中学生の生徒さん。
先週試験週間だったので、その振替の関係で昨日今日と連続でレッスンでした。
明日、アンサンブルコンクール出演のための校内選抜があるため、その特訓だったのですが、
うちの教室に来て9か月。本当に上達したなあ。。。と思います。
高音域が、ppの音量で出るようになってきた、
フルートを吹く人ならわかると思います。高音域って出すだけで精一杯なのに、それをコントロールして難なく小さな音で出すのは本当に大変です。
おとなしくてのんびりした子ですけど、芯はしっかりした子なので、ちょっと厳し目に教えています。
別の中学生は見た目しっかりしていて、チャキチャキしているけれど、心の芯が弱いので、こちらは優し目なレッスンです。
ピアノ科の子どもたちもそれぞれの性格があるので、教え方は十人十色。
フルートを教える友人から、「大人は心のケアが大変」と聞きますが、大人も子どもも個人レッスンは、全員指導の仕方は違いますので、大変と言えば大変。
夜の生徒さんは大人の生徒さん。50代半ば、フルートを始めて半年です。
「春の小川」の楽譜を前にして、うまく吹ける様にならなかった、と訴えました。
「春の小川」なんて簡単な曲も吹けなくて情けなくなってくる、とおっしゃって、やがて目に涙がうかびはじめました。
いやいや、
春の小川は、一見簡単そうに見えますけれど、
単純に、たとえば、ハ長で吹くのと、フラットやシャープが山盛りの調で吹くのとでは難易度は違ってきますし、
今は、彼女が吹き始めてまだ苦戦している中音の中~高音域に入りかかるところの音域で敢えて作られているテキストですので、彼女にとっては難しい曲、で当然なのです。
「先生はフレーズを考えて綺麗に流れるように吹いてとおっしゃるけれど、音を出すのが精いっぱいでフレーズが綺麗にならないのです」と涙を浮かべるのですが、
フレーズを彼女が考えているからこそ、音が出てひっかからない場所はとてもきれいに吹けているのです。
でも吹けないところに目が行ってイライラしてしまうのです。
そのたびにイライラして部屋をうろうろして、
30分練習時間があっても、15分うろうろしているそうで、
それじゃ、15分しか練習していないのと一緒なのです。
フルートはオカリナとは違って、吹けば音が出る楽器ではありません。
何と言うか、とても完成されて、非の打ちどころがない。
高いところから平民の私たちを見下ろしているお嬢様なのです。
お嬢様を落として、自分の思い通りにすることは、今日明日で出来ることではないんです。。。
そして、何より、その生徒さんの向上心があるから、望みが高いからこその苦しみなのです。
お嬢様のおそばにいられるだけで幸せです、ってな具合に、マイペースで続ける人もいるわけですから。
確実に上達はしているのに、自分の上達度合いは案外見えないものなのですよね。
ポイントはいろいろとお伝えしました。
「でも先生のことは大好きだし、フルートも大好きなんです」と生徒さん。
吐きだして、私の話を聴いて、
「すっきりした。またがんばろう」と帰って行かれました。
トリプルオカリナ奏者
西村麻衣子