テキスト形式vsHTML形式 』で、テキスト形式は文字情報だけと書きましたが、ちょっとした工夫で特定の箇所を強調したり、表を使うことができます。


1つ目は、「下線の活用」です。


「うえ」と入力して変換すると、 ̄ が出てきます。これを改行した次の行に適用することで、強調したい部分に下線を引いたイメージを表現できます。


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(例文)
尚、会場の予約の都合上、ご多忙のところ恐縮ですが、
10月23日(木)までにご返答をお願いいたします。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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私は余程のことがない限り、HTML形式のメールは使用しません。


その最大の理由が、「返信時の不便さ」です。


メールは一回限りでなく、複数回やり取りされることが多いものです。


返信する際には相手のメールを引用することが多くなりますが(詳細は今後、掲載予定)、この際、テキスト形式であればインデント記号(「>」が一般的)を自動的に行頭に挿入することができるのですが、HTML形式だとこれができません。


つまり自分が発信する分には良いのですが、相手には返信をする際に負担やストレスをかけてしまうことがあるのです。


私もHTML形式で来たメールに返信する際は、イライラするか、手を抜いて簡単な返事に済ませてしまうことが多いです。


テキスト形式をオススメする2つ目の理由は、

「メーラーによる差異」があるからです。


基本的にHTML形式でメールを作成する場合、書き手は自分のPC上で見た目をレイアウトします。


ところが、パソコンは人によってOSや使用するメーラーが違うものです。


よって、必ずしも自分が思った通りのレイアウトで読み手がそのメールを目にするとは限らないのです。


フォントの大きさや色の違いに頼って分かりやすさを強調したとしても、それが相手には伝わらないというリスクをはらんでいると言えます。



メールの書式には、シンプルなテキスト形式とフォントの大きさや色を変えることができるHTML形式があります。


それぞれメリット・デメリットはありますが、個人的には3つの理由から「テキスト形式」の使用をオススメします。


1つ目の理由は、「一般性の観点」からです。


「Yahoo!リサーチ」が2008年5月に20~50代の働く男女435人を対象に実施した調査によると、「HTMLメール」について、以下のような結果が出ています。


● 受け取りたくない ・・・31%
● 受け取っても構わない・・・53%
● よく分からない ・・・16%


この数字をどう捉えるかは判断の分かれるところですが、3人に1人は「受け取りたくない」と答えている点を考慮すれば、そのリスクを取ることは賢明とは言えないでしょう。



ポイントの2つ目は、「記号の活用」です。


数字以外にも、メール文中に記号をうまく活用していくと、読みやさが増します。


記号には、◎●○◆◇※といった項目の前につけるタイプと、

【】≪≫<>『』〔〕など、見出しをカッコで括るものとがあります。


多用するとかえって分かりづらくなるため、同じレベルのものは、同じ記号で揃えることが読みやすさの秘訣です。


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例文1) 数字を活用した良い例

下記の案件について、ご相談させてください。
1.案件概要
企業名 :某化学品大手メーカー
内容 :化学品プラントにおける後継者育成研修
実施時期 :2009年1月or2月
対象者 :定年間際の50代前半~50代後半の20名程度

2.ご相談事項
1) 生産現場における技術伝承が主要テーマです。
××さんはこのような研修のご経験をお持ちでしょうか?
2) 来年1月~2月の金・土の2日間で実施をご希望です。
ご都合のよい日程を複数、お知らせいただけないでしょうか?



例文2) 記号を活用した良い例

下記の案件について、ご相談させてください。
【案件概要】
企業名 :某化学品大手メーカー
内容 :化学品プラントにおける後継者育成研修
実施時期 :2009年1月or2月
対象者 :定年間際の50代前半~50代後半の20名程度

【ご相談事項】
●生産現場における技術伝承が主要テーマです。
××さんはこのような研修のご経験をお持ちでしょうか?
●来年1月~2月の金・土の2日間で実施をご希望です。
ご都合のよい日程を複数、お知らせいただけないでしょうか?



例文3)数字・記号に統一性がない悪い例

下記の案件について、ご相談させてください。
1.案件概要
●企業名 :某化学品大手メーカー
○内容 :化学品プラントにおける後継者育成研修
◆実施時期:2009年1月or2月
◇対象者 :定年間際の50代前半~50代後半の20名程度

<ご相談事項>
1.生産現場における技術伝承が主要テーマです。
××さんはこのような研修のご経験をお持ちでしょうか?
2.来年1月~2月の金・土の2日間で実施をご希望です。
ご都合のよい日程を複数、お知らせいただけないでしょうか?
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短いメールであれば問題ないのですが、たとえ簡潔に書かれていたとしても、長いメールの場合は全体の構成がどのようになっているか分かりづらくなりがちです。


文章にメリハリをつけ、また読み手が全体を把握しやすくするためには、記号をうまく活用していくと有効です。


ポイントは2つあります。
1つ目は、「数字の活用」です。


例えば依頼事項が複数ある場合や、伝達内容が多岐に渡ってポイントを整理して伝える必要がある場合などは、数字をうまく活用すると効果的です。


数字は、伝達内容のレベル感に合わせて、

Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ.

1.2.3.

(1)(2)(3)

①②③

a)b)c)

などを使い分けるとよいでしょう。


ただし、①②③などは機種依存文字と言って、使用するパソコンのOSが違うと文字化けしてしまう可能性もあるため、使用には注意が必要です。



メールは口頭で補うこともできなければ、グラフや表もなく、文字情報だけのコミュニケーションツールです。


このため、読み手の理解度や心情を推察しながら、伝えたい内容や話の流れに沿って意図的に行間を空けていくことが必要です。


目安として、読み手の負荷を考えて、3~5行に1回程度は改行をしたいところです。また、特に長文となる場合は、話題が変わるときなどは2行改行してスペースを多めに取るのも有効です。


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(例文)


お世話になっております。○○○の佐藤です。
本日はお電話を頂戴したようで申し訳ありません。


×××様の案件、受注に至らなかったとのこと、
大変に残念ですが、これに懲りず、またの機会が
あれば、是非、お声かけいただければと思います。



それから、頂戴したメールで恐縮なのですが、
今年も弊社で春の新商品の特別キャンペーンを

を開始しました。添付がその詳細となっております。


ご興味をお持ちいただけるようであれば、一度、
詳しいお話をいたしますので、お気軽にどうぞ。


今後とも、よろしくお願いいたします。
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文字量に関する2つ目のポイントは、「1メールあたりの文字量」です。


1行あたりの文字数だけでなく、行数すなわち1メール全体の文字量も読み手に負担をかけないための大事なポイントです。


理想は、読み手がスクロールをせずに読めるくらいの行数(20~25行程度)に留めたいところです。


用件によっては長くなってしまう場合もあると思いますが、その場合も『序文③ 』で触れたように、できるだけメールの冒頭に何のために送ったメールで読み手に対してどんなアクションを期待しているのかをスクロールしない範囲までに明記するのが鉄則です。


見た目、体裁で最も意識すべきはメールの文字量です。


ポイントは大きく分けて2つあります。

1つ目のポイントは、「1行の文字量」です。


メールの1行あたりの文字数は25~30字程度が最適です。


これ以下だと文章が細切れになってしまいますし、逆に長すぎると少し読み手に負担感が出てきてしまいます。


特に、メールを閲覧する際は、ウィンドウを小さめに開いている人も多いので、その場合、折り返しがたくんされて非常に読みづらくなる場合があるので、注意が必要です。


また、改行する際は、文字数で揃えるよりも、文節や句読点の切れ目を意識した方が良いでしょう。


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(悪い例) 文字数で折り返し


お世話になっております、×××の鈴木です。
昨日の『マナー』研修、大変にありがとうござ
いました。皆さまに大変に前向きに取り組ん
でいただけたので、私自身も楽しみながら研
修を進めることができました。

早速、受講者の皆さまのアンケートを拝見しま
したが、持ち帰っていただきたかった部分を、
よく理解いただけたように思います。あとは受
講生が如何に現場で実践していくかです。是非
また研修後の受講生の様子をお聞かせ下さい。



(良い例) 文節や句読点の切れ目を意識して折り返し


お世話になっております、×××の鈴木です。
昨日のマナー研修、大変にありがとうございました。
皆さまに大変に前向きに取り組んでいただけたので、
私自身も楽しみながら研修を進めることができました。

早速、受講者の皆さまのアンケートを拝見しましたが、
持ち帰っていただきたかった部分を、とてもよくご理解
いただけたように思います。あとは、受講生が如何に
現場で実践していくかです。是非また研修後の受講生
の様子をお聞かせ下さい。
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分かりやすく書くコツ 」では、主にメールの組立・構成について触れてきましたが、一方で「見た目」も読みやすいメールにするための大切な要素です。


ここでは、そのためのコツをいくつか紹介していきたいと思います。

日々ビジネスの場では膨大な量のメールがやり取りされています。


皆さんも経験があると思いますが、忙しい時に見た目で、文字がギッシリと詰まった長々としたメールは、それだけで見るのを敬遠してしまいがちです。


よって、メールの見た目、体裁も読みやすいメールとするための大切な要素の1つです。