シーズン3 登場人物

● 主人公 紀子(ノリコ)さん

…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。

●紀子の夫 マサル

…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。

●紀子の親友 真子

…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。

●真子の夫 健二9

…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。

●田中君

…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。

 

※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。

シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』

シーズン2 武田さんの芝生 

『隣の芝生②-1未婚の母を選択する女性。』

 

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息子の優しさに涙が出て、

心配をかけてしまったけれど

 

紀子さんはほんの少し

勇気が湧いていた。

 

いつの間にか我が子は

こんなに大きくなっていたのだ。

 

 

 

この後の話し合いで

どんな未来になるかわからないけれど

 

この子さえいれば頑張れる。

 

そう思った。

 

 

 

それから他愛もない話をしながら

息子くんと二人で果物を食べると、

彼は(おやすみなさい)と言って、

洗面所に向かい

 

そのうち物音がして

自分の部屋に入って行ったのがわかった。

 

 

 

 

紀子さんはリビングのソファーに座り

テレビもつけず

ただぼんやり座っていたが

 

それから30分も経たずして

マサルが帰ってきた。

 

 

 

 

 

マサル

「……紀子、、、」

 

 

 

 

紀子さん

「、、、、」

 

 

 

すぐに正面から

顔を見れるような

 

そんな気持ちにはなれなかった。

 

 

 

マサル

「ごめん。

 今日話し合うって言ってくれて

 

 ありがとう…」

 

 

 

神妙な面持ちのマサルは

紀子さんの顔を見るなりそう呟いて

向かい側に座った。

 

 

 

真子との不倫がわかって

この件で二人きりで

話すのは初めてだ。

 

 

何から話せばいいか、

やっぱりわからない。

 

けれど最初に口を開いたのは

紀子さんだった。

 

 

 

 

 

紀子さん

「今日、夕飯は健二さんと

 娘ちゃん二人が来て、

 田中くんも一緒に食べたの。

 

 そしたらそこに、真子が来て…」

 

 

 

 

マサル

「え……」

 

 

 

 

紀子さんは

夕方の出来事を淡々とした口調で

全てマサルに伝えた。

 

 

 

 

 

紀子さん

「真子はきっと

 別れたくないって言うだろうけど

 どっちにしたって健二さんには

 辛いことでしかないんだよ。」

 

 

 

 

マサル

「……そうだよな……」

 

 

 

 

紀子さん

「二人が離婚するなら

 娘ちゃんたちにはいずれ

 本当のことを

 話さなきゃいけないと思う。

 

 

 そうじゃないと、

 意味もわからず娘ちゃんたちは

 健二さんを

 恨んでしまうかもしれないし…」

 

 

 

 

 

マサル

「……そう、、だな、、、

 

 

 なんて言えばいいか…」

 

 

 

 

 

 

紀子さん

「マサルはね、私だけじゃなくて、

 健二さんも裏切ったんだよ。

 

 自分の友達だよ?…どうして?

 

 なんかほんと…

 わけがわからないよ…」

 

 

 

 

言いながら、必死で声を、心を

落ち着けようとしていた。

 

 

 

 

 

マサル

「…自分でも、

 取り返しのつかないことしたって

 そう思う…

 

 どうしてこんなこと

 したんだろうって…」

 

 

 

 

紀子さん

「今更そんなこと言われても

 答えになってないよ…。」

 

 

 

マサル

「すまない、本当にすまない。」

 

 

 

 

謝ってばかりのマサル。

 

開き直られるよりはマシだが

今はなんと言われても

どんな答えも、納得できない。

 

 

 

 

 

紀子さん

「それで…

 

 

 私たちのことは…」

 

 

 

 

紀子さんは初めて

少しだけマサルの顔を見た。

 

 

 

 

 

 

マサル

「紀子……こんなこと

 自分で言うのもおかしいけど

 紀子のことを

 愛していないから浮気したんじゃない。

 

 紀子とは

 絶対に別れたくないんだ…」

 

 

 

 

 

 

紀子さん

「……別れ、、

 

 

 

 たくない…?」

 

 

 

 

 

その時、紀子さんの中で

何かが爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

紀子さん

「じゃあ、、

 

 じゃあなんで

 浮気なんかするのよ!」

 

 

 

 

 

紀子さんは立ち上がり

声が抑えられなくなった。

 

 

泣きたくもないのに

一気に涙が溢れた。

 

 

 

 

 

紀子さん

どうせするなら、

 相手を選んでよ!!

 

 こんなことしたら、

 誰が傷つくか、どうなるか

 想像しなかったの?!

 

 バレないと思った?

 バレなければいいって思った?」

 

 

 

 

 

マサル

「すまない…本当にすまない!

 

 

 でも、離婚だけは…」

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息子くん

「二人とも…

 

 

 何、話してるの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り向くとそこに

 

 

 

 

 

青ざめた息子が、

 

 

立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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