東京宝塚星組公演「RRR/VIOLETOPIA」観劇②後編

さて、ひとつ前の記事に続いて

星組公演２幕の感想です。

【２幕　VIOLETOPIA】

ある夜に見た長い夢みたいな不思議な世界観

夢って支離滅裂で、なんでこんな夢見ちゃったんだろうと思いながらも続きみたさに二度寝を試みると、また奇妙な世界に入り込んでしまう。

そんな作品だと思った。

プロローグから号泣

私が在団していたころご一緒させてもらったのは102期生までなので、顔見知りはもう大分少なくなってしまったのだけれど、かつての仲間たちが変わらずそこに居てくれることが、こんなにもしあわせなことかと改めて感じた。

素晴らしいパフォーマンスへの感動と同時に、懐かしい気持ちが私の中に流れ込んでくる。

まるで、客席にいるのにみんなと一緒にそこに生きてるみたいな感覚。じんわりあたたかかった。

舞台にいる全員が、今この瞬間、ただ目の前の人を笑顔にしたいとだけ思っている、その真っ直ぐな眼差しに偽りは絶対に無かった。

そう言い切れるのは、かつて私もその一員であったから。

時に、無理して笑顔を作らなければいけない日もあった。笑うのがどうしてもつらい時があった。でも、それでも、涙を堪えて、指で口角持ち上げて、一歩、二歩、足を前に踏み出して舞台に立つと、そこには拍手で迎えてくれるお客様がいて、ああここに居てよかったと思えた。

逆に笑顔にしてもらってどうするんだ、私が笑顔を届けるんだ！と力が湧いた。

終演後はすこし、心が軽くなっていた。

退団の挨拶で、最後に必ず応援してくださったお客さまへの感謝を述べることがお決まりのようになっているが、決まりでなく、心からそう思っている。

みんな、時に極限の状態で舞台に立っている。だけど、少なくとも客席から見えるその笑顔は曇りなきものだと信じてほしい。

星組らしいエネルギー溢れる総踊り、

端にいても私を見て！と個性を放っている下級生を探すのも舞台を楽しむ醍醐味だ。

今公演で卒業のあおばなくん(天華えま)が眩しかった。バレリーナである彼女の伸びやかなダンスがこのショーでたくさん見られたことは本当に嬉しかった！銀橋で歌う姿は涙で歪んでしまったが、とても素敵だった。

暁くんの女装姿を綺麗だな〜と眺めながら、

同時に、ああ‥またか、と思っていた。

男役が女役をすることに対して、疑問に思っている娘役は少なくない。

娘役はたくさん居るのだ。ただでさえ男役が華型で、娘役の出番自体そう多いわけではないのに、なぜ男役さんに女役をさせるのか、男役さんファンとしてもかっこいい理想の男性像だけ見せてほしい人も多いだろうに‥‥そこまで考えたところでハッとした。

さては現実を教えてくれている！？

現実は美しい女性ですよ、と？？

確かに、私も女装姿と言ってしまっていたでは無いか。つまりは、ガチ恋避けか‥‥

と、実際の演出家の考えはわからないが、元娘役としての疑問はこれにて自己完結とする。

男役フィナーレナンバー

存在感ありすぎサングラスはずっと謎だったが、大階段で全員大股座りは斬新でよかった。

そんなことよりもこっちゃんのジャズソロが凄すぎて次元が違う。日本？

娘役のフィナーレナンバーを見逃してしまった。

男役さんに後ろから合流するスタイルで、しっかり見られなかったのが残念だった。娘役のナンバーと言っても、下級生は一部しか出られないし人数精鋭される分ファンの方に見てもらえるチャンスなのになぁ‥

デュエットダンスで実感させられる「ビッグカップル感」安定感、安心感しかない。

先日舞空先生の退団発表があったが、このコンビは、引き立て合うコンビというよりは、それぞれが実力十分の独立したエンターティナーだから、それぞれの場所で輝き続けるのだろうと思うし、勿論、ことなこコンビをいつまでも見続けたいという気持ちもあるが、そんな枠には収まりきらないお2人なのだと納得してしまった。今後がますます楽しみだ。

と言っても、来たるその日までどうぞよろしくお願いしますという気持ちである。

星組の皆さま、感動をありがとうございました！

cherish now... 今を大切に

ひなの🌸

真衣ひなの

元宝塚歌劇団星組 95期娘役

役者｜イラストレーター｜デザイナー

MC｜ボイス･ボーカルトレーナー｜Vクエ大学演劇講師

3歳からピアノ、声楽、ボイストレーニング、演劇、バレエ、ダンスなどを学び

11歳からミュージカルやディナーショーに出演
15歳の時に宝塚音楽学校95期生娘役として入学
入団後は星組に配属され、2016年退団
現在は東京を拠点に、ライブ活動や、ミュージカルを中心に舞台出演するほか、イベント司会、講師、イラストレーターとして(web用素材、ロゴマーク制作、商業用パッケージのアートディレクションなど)幅広く活動中