もうすぐひな祭り。
ということで、誰かとの話題にもして頂けるのではないかと筆を執る。
前回は、雛人形の "ちがい" についてお話しをしたので今回は"雛人形の見方"の話をしていきたいと思う。
教えてくれたのは、
勝浦市芸術文化交流センターの雛人形博士(勝手に命名)である。
こちらの施設には、ホールいっぱいに並ぶ6000体の雛人形と、日本最大の享保雛のほか、さらに1000体もの雛人形が飾られているのだが、博士はそのエリアに立っており、気になったこと全てを質問責めしたところ、その全てに答えてくれた。
本記事は、きっと皆様も読んだあと人に話したくなるだろう、という名目で、
私が皆様に話したい雛人形へぇ知識を、お伝えするものである。
まずは
様々な雛人形を紹介していく。
雛人形というと、赤色の物を想像すると思うが、こんなものもある。
めでたい感は薄まるけれども、部屋に溶け込みやすく、年中飾っておけそうなシックなデザインだ。
とは言え、
雛人形は早くしまわないとお嫁に行き遅れる、なんて迷信もあるので、年中飾っている家は少ないかもしれない。
たかが迷信、されど、やはり私なんぞは少し気になってしまうな。
( ˙-˙ )
お次はこちらを見て頂きたい。
雛人形は、段上に飾るのが基本だけども、こちらの雛人形はというと、
京都御所のような白石が敷き詰められたところに人形が平置きされている。
これだけでも珍しいが、さらに、屋根が無いのはどうしてだろう?
雛人形博士に聞いてみると、
売れるように だそう。
どういう事かというと、いくら素晴らしい雛人形を作っても、買って貰えなければ意味が無い。
だから、平置きにしたり屋根を付けないことで、買ってもらいやすいようにコストを下げるなどの試みもあったようだ。
こちらの雛人形には、もうひとつ面白いところがある。
気がついた方はいるだろうか?
これでは、7人囃子の〜♪ になってしまう。
そう、五人囃子であるはずのところへ、琵琶と琴が加わっており、こちらの雛人形からは賑やかな音楽が聞こえてきそうだ。
続いてこちらは、
金色が際立つ豪華な作りだ。
御殿作りというらしい。
つくづく、知らないことばかりだ、と痛感させられる。
前記事で紹介した「お内裏様とお雛様の配置の違い」にも驚いたのだが、
私がその次に大きなへぇを発したのが、これから綴ろうとしていることだ。
こちら。
下から2段目の三体の人形。恥ずかしながら私は全く気に留めたことが無かった。
この三体の人形はそれぞれ表情と持ち物が違う。その部分に注目して一体ずつ見てみよう。
三体はそれぞれ、
喜・哀・怒 の表情を浮かべている。
(言われてみれば! であった)
持っているのは、屋敷の周りを掃除する道具。三人は下僕で、怒っている人形の顔色が赤茶色なのは、日に焼けて浅黒くなっているのと、怒って頭に血が上っている様を描いているのだとか。
博士にはこう聞こえるらしい。
「ほかの二人はまじめにやってるけど、こんな仕事、俺はやってられっかー!」
ほら、そんな顔してるでしょ?
博士にそう言われたら、
既にこの時点で博士のことを師と仰ぐ私には、もう、そうとしか見えなくなっていた。
博士が これ、と指を指した。
三体の人形の下にある牛車
牛車を引く牛がいるが、実は雛人形の下段の牛車には、牛がいないものもある。
これは、牛を作る職人さんが少なくなっており、牛一体でも100万円ほどするので、
職人さんが減るにつれ、"牛無し牛車"の雛人形が増えたのだそう。
‥‥深い。
雛人形の面白さは、こんなところにもある。
下から2段目右側にご注目。
お茶点てセットに
碁だったり、
香炉!
依頼主の趣味や嗜好がこのような形になっているのかもしれないな‥
雛人形‥おもしろい!
雛人形は、
時代背景や、土地柄の考え方、依頼主の想いが、見え隠れする。
見方を知ることで、見え方が変わっていく。想像が広がっていく。
雛人形って、こんなに面白いものだったのかと私は感動した。
博士は、この勝浦市芸術文化交流センターへ雛人形を寄贈してくれた人たちのことも記憶していた。
「生きていれば今年10歳になる娘に買ったものだったけど、ここで展示して今度はたくさんの人に楽しんで貰いたい。」
このメッセージと共に送付されたのが、先ほど三体の人形や牛車を紹介した雛人形。
置き場所が無くなっただとか、保管する者がいなくなったなど、寄贈理由はさまざま。
でもどの雛人形にも
想いが込められている。
愛が込められている。
じーんわりと、
あついものが込み上げてきた。
昔は、女の子におこる悪い事が流れていきますようにとお願いしながら、紙のお人形を川に流していたんだって。
形を変え、今もその願いが繋がっていると思うと嬉しいね。
最後まで読んで下さった皆様に感謝と
しあわせが訪れますように願いを込めて。
cherish now... ひなの