心配かけて。」
息子くん
「いや、、ねぇお母さん…」
紀子さん
「ん?」
息子くん
「今日は
僕の部屋で寝てもいいよ。
っていうか、そうしなよ。」
紀子さん
「……」
思わぬ息子の提案に
また涙が溢れそうだった。
◆
紀子さん
「ねぇ、本当にいいの?」
息子くん
「当たり前じゃん。」
紀子さんは息子くんの部屋に
布団を敷いて
数年ぶりに同じ部屋で寝ることになった。
話したいことはいっぱいあったが、
少し会話をすると
やがて安心したように
ベッドから聞こえる健やかな寝息に
紀子さんはまた、涙が止まらなかった。
これまで大切に
大切に育ててきた息子。
ランドセルを背負っていたのが
ついこの間のようだ。
自分のことを守るなんて
言ってくれたけど、
本当はまだまだ、無理して急いで
大人にならないで欲しい。
思春期の子供は、子供らしい悩みで
ゆっくり成長して欲しい。
だから母親として、この子のことは
私が守ってあげたい。
今回のことで、
息子の気持ちがどう変化するのか。
どうするのが
1番いい方法なんだろう。
これからどうしよう。
紀子さんは
答えを出せないでいたが
考えるのは、自分の痛みより
息子のことばかりだった。
その日は息子くんのおかげか
泣き疲れてなのか
すぐに寝付くことが出来て
疲れた体を休めることが出来た。
翌朝
起きるとテーブルに
二人分の朝食が作ってあって、
マサルはすでに
仕事に出たあとだった。
紀子さんと息子くんは
昨日のことには触れず
たわいもない話をしながら
朝食を食べた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
健二さんは朝から、気分が重かった。
ほとんど眠れないまま朝を迎えて
娘二人の朝ごはんを準備した。
その日
健二さんは仕事を休んだが
朝イチで真子に会うのはしんどくて
子供たちが学校に行ったあと
少し仮眠をとってから
真子に会うことにした。
本当は家で会いたくはなかった。
しかし近所の喫茶店で
誰かに見られるのも怖い。
昨夜の間に真子にLINEを入れて
帰ってきた言葉には
返信もしなかった。
朝11時前頃、
うたた寝をしていたソファーで
健二さんが目を覚ますと
キッチンで真子が
洗い物を済ませていた。
真子
「キッチンめちゃくちゃだったけど
二人の朝食、
ちゃんと作ってくれたんだ。」
健二さん
「あぁ、これからは毎日
作らないといけないからな。」
真子はキッチンから
慌てて健二さんの元に
走り寄ってきた。
真子
「……健二……
そんなこと言わないで
考え直してよ!」
健二さん
「いや、真子とやり直すことは
もう考えられない。
だってありえないだろ?
これからお前とどうやって
家族として
生きていけるっていうんだよ。
昨日俺が一晩中考えていたのは
離婚するかしないかじゃない。
娘たちにこのことをどう伝えるか…
それだけなんだ。」
真子
「じゃあ、
私と話し合うっていうのは…」
健二さん
「離婚後のことについて
話し合うんだよ。」
健二さんの真子を見る目は、
もうこれまでのように
愛しい女性を見る目でも
可愛い二人娘の
母親を見る目でもなかった。
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