ゆる農記『3』 拝啓、梅原真様 2022年8月号 | 迷子の大人たち 3

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~ニワトリノニワ 非公認ブログ~ 
テキトー経営者のエー加減農業日記(昔は) 最近 っぽくなくなってきた。意外とマヂメ?更生した?

進化しない生き物。
 
と、聞いて思う浮かべるのはシーラカンスやカモノハシだろうか。
 
進化と言えば新型コロナウイルスの進化(変異)はとてつもない。未だかつて人類80億もの規模でパンデミックを分子進化(遺伝変異)の観点からこれだけ詳細に追った経験は勿論ない。
 
従って感染力の進化、弱毒化など科学的に極めて価値のあるデータが蓄積され今後の生物学の進歩に貢献することだろう。何より現時点で世界人口の7.4%に当たる5.87億人もの罹患者、そのDNAにウイルスが忍び込んでいるのだ。これが人類の未来にどのように影響を与えるのか。
 
さて、冒頭の進化しない生物の代表格、シーラカンスは深海に住み環境の変化が少ないから、と考えられる。ということは、文明に守られた人間も・・・
 
 
じゃ、いつものヤツどーぞ。
 

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梅原デザイン事務所  梅原 真 様 

 

いつも有り難うございます。

 

人類はもう進化しない。もう10年以上前にイギリスの生物学者が発表した論文である。進化には遺伝的多様性と自然選択、つまり淘汰が必要なのだが、現代人は少子化により遺伝的多様性は失われ、更に文明が進歩したため荒々しい自然による淘汰が行われないため、であるという。
 
ホントにそうだろうか?
 
多様性に関しては今回の新型コロナウイルスなどのパンデミックによって人類に新たな遺伝子が生じる可能性は劇的に増加する。淘汰に関しては、環境的な自然淘汰は起こりにくいだろう。しかしこれについても、もっと致死率の高いウイルスによるパンデミック一発で淘汰は簡単に起き得る。
 
従って人類はもう進化しないという学説については検討の余地ありと私は考えている。或いはそのパンデミックが神を名乗る狂信の手によって起こる可能性も大いにあるのだが。
 
さて、進化と言えば。
 
進化するのはもちろん人類ばかりではないのである。先日たまたまNHKラジオの「子ども科学電話相談」のHPを見る機会があった。過去の質問の中で一つ気になる質問が。それは・・・
 
「魚は何年も人間に食べられてきたのに、なぜ食べられないように進化しないの?」(小学3年生すずねちゃん)
 
このすずねちゃん、毎日晩ごはんに魚が出てくるからなんでこんなにつかまるんだろう 、と思ったらしい。自分が魚なら、と考える感性が素晴らしい。それとも10歳くらいって皆そんな感じだったろうか?
 
この質問に対して答えるのが横須賀市博物館の元館長氏。要約すると、魚は普段人間と同じ環境に住んでいないから人間から逃げる術を学ぶ機会がない。また人間は魚よりずっと賢いからどんなに魚が進化しても必ず捕まえる能力を持っている、だそうだ。
 
E? いや、え?である。この元館長氏子供の純粋な質問に教えられるほど賢くないのでは。
 
そもそも進化がどういう風に起こるのか理解していない。人間に食べられる美味しい魚は今まさに捕りすぎによって淘汰されそうになっているではないか。そして現に人間に食べられない魚もいっぱいいる。つまり食べられないよう進化した仲間もたくさんいる、と言えないだろうか。
 
人間に食べられている魚がこの先淘汰をまぬがれ進化する可能性があるとすれば、人間に都合の良い遺伝子を組み込まれて自然繁殖の道を捨て(られ)養殖魚として閉ざされた暗い未来、ただ食べられるために生きる未来、にのみ可能性がある。これが進化と言えるかは別として。
 
これを聞いて魚の気持ちを考えられるすずねちゃんなら今晩から魚を食べるのを止めるかも知れないが、人間が生きるということは他の生命を暗い未来に追いやること、と理解する良い機会になっただろうに。そしてこのことは魚だけではなく、野菜(植物)や家畜(動物)の運命も同じである、と。
 
人類は、養殖や畜産、農業を自然破壊と切り離して肯定的、食料危機を救う、まるで良いことのように捉えがちである。しかしたとえビーガンだって他の生命の未来に暗い影を落としていることには変わりがない。だからいたずらに正義ぶるのはいかがなものか。
 
我々は他の生命を奪い淘汰を与えながら毎日を生きている。卵を生産する畜産農家として、私は言い訳せず日々向き合って生きているつもりである。
 

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