シーズン３ 登場人物
● 主人公 紀子（ノリコ）さん
…40歳のワーママで一人息子は高校生。美容オタクでスタイルの良い美人。料理はプロ級。ある日夫と親友の秘密を知る。
●紀子の夫 マサル
…紀子さんの大学時代の先輩。都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営している。スマートで男女問わずモテる。
●紀子の親友 真子
…紀子とは高校時代からの親友。紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。娘が二人いる。
●真子の夫 健二
…マサルと大学時代のサークル仲間。普段はマサルとよくサーフィンに行っている。明るく子煩悩。
●田中君
…マサルの後輩で、マサルの会社の部下でもある。今回は紀子さんに頼まれて、尾行・追跡を行ってくれた。
※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。
シーズン1 ミキの芝生 『不穏な着信』
シーズン２ 武田さんの芝生
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健二さんの
言葉一つひとつから
その悲しみや怒り、
やりきれなさが
ずしんと伝わってくる。
健二さんの言葉全て
本心ではあるけれど、
きっと本当は
迷いだってあるはずだ。
たった数時間で何もかもを
決断するなんて難しい。
健二さん
「紀子さん。
謝って済むような
問題じゃないですが・・
真子が・・
すみませんでした。
こんなことって・・
本当に…なんか…
今も嘘みたいで・・・」
紀子さん
「どうして健二さんが
謝るんですか・・・
悪いのはマサルで・・・
真子で・・・」
真子
「……紀子・・・
…何も言えないけど…
私…わたし…」
紀子さん
「真子、もういい。
真子からの話は…
今は何にも……
ひとまず私たち、
もう会うのはやめよう。
こんなことになって、
この先真子と
どんな顔して会ったらいいか、
全然わからないよ…」
紀子さんは、
真子との決別を決めていた。
当然だけれど
友達でなんかいられない。
真子
「……ごめんなさい…
何度謝っても
謝り切れるわけないけど…」
こんな繰り返し
もうたくさんだ。
健二さん
「紀子さん。
紀子さんはマサルと
どうしますか。」
その場にいた誰もが
気になっていた。
紀子さん
「…それは…
どうしたらいいんでしょう。
私には何がなんだか・・
…健二さんは…
どう思いますか…」
健二さん
「…どう、なんでしょうね。
僕も正直、何が正解か…
わからないです…
俺自身は
真子やマサルのこと、
一生許せるとは思えないですが
紀子さんには
紀子さんの選択肢があります。
でもずっと
主導権は紀子さんですから。
紀子さんが
後悔しないように…」
紀子さん
「そうですね・・・」
健二さんがふと、
私と田中さんに目を向けた。
健二さん
「パンダさん、田中さん…
こんなお恥ずかしいところを
お見せしてしまって…
本当にすみません。」
私
「そんなこと…」
健二さん
「申し訳ないんですが
わたしは一旦ここで、
一人で抜けさせてください。
・・・このたった数時間で
色々ありすぎて・・・
ちょっとなんかもう…
もうすぐ
子供たちも帰ってきますから
俺が自宅で
待ってやらないと。」
そう言って立ち上がる
健二の背中が
今にも泣き出しそうだった。
真子
「・・一人でって、
私はどうしたら・・」
健二さん
「そんなこともう
俺には関係ない。
だけど今日はこれ以上
話し合いたくない。
そんな顔で、
帰ってこられても困る。
一旦実家に帰るか、
ここにでも
泊まればいいと思う。」
健二は振り向きもせず
そう答えた。
真子
「・・・・」
真子は、反論しなかった。
出来るはずもなかった。
健二さん
「田中君、パンダさん・・・
初対面なのに・・・
こんな形ですいません・・・
お二人には、
もっと楽しい場所で
お会いしたかったですよ…」
私たちは何も言えなかった。
健二さんは一人
部屋から出て行った。
すると咄嗟に田中君が
その後を追いかけるように
飛び出していった。
バタンと扉が閉まる音がして、
真子がその場に
泣き崩れたけれど
誰もその肩を
慰めはしなかった。
愛する人たちを
こんなに傷つけてまで
手にしたかったものはなんですか。
仮にもし
手に出来たとして
こんなことで得られたものが
幸せだと呼べますか。
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