人生を変える小説 by 魔法のネコ -3ページ目

人生を変える小説 by 魔法のネコ

即興小説を書いています。是非ご覧下さい

あるクリスマスイブの夜、北島佳子は24歳の年、冬空を見上げていた。

かなり使いこんだ古いピーコートを着込み、家の庭で空を見て、雪が降らないか

待っていた。12月末独特の冷たい風が顔に当たり、髪をそっとなでる。

横顔はまるで天使のように輝いていた。

「どうしたの風邪ひくわよ」

母親が部屋から声をかけてきた。

私は小さく頷いた。

「25日になったら雪が降るかな?」

私は雪を期待していた。どういうものか見たことも触ったことも

ないからだ。

小さい頃から、南国の暮らしをしていた。父親の転勤の関係で

東京にやってきた。

いつも雪というものに憧れてきたのだ。天気予報を見たら

明日は雪と言っていたので、大喜びで25日の到来を待っていた。

佳子は生まれつき目が見えなかった。

雪というものを見ることは出来ないが、せめて触って見たいと

願っていたのだ。

そして、25日になって、とうとう念願の雪を見ることが出来た。

裏庭いっぱいに雪が引詰められていた。

まるで大喜びした犬のように、庭でころがってはしゃいでいた。

佳子は東京で人生のはじめての恋をした。

彼と出会ったのは、彼が原宿の洋服店でアルバイトをして

彼女が客で訪問したときだった。彼は目の見えない佳子に自然に

接してくれた。

目が見えないとまわりが戸惑い大げさに気を使われたりする。

中には店の奥に隠れる店員もいた。

それがいやで買い物にもなかなかいけずにいた。

「もしよかったら、好きな色とかあれば言って下さい。

手に取りますよ。」

「ありがとう」

「手に取ってみたほうが分かりやすいと思うので、適当に

持ってきますね」

私は恥ずかしさで下を見たまま、微笑で受け止めた。

「何か好きな柄とかあれば教えてくださいね。僕が

君の目になってあげましょう!」

彼はおせっかいなように見えたが、不自然さはなく、むしろ

自然な接客態度だった。

私もまわりの客の反応より、彼の自然さに惹かれる。

そして、私は気に入った洋服が出来た。

すると、彼は着替え室へ案内してくれて、そのまま外で待機を

してくれていた。


私は数分着替えて感触を確かめた。

「どうですか?」

「別に見えないからどうと言われても」

「え?そうですか?見えなくても、感触とか大事だと

思いますよ。」

彼は当たり前のようにかえしてきた。私は正直驚いた。

まるで彼女の目が見えないことと、洋服を選ぶことは

関係がないと言い切る彼を前にすると、佳子は自分が

間違えているのではと思ってくるようになった。

「洋服って大事ですよね。見えないから裸でいいなんて

いったら、裸の王様じゃないですか!」

「変な人。。。。」

私はくすっと笑った。

それから佳子は何回か店に通ううちに、彼に惹かれていった。

彼は中本光一と言った。

光一は、大学卒業をして、洋服店で就職をしていた。

彼は佳子の純粋な心に惹かれて結婚を申し込んだのだ。

しかし、佳子はこのプロポーズを断った。夢のような出来事にも

かかわらず断ったのには、今は気持ちが盛り上がっていても

実際に盲人の人との結婚生活をしたら、彼は気持ちが離れていくと

思ったからである。出会いなんてそのうちいくらでもあると

自分を言い聞かせてみるが、果たして光一ほどの彼に

会えるかどうか自信がない。

佳子は迷っていた。目がみえれば自信が生まれるかもしれない。そう思った

普通の人には目が見えない人の気持ちは分からない。

そんな思いが結婚に踏みこませてくれなかったのだ。

「ねえ今年はクリスマスはどうする?」

母がふと、佳子に聞いてきた。

「今年はそりゃ、彼氏と言いたいけれど、どうかな?」

「へえ、彼が出来たの?」

「違うわよ。そうだといいなという希望が言っただけ」

「ふーん」

「そんなことより」佳子は脱線した話をもとに戻す。

「雪をみたいわ。」

そう、佳子には東京に来てやりたいことのリストに雪を

見るが入っていたのだ。雪を見たら彼と結婚する勇気がわくかもしれない

そして、25日に、雪の予報が出た。

「はあ••••」


佳子はベッドに転がった。実は、25日には特別な

日だった。光一の誕生日、そして雪の日とクリスマスの

3つのお祝いだったのだ。


なんだかやる気がしぼんできた。

光一に電話をしようか、と思っていた矢先、電話が

鳴った。

「はい、もしもし」

すると、相手の話の内容を聞いて心臓が高鳴る。

「実は、サンタマリア大学病院の田中と言いますが、

ご登録いただいた目のドネーションのご連絡が入りました。」

「それは、一体?」

「正確に申し上げますと、眼球の提供が運良くあなた

にまわってきました。」

ん、、、、どういうことだ?佳子はそれがどういう

意味をするとすぐに理解できなかった。

やがてふくらんだ期待が、不安へ広がる。手術が成功するのかどうか


そして、一ヶ月後、手術が行われた。

クリスマスの日にやってきた、あの電話から一ヶ月。

手術は無事に成功した。そして、目をあける瞬間。

「うん、、、これは一体?」

佳子は、早く訪れた春の陽気を目で感じていた。

光が一杯目にはいり、その心地よさに浸っていた。

そして隣の父と母を見る。

「ねえ?チューリップってどの花かな?」

父と母は庭を指さしてみせてくれた。自分が想像していた

以上の美しさに感動をしていた。

じゃ、あれがみたい、これがみたいと佳子は有頂天に

なっていた。

そして、数週間が経過したころ、目が見えるようになると

今度は光一のことが気になった。

目が見えるようになったことを伝えたい。

そして改めて、結婚を受け入れる勇気を持ちたい、そう

考えたのだった。

チャンスの前髪がなくならないうちにと焦っていた。

私はいそいで、携帯電話を鳴らす。

「あの?光一?」

「う、うん」

「わたし、あなたに会って伝えたいことがある」

「うん、いいよ」

「ありがとう」

ぎこちない会話だが、なんとか会話が出来る

急いで、待ち合わせ場所へ向かい、あわてて走る私は角で誰かとぶつかる。

「わっ!」

「おっと」

すると、ぶつかった相手が光一だった。

「大丈夫?」

「ぜんぜん大丈夫」
彼は地面に尻餅をついていた。そして手をとってひっぱりあげて

佳子は驚いた。

光一は目が見えなかったのだ。

なんということか、まさか光一も目がみえないなんて。

そして、自分だけ先に目が見えるようになったなんて。。。。。

佳子の瞳には涙があふれていた。

光一も同じだった。

佳子は、告白をした。

「私があなたの目になってあげましょう!」この一言は

光一がはじめて佳子に声をかけたときにかけた言葉だった。

光一は充血した目からぼろぼろ涙を流していた。

佳子は涙で視界がみえない状態だった。

そして、佳子の手には、自分の目の提供者の名前が書いた紙を

持っていた。

佳子は、看護婦さんと医者の会話を聞いてしまっていた

「ところで先生、あの201号の患者さんの目は

どなたの提供だったんですか?」

「ああ、あれね、本人の希望で言わない約束だった

けどね。どうも男性がどうしても彼女に目を

あげたいって言ってね。提供してくれたんですよ」

「それって、あの人の恋人なんですか?」

「みたいだね。」

私は手に持っていたコップをおとした。

カルテノートには、提供者に「中本光一」と書かれていた。

そう、光一は勇気を持てない佳子に自らの目を提供したいと

思ったのだった。

涙目になった佳子は、空を見上げる。空からは雪のかわりに

桜吹雪がやさしく舞っていた。

光一からもらった目でそれを包みこむように目に焼き付けた。






皆さん、こんにちは魔法のネコです。これから毎週一度週末をはさみ、

ショートストーリーを一週間に一度程度のペースでお送りしたいと思います。



子供の頃、運命の人と結婚するのだと、川越美和は信じていた。

自分の運命の人と結婚する生活を夢みては、様々な想像を思いめぐらせて

いたのだ

けれど、まさか本当に現れるとは思ってもなかった。

しかも同じ職場に現れるとは予想外も予想外。

人生には驚きはつきものと思っていたが、まさかこんな形とは。

私は彼と手をつないで、遊園地を歩く。

指をクロスしながら、手をつなぐことが夢だった乙女心は

20歳にして実現した。会ってすぐにキスをとはいかなかったものの手をつないで

遊園地に彼といけたこと自体が運命的であると考えていたぐらいだから、

実際に、遊園地で売られている、アイスクリームを二人でひとつを分けるなんていうのも

ついでに期待してしまったが、そこまではさすがに発展しなかった。

川越の運命のお相手は内田仁と言った。内田の性格はまじめだった。

内田も川越との交際を真剣に受け止めており、内田は交際一年後に、

結婚を申し出るために、川越の両親に会うことを決めていた。

両親と、彼との顔合わせの当日は、緊張のせいでいきぐるしかったが、隣に座る内田は

沈黙しないようがんばってしゃべり続けた。

「こんにちは」彼はいった。

「お前なんか知らない」予想以上のつめたい言葉を父がはく。

「あ、すみません、声が小さかったようですね。あらためてこんにちは」

「だから、お前なんか知らないって!」

たかが挨拶、されど挨拶というこだわりをもつ父らしい厳しい言葉に内田は洗礼を浴びていた。

返答に困っていたところに父がすかさずいう。

「お前と私は初対面なんだ。だから知らないっていってるんだ。

こんにちは、というのは知ってる人にいう言葉だ。はじめて会うときは、はじめましてという

のが常識だ。」

いきなりの先制パンチに彼は参っていた。

しばらく母がお茶などを出して、やや空気がなごんだときに、

川越美和から切り出した。

「内田さんは、私と同じ丸町銀行の営業をしてるんです。とても

優秀で社内でも期待されてます」

母が感心したような表情をみせ、川越美和は安心した。

「昨今の厳しい経済環境ですが、私はいつも好成績を挙げております。」

と彼は両親に訴えた。

まじめな人だけでなく、優秀さをアピールする彼に私も好感触を感じる。

「ちょっと、待ってくれ」川越の父が口を挟んだ。

髪の毛は年齢のわりにはやたら多く、強面の父でいかにも芸術家という雰囲気をかもしだす

川越美和は時計を見るが、小一時間しか経過していないことがわかりがっかりする

ああ、もっと早く終わればいいのに、そう思ったが、時間はこういうときには

簡単には進んでくれない。隣の内田を見るが、額に汗を大量にかいている。

すでに日は落ちて暗くなっていたが、父はお構いなしだった。

「年齢的には結婚は適してないだろう。まだ若いんだから考え直しなさい」

「いいえ、結婚は早いほうがいいと思ってます。経済的も十分サポート出来ます」

父のかけた言葉にちゃんとおいついていってる彼だった。

内田という人物をちゃんと知っていたのでこういう状況でも我慢強く

がんばるだけに、彼の状況に、さらに心苦しく思う。

台所では居場所がなさそうにしている母が仕方ないという感じで、席について

内田と一緒に向き合う。

内田の引きつった笑みがさらに状況を色濃く物語っていた。

「貯金はどのくらいあるんだ?」父が怒ったように聞く

「大きく言えるほどはありません」必死に内田は説明する。

「じゃあ、それでどう養うっていう気かね。」

「とにかうがんばります。」

「とにかくがんばるだけじゃ、娘は預けられんな」

ここまで、父が反対するのには理由があった。

川越家では、代々茶道を営んでおり、茶道家の婿養子を迎えるのが通例なのだ。

ところが、美和は銀行マンを連れてきたのだから父は怒っていた。

父はすでに許嫁として、関係を持っている駒田家十四代の裏千家のご子息を結婚相手にと

準備をしていたのだ。ましては、茶道の心得も知らぬ若者との結婚を

父が絶対許すはずがなかったのだ。しかし、川越美和は内田仁を運命の人と思っていた。

「なぜそんなに結婚をいそぐんだ?」

内田の目は徐々に力を失うように弱々しくなっていた。

二十歳そこそろこの男性が百戦錬磨の厳格な芸術家を相手にしてるのだから

生たいていのプレッシャーではない。

「答えろ!」父が追い込むように叫ぶ。

内田は頭が真っ白になり、動揺していた。すると、父が続いて話はじめた。

「俺は、銀行員という仕事がきらいなんだ。金だ、金だとばかり言う

そして、金がない人間を切り捨て、金のある人間に変える。

そんな金しか頭になり人間に、芸術を理解出来るはずがなかろう。」

内田は頭をかく。言われて最もだ。銀行マンは勘定して生きているからだ。

内田は最終的に、父から反対されて、私たちは結婚を

許されなかった。川越美和の心は引き裂かれた。

内田と駆け落ちするということも考えたが、両親の心を考えると、

そこまでの勇気はなかった。


(それから50年後)

川越美和は、父の勧めた相手と結婚をしてそれなりの人生を

送り年齢は70歳となっていた。

数年前に夫が他界して、すでに孫も出来る年齢になっていたが、子供には

恵まれず夫婦二人だけの人生を送っていた。

川越美和は、最近、特に内田仁について考えていた。あれから内田はどうしたの

だろうか。そして、まだ生きているのだろうか。

夫が他界して、心細い中、過去の人生をみてみても、内田ほど結婚

したい相手はついに現れなかった。そして夫が他界してからは寂しい苦しい人生を

送っていた。両親のためと思って行った結婚だが、内田と別れたことを後悔していた

夫は確かに良い人だったが、内田ほど魅力を感じる人物ではなかった。

そして、川越美和は考えた。

「内田仁さんと会いたい」

この思いを最初に伝えたのは新聞記者の安西透だった。

安西は、子供がいない川越には息子のような存在だった。

実は安西は茶道を嗜んでおり、大学時代には茶道部の部長をしていた。

川越美和は裏千家の達人だったので、よく茶道部にも顔をだして

一時は顧問もしていたのだ。

「、、、、、、ということよ。」私は内田との出会いと別れの経緯を話終えた。

不意に顔をあげて安西がいった。

「内田さんを探そうよ。」

「どうやって?」

「新聞があるじゃないですか」

そう言いながらたちあがり、携帯で編成部長に連絡をしていた。

「どうしたの?」川越が声をかけると

「しっ」と指を立てて、こちらをみる。

「オーケー、編成部長から紙面をもらった。50年を超えた愛という

テーマで、初恋の人を探す茶道の名人というタイトルで予約しました。」

「ちょっと、まって、そんな、急に、だいたいそんなのみるかしら」

「やってみないとわかりませんよ。」

翌日の新聞の記事に安西のものが乗った。

そこに書かれたのは、内田仁と、川越美和との出会いだった。

安西が言う通り、反響がおおきかった。

自分が内田ですという人も多くいたが、決定的な証拠はなく、正確情報が集まらなかった。

記事は計3階連載したが、結果、内田仁から連絡がくることはなかった。

「ごめんね、お母さん」安西は言う。


安西は川越美和のことを親しみから「お母さん」と呼んでいた。

「死んじゃったのかもね。もう年齢も75歳ぐらいだし」

そして、月日はたち、一年後のこと。

安西は山手線に乗っていた。

持っていたのは、丸町新聞の記事。記事には、初恋の人というテーマで

恋愛ごとが書いていた。書いたのは別の記者だが。

こういう記事をみると、いつも思い出すのは、川越美和の記事のこと。

反響は大きかったものの、情報はこなかった。

川越美和はあの後に病気になり残りの人生は決して明るくなかった。

安西は、恋愛記事を読みながら、ためいきを深くついた。

「悩みの恋ですかね。」となりの老人が声をかけてくる。

「あ、いいえ、」安西は照れたように新聞をたたんだ。

「失礼ですが、恋愛記事をみながら、ためいきをついておられたので

声をかけてしまいました。

「実は、過去に初恋の人を探す老人の記事を書きました。」

「それは成就しなかったんですか」

「だめでした。知り合いの方が若い頃に好きだった人と結ばれず

今でも会いたいと探していたので、私が記事を書いたんですよ。」

「あなたは新聞記者さんでしたか」

「はい、そうです」

「それは大変失礼しました。私もかつて若い頃に大恋愛をして

彼女とは結ばれませんでしたよ。」

「ああ、そうなんですか。それは苦しいご経験をされましたね」

「実は、私も同じような経験をしましたよ。両親の反対で結婚

でしなくてね、今でも後悔してますよ。」

「そうなんですか。」

「50年の恋ですが、きっと川越美和さんの想いは相当強かった
んでしょうね。よく分かります。私も同じですから」

「そうですか」私は答えながら、この老人に好感を持っていた。

とても紳士的に、考えも若い。そして何より自分がイメージしていた

内田仁にピッタリだ。

「まさか、内田仁さんじゃないですよね?」

彼は最初、「えっ?」という表情を見せた。

一拍おいて、答えた。

「残念ですが、内田さんじゃないです。」しかし私は話を聞いて

もし出来れば、川越美和さんとお会いさせて

もらいたいと思いました。私は内田仁さんではないですが、

同じ過去の傷を持つ者として、ぜひ川越さんとお友達になりたい
と思いました。」



(数ヶ月後)

安西透様、:先日は川越美和様の件につきまして、電車で偶然声をかけて

かけさせていただいた者です。おかげさまで、川越美和さんとは

お食事をさせていただき、意気投合し、おつきあいをさせていただいて

いる状況です。二人とも寂しい老人通しでしたので、心通じ合える

異性と出会えた奇跡に感謝しております。これも安西様のおかげです。

ありがとうございました。



川越美和は、結果、内田仁を探すことは出来なかったが、想いは

別の形でつながったように思う。この世の思いというのは、

すべて何らかの形で互いにつながっているのだと思う。そして想いは予想しない形で

実現してくれるものだと思うのだ。



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「りんごはハチミツつけても、ジャムつけるなって」昔からいうだろう。

「なにそれ?」

里奈は父に聞き返しながら、はちみつを漬けたレモンを紅茶に入れながら

そのままカップにつけた。最近ではオーガニックのレモンが多く市場に出て

いるので、安心して皮のままつけられる。こうしてレモンは紅茶に入れるのが

一番うまい。

そう教えてくれたのは、父の武だったが、とうの本人といえば、レモンはもっぱら

お魚につけるソースでかなく、飲もうとはしない。いつも、レモンを四分の一

にきっては醤油もつけないで、レモン汁だけをかける。

「りんごはハチミツつけても、ジャムつけちゃいけねえという意味だ」

「だから意味は分からないって。」

里奈のいらだった声に、武は戸惑った。

「なんだ、お前ジャムつけたことないのか?」

「ジャムは知ってるけど、りんごにつけるなんて聞いたことないよ」

「いいか、もう一度いうぞ。リンゴとジャムはあわない。」

笑いながら、三たび武が言う。

「お父さんはいつも変なことばかりいって。」

里奈も徐々に強い口調になった。そのうち父への指摘から、軽蔑の視線に

かわるんじゃないかと心配になり、母の友子が台所から見ていた。

これがいつもの変わりのない田中家の夕食風景だ。

武と里奈のこのやり取りが、友子は大好きだった。年頃の里奈には大変申し訳ないが

武とのこんなやり取りもいつまで続くのかと思うと感慨深い思いでいたのだ。

今日は、特別な日だからさらにうれしい。

「ちょっと、お父さん、あんまりしつこいと嫌われるわよ」

友子は笑いながらつっこんだが、あまり効果はなかった。

里奈は、お母さんだってと、思うわずいいそうになったが、その言葉は

いわずにやめた。


今日は特別な日。それは里奈の結婚式だからだ。

父の武はアルバイトの日々だが、かつては地元の大手の建設現場で主任をしていた

しかし、十年も前に現場で怪我を

して会社から解雇されていた。会社で木を切るためにチェーンソーを利用しており

その日武は、木を切る仕事をまかされた。現場経験がない武は戸惑ったが

武は会社に対して、経験がなく危ないので別の仕事を

まかせてほしいと訴えると、仕事を選ぶなんて大した度胸だと

解雇をにおわせてきた。仕方なく、作業をはじめたが、安全装置が

故障していたのに気づいて会社に指摘もした、しかし、装置改造には

金がかかると無視をされた。その結果、誤作動をおこして、腕を切断する

事故が発生したのだ、すぐさま病院に運ばれたが、腕はもとにはもどらず、

それからというものの重労働は出来なかった。


会社からは保険金が支払われたが、裁判の結果、過失割合は五分五分と

判断されて、支払われた金額は大きな額ではなかった。

同僚が、安全装置は壊れていないことや、自分から進んでアピールのため

あの仕事をやったなどと嘘の供述をしたのだ。会社からお金が支払われたと噂された。

その結果、武は仕事も腕もなくしてしまったのだった。


腕をなくした武は妻の友子、娘の里奈と家賃の安いアパートへ引っ越しをして

妻のパートと、武のアルバイトで生計を立てていた。

もっぱらコンビニのアルバイトをはしごする日々で、とても里奈の

大学や結婚式の費用など捻出できない状態だった。

しかし、この6月にハワイで結婚式をあげて無事に娘を嫁に出せるのは

リンゴの木のおかげだった。


話はさかのぼり里奈が誕生する年のこと。

「武くん?」

そう言われて街で呼び止められた。

それは大学時代にお世話になった原田先生だった。

「驚いた、いつからこの街に?」

「実は事故で腕を失いまして、引っ越してきました」

「そうなの。。。」先生は言葉を失った。

数分間、沈黙が続く。

「先生はお元気でしたか?」私は何か話題を探そうと切り出した。

「ちょうど、大学へ行くところ。新しいクラスがはじまるからって

学長から連絡が入ったので今から会議をしにいくところなの」

「そうだ。あなたにいいものをプレゼントするわ。」と苗木をくれた。

「なんでしょう」

「これを庭に10個埋めなさい。」

「これって何の木ですか?」

「ふふふ、秘密よ。でもきっとあなたにいいことが起きるわ。お子さんが生まれると

おっしゃってたわね。生まれた日に庭に埋めて。」

「なんか楽しみですね。」

それが、りんごの種だと知ったのは里奈が小学校に入っての頃だろうか。

りんごは9年になると苗木から実にあるそうだ。

「あと、3年ぐらいだな。里奈がちょうど、小学校3年生になるころか」

武はつぶやく。

そして、3年後、武、友子、里奈の家族は縁側に腰をおろして、

みんなで庭を見つめた。

「さあ、はじめよう」武の号令とともに、収穫を開始する

私たち家族は、りんごの実を見るたびに、まるでリンゴの演奏者たちが

演奏会をしているような気持ちで眺めるのが日課だった。

風に吹かれてなんだかうれしそうに実をゆらしているように見えたからだ

りんごはうれしげで、幸福そうな赤色をしていた。

思わず、武は身を乗り上げた。

仕事中に腕をなくして以来、落ち込んだ生活をしていたが、りんごの赤色に

心が救われた気がしていた。そして家族みんなでリンゴを食べるのが

日課になった。

りんごの効能には、便秘、疲労回復、美肌、ガン、糖尿病などがあるおまけにおいしいのだからこれほどすばらしい果物はない。

私は収入は少なくなった反面、家族との時間が増えてそれなりに

満足していた。

しかし、満足するだけでは幸せにはなれないことも知っていた。

里奈は18歳になり、行きたい大学を見つけたのだった。

武は、里奈になんとか大学にいってほしい。しかしそのお金が

なかったことがはがゆかった。

武は金策に走るが、お金を貸してくれるところなどない。

そして奇跡が起きた。

ある時、りんごの苗木をくれた原田先生が電話をしてくれた。

「どう、武君。調子は?」

「先生、おかげさまで家族仲良く暮らしておりますが、娘の行きたい

大学にいかせてあげられなく苦しい状況です」

「そう。分かったわ。あなたの庭には私があげたリンゴの苗木が

育っているころね。」

「先生のおかげで娘もリンゴと共に成長しました。」

「良かった。あなたにいいニュースがあるわ。私の知り合いにリンゴが

ほしいお店があるそうよ。そのリンゴはまだ日本にはない新種だから良い値で

買ってくれるそうよ。もちろんあなたに興味があればの話だけど」

「まさか、あのリンゴが売れるとは」

その買い手は、向こう三年分を先払いしてくれたのだ。

りんごの木は、家族の栄養や、幸せを与えてくれるどころか

大学まで行かせてくれた。

一本のりんごの木が40万円ものお金を作ってくれたのだ。

里奈は、大学を卒業してから、立派な青年と出会い結婚した。

そして、そのときにまたリンゴの木が資金を作ってくれたのだ。

武は、リンゴの販売店を開いて、インターネットでの販売もはじめた。

彼と彼の家族はリンゴの木と人の思いやりによって救われた。

<完>






参照本:月と蟹:道尾秀介著、
マンゴの木の保険:http://www.downtoearth.org.in/node/1475

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☆お知らせ。メッセージでものせましたが、大変勝ってながら未完のまま

第三作目のキャットフィッシュボーイの執筆を終了します。

作風を、原点に戻して、再び魔法のネコの物語をかきはじめます。

今後ともよろしくおねがいします。

最後に、書いたとこまでアップします。



「君だな。西君の友人で逆ラジオの装置を開発したのは。」

田島は何も応えなかった。

「研究というのはただ単に勉強だけしていればいいのではない。開発費を

得られないと学術というのはのびないのだ。ましては人助けをするためには

大掛かりなお金がかかる。どういう経緯であろうと。とにかく

大事なのは結果を残すことだ。君らにはそれがまだ分かっていない。本当の

厳しさを分かってはない。

僕はたまらず反論した。

「しかし、どんな経緯といっても人から盗む行為が正しいとは僕は思いません。」

「甘いな。研究というのはチャンスを逃さないことだ。そしてそれは下だろうと

上だろうとすべては下克上の世界だ。発表したものが勝つ。ただそれだけだ。

言い訳など見苦しい。」

「田島くん、君は確かアメリカにいく前にこんなことを言っていたな。

世界を救うとか。まさか逆ラジオで救うとは考えてまいな。あれは

まだまだ未完成だったぞ。私の開発した端末を見たまえ。あれこそが

資金力があってこそ出来るわざだ。」

「俺はまだまだ対抗策を持ってますよ。先生。」

「ほお。どんな」

「あの装置はまだまだ未完成ですよ。ただ一つ完成する方法があります。

それはこのナマズボーイの力が必要なんです。」

「笑えないな。西君の力だと?見せてもらいたものだ。」

「半年でその装置を完成させますよ。そしてこのナマズボーイが世界を変えます。

そのとき、先生は我々に謝罪してください。きちんと盗作を発表した上で。」

「面白い。やってもらおうじゃないか。田島、ずいぶん甘く見てるようだが、

お前の装置の問題はソフトだ。精度が悪い。だから、その点は俺はすでに

ソフトウェア専門の会社に依頼をしている。次の装置には新しいソフトを入れて

改善するつもりだ。」

田島は無言になった。しっかりと問題も把握されている。

僕らは言葉につまった。一体どうすればいいのだろうか。

ナマズボーイが六ヶ月後に世界を救うなんて出来る

のだろうか。

それから一週間後、僕は部屋にこもっていた。しかも田島の自宅だ。

彼の自宅は最適な研究室だということが分かった。寝床も快適ではないが、

布団と枕ぐらいはある。一番良かったのは、研究所の宝庫だということだった。

田島は何十年もかけて地震とナマズについての研究を続けてきたようだった。

彼はハードの世界でそれを実現しようとしていて、私はソフトの世界で実現

しようとしていたのだ。

考えてみると、二人はともに違う道を歩んできたように見えて、同じ道で

交わりあっているのである。

田島は、しばらくは自分のペースがあるだろうと、私を放任していた。

おかげで、自由に研究を続けることが出来た。

後で、田島に聞いたことだが、なぜ、あのときにすぐに谷森教授を訴えること

をしなかったのかと

聞いたら、あの時に彼とせめても、なんの盗作の証拠がないし、

すべては彼の手の内の中だという

ことを言われた。だったら、体制を整えて戦おうというのだ。

これを聞いて、田島は冷静なんだと改めて見直した。

「なあ、田島、俺らは本当に世界を救えるのだろうか。正確な大震災が起こるときを

把握するなんていうことが出来るのだろうか。」

「それは、分からないな。」

「なんだ、確証があるんじゃなかったのか。」

「いや、俺は確証があるんじゃない。確信があるだけだ。」

「確証と確信はどう違うんだ。」

「確証とは、確たる証拠があること。確信とは、固く信じること。」

「どこが違うんだ?」

「全然違うぞ。俺は証拠がないが、お前が成功するということを信じてる。信じることしか

今は出来ないんだ。」

田島がここまで純粋に信じる意味が分からなかった。僕に次第にプレッシャーを

襲うようになってきた。

「六ヶ月なんて約束を勝手にするなんて自殺行為だ。」僕は叫んだ。

すると、田島は静かにいった。

「いいか、西。覚えておくことだ。これは大事なことだ。本当に大事なことは

思い込むことだ。そう信じることだ。信じるというのはものすごい力なんだ。

そして信じ続ける心があれば、実現するんだ。おれは、谷森教授が盗んだであろう

俺の装置などどうでもいいんだ。もっと信じることは、お前が実現するということで

その機械が大地震から多くの人をすくということ、そしてその大地震はもうすぐ

起きるということ。この3つだけだ。」

すると、私はふと、不思議なことに気づいたのだ。この部屋はなんだか変だという

ことに。

何がへんなのか?私はそれを知ることで衝撃の事実を確認してしまった。

それは田島を本をとろうとして落としたときだ。彼は本を見ようともせず

手探りで、それを探していた。何が変だと私は確信した。

もしかしたら、私はある疑問を持ち始めていた。そしてその疑問は

台所へいって確信した。

なんと、台所の電気が全部消えて真っ暗なのである。

「やはり、君は」私は気づいた。

「実は君は目が見えないのだろう」

「やっと分かったか。いつかはいわなくてはいけないと思ったが、君が

一緒にやるという動機付けを同情ではなく、本気で世界を救うと思ってくれないと

いけないから言いたくなかったんだ。過去に、同情でつきあってくれる人が

何人かいたが、同情は長続きはしないものだからな。」

僕は彼の目の原因を聞くのを避けた。すると田島から切り出した。

「俺の目は、震災で失った。実は、神戸の震災が発生した時、

俺は神戸に住んでいた。そこで、ガレキの破片が目に当たり、打撲で

視力を失ってしまった。俺は元々ソフトウェアの技術者を目指していたが、

目が見えなければプログラミングがかけないので、断念して手で

触れてなんとか分かるハードに進路を変えたんだ。

だから、震災は俺にとって敵にも等しい相手だ。今度は俺みたいな人を

一人で減らそうと、次の大震災を予測して警告を出して助けたいんだ。

俺だって、もしあの時、少しでも早く教えてもらえたら、目だって

見えたはずだ。俺はいつもそんなことを考えてしまう。一時は自暴自棄に

なって荒れたりした。しかし、そんなことを考えても何も変わるわけじゃ

ない。だったら、前向きになろうと思い、アメリカへわたって向こうで

目が見えなくても出来ることはたくさんあると気づかされた。

自分は、もしかしたら、この装置を開発すれば、人生が変わるのんじゃない

かと思ってるのかも知れない。

見えなかった目が見えるようになるかもしれない。そんな気がするんだ。」

僕には、彼がなぜそう思うのか理由は分からなかったが、


何か前向きになれる目標というものを大切にしているのだろうと考えた。

二人とも七日間食事はファーストフードか、出前だけで乗り切って田島の家に

こもって地べたで寝ながら開発を続けた。

八日目になり、ある晩、西は、田島のいびきで目が覚めた。


西は、改めて自分のおかれた状況を想像してみた。自分の尊敬していた教授が

友人の機械を盗作して、お金をもうけた。しかし、その教授が盗作した機械を

上回るには、自分が新しいナマズのロジックでプログラミングをしないといけない

現実なのだな。しかも後5ヶ月ちょっとで仕上げないといけない。

田島いわく、装置は精度はないが、一ヶ月以内のものは精度100%で当てるという。

実際に、彼が試したところ、装置は大地震を六ヶ月とちょう

ど10日後に

起きると算出したのだ。

本当に、マグネチュード9.0級の地震など起こるのだろうか。六ヶ月前後にそれが

起きたら、一体東京はどうなるのだろうか。

私は大地震が起きることを想像してみた。そして、それがどのくらいの被害なのか

考えるとぞっとした。

田島は、夢でも見てるのだろうか。いびきがさらに大きくなり、僕の目はまったく

さめてしまった。しばらく考えているうちに、朝日が登ってきた。どうやら夜が明けて

しまったようだ。

私は改めて明け始めた太陽をみながら、誓った。自分が出来ることは精一杯やろう。

どんな現実でも自分は今、一人の人に必要とされている。そしてこれが

信じられるかどうか分からないにせよ。世間の人を救うことになるかもしれない。

だったら、これが天命かも知れない。

父がかつていっていた不思議なことが起きているのかもしれない。自分は決意をしていた。

これがきっかけで田島の目が見えるようになればそれは奇跡なのかもしれない。

そう思うようにした。

数時間がたち、田島もようやく目を覚ました。

「なあ、田島、谷森教授のチームは装置の問題をいち早く解決するだろうか?

だって、向こうは専門家だし、俺はソフトウェアは昔やっていたといういってもレベルは

遥かに下だ。」

「分かってるさ。でも俺たちの重要なのは、向こうよりも良いものを作ることじゃない。

世界を救うことさ。」


(((未完のまま、執筆終了)))

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疑って安全を取るよりも、裏切られるほうが良いとはよく言ったものだ。

しかし、僕はここまで信じてきっていた人に裏切られるとは

思ってはいなかった。

あれから数ヶ月後のこと、Youtubeでは谷森教授のサイトが爆発的な

ヒットを生んでいた。それは彼が発売を発表した機械にあった。

それを一目みて、これは何かの罠かと思った。

見た瞬間に「やられた」と分かったからだ。

「谷森教授が開発した「逆ラジオ型情報端末。あなたもこれをポケットに

入れておけば地震が起きる前に逃げることが出来ます。」

それは田島の機械を盗んで得た功績だった。まさか谷森教授がこんな

ことをするなんて思いもしなかった。後で調べてところ、あの装置を

数時間借りて、提携している企業へ持ち込んで、分解をして小さな端末を

開発したという。私は怒り心頭で、教授室へかけこんだ。谷森教授は

予想していたのか、冷静に私に腰掛けるよう進めた。

「まあ、座りなさい。立ち話もなんだろう。」

私は、それを拒絶した。彼の言葉など信じたくも、聞きたくもなかった。

しばらくの間、谷森教授は私をじっと見ていた。

「あなたは、私の友人の機械の構造をぬすんだ」

「ぬすんだ?それは人聞きが悪い」

「じゃ、どうしたっていうんですか?まさか急に思い付いたなんて

見え見ての嘘をつくんだじゃにでしょうね。」

「君は確かにすばらしい端末を持っていた。そしてそれを私は数日借りた。」

「そうですよ。それをあなたは企業へ持って盗んだ。」

「それは誤解だな。君はずいぶんと確信を持っているようだが。

私の開発した端末と、君の機械がたまたま同じ構造をしてるだけで、ましては

君の友人の開発した装置は特許も取っていない。証拠はどこにもない」

「証拠とかそういう問題じゃないですよ。モラルの問題ですよ。」

「モラルとは話は違うな。これはビジネスだよ。研究とはビジネスだ。お金がないと

研究だって出来ない。だから私は端末を開発した。それだけだ。」

二人はしばらくにらみ合っていた。平行線が続いた。そして谷森教授が口を開いた。



それは一体なんなのか、次回明らかに!


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翌々日、私は田島と再会を果たした。週末のラーメン屋で再会した

その日は僕は対して用事もないので、町中をぶらつこうとしていた。

すると、ちょうど携帯電話が鳴ったのだ。

「よお、奇遇だな」そう田島は言った。

「いや、奇遇もなにも、君が電話してきたんだろうに。

「ああ、そうだったな。」

僕は田島という男が最初は嫌いだったが、案外憎めない人間だと思う

ようになってきた。何か一言を言わないと気が済まない性格なのだろう。

しかし、それも彼の性格のひとつだと思うようになっていた。

「ちょっと、機械の様子を聞きたいと思って。何か進展はあったか?」

僕は谷森教授に貸していることについては田島には伝えてなかった。

嘘はいやだと思ったが、あえていう必要がないと思っていた。

許可をもらわずに貸してしまった罪悪感も感じていたからだ。

「ああ、順調だよ。なかなかすごい機械だね。」

まさか手元にないとは言えない。もし家に来るなんて言われたらどうしようかと

ドキドキしたが、幸い、そうしたコメントは登場しなかった。

「で、今はまだ調査中というわけだ?」

「そうだね、後2週間はほしいな」僕は適当な日付を渡していた。

「その時に君から大きな進展がくることを期待しているよ。

その時の田島はなんだか様子が変だったが、特に突っ込むことはしなかった。

「実は、状況は変わったんだ。」

「状況ってなんの?」

「いや、お前に前に話しただろう。逆ラジオのソフトの問題について、

あの開発に対して、投資をしてくれるっていう人が見つかった。」

「へえ、良かったじゃん」

「ああ。お前にもそのプロジェクトに関わってもらいたい。」

着々と思いを実現させていく田島に対して一種尊敬の念を持っていた。

「このラーメン、豚骨ですか?どのくらい煮込んでますか?」

田島は店主に相変わらず非常識な質問を投げかけていた。当然店主は苦笑いをしていた。

彼との距離感というものがつかみかけている気がした。
翌日、東西大学の谷森教授から呼ばれた。

「これ、君が作ったの?」そういいながら「例の機械を手にしていた」

田島から借りていたのだが、研究室に持ってきてしまったのだ。

うっかりしていた。

「あ、いや。。。」

僕は嫌な予感がした。谷森教授に変な機械を見られてしまった。

動揺した。慌てて、それを隠して、机の中に入れた。

「これはただのおもちゃですよ」

「おもちゃ?」

そんな言い訳しか思いつかない自分に腹立たしい。

なんでおもちゃを持ってきたんだ!とおこられるかと思ったが反応は違った。

「これ、すごいじゃない。あれでしょ。逆ラジオじゃない?君が作ったの?」

その機械を見てすごい反応を示した。どちらかというと不快というよりと

感激という印象に近い。

「これちょっと貸してくれない?」谷森教授は聞いてきた。

私は、躊躇していた。なぜなら田島が機械を貸してくれるときに

こう言い残したからだ。

「この機械は誰にも貸すな。邪魔な奴が現れるからだ。」

しかし、谷森教授は自分の研究室の教授だ。教授までなる人が

邪魔などするはずがない。もしかしたら、彼が世界を救う人間になるかも

しれない。少なくとも自分よりは遥かにその資格があるはずだ。

しかし、そんな私の思いとは裏腹に驚く展開へと発展していくのであった。


それは一体なんなのか、次回明らかに!


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そうだ。俺は目星はついてるがまだ確証はない。君には申し訳ないが、君だって

そいつのスパイだってありうると思ってる。

「す、スパイだって?君が自分で勝手に呼びつけたんだじないか。」

「いいや、それも作戦のうちかもしれない。だって、だいだいお前はコピー機に俺がいたって

知ってたんじゃないか。」

「そんなの知るか!」

「まあ、それは、いい。お前が、偽物の西隆じゃないと証明してくれればいい。」

「証明ってどうすればいいの?身分証明書はあるけど。」

「いや、偽造かもしれん。」

「。。。。。。。」

それから西と田島は十分ほど不毛なやり取りを続けた。そして

こう田島が切り出した。

「分かった。じゃ、分かった。西隆と言えば、ナマズだ。難しいナマズの

質問をしよう。これに正解したら、お前を西隆と認めよう。」

「。。。。。」

「クイズスタート!栃木に巴川という川があり、そこにナマズの伝説がある。

昔、干ばつがひどくなり、川がひあがってしまい、ナマズが苦しそうに

水たまりで苦しんでいた。それを街の住人が、助けてあげて、川に返してあげた。

さて、どんな恩返しをしたでしょうか?これが質問」

「子供を助けてあげた?」

「な、なぜ分かった。。。。さすがキャットフィッシュボーイ」

「いや、だって、俺は栃木の巴川出身だし。」

「。。。。ふふふ、西隆は栃木出身だというのは聞いていなかった。

まあ、これぐらにしておいてやろう。」

というわけで、ようやく僕は田島の尋問から解放された。

翌週になり、不穏が動きが早速起きることとなる。それは自分の想像以上の形で現れた


それは一体なんなのか、次回明らかに!


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「君が開発したソフトは、プロからしたらいまいちかもしれない。

実際にプロにテストさせてもらった

しかし、プロの彼はこう言っていた。」

「このエンジニアは確かに技術的にはまだ幼いものがある。

しかし将来性はある。なぜならナマズのことをよく知ってる。だから俺らには分からないロジックで

ソフトを書けるかもしれない。プログラミング言語より、もっと重要なのは、

その物についての深い知識なのだとさ」

しばらくその部屋にいて、よくよく部屋を見ると、驚く発見があった。

部屋はまるで要塞だということが分かった。ドアも特注の頑丈な材質で作られていて

部屋はすべて鉄の柱で固定されている。地下室もあるようで、そこに地震を分析する

機械がおいてある。一体、彼の両親は何者なのだろうか。

「いいか、心がまえを今から伝える。俺とはじめて会ったときに俺が

言ったことを覚えているか?」

「ああ、世界を俺が救うだろ?」

「忘れてなかったな。」

「忘れるか、そんなこと言われることなんて人生に一度あるかないかだからな」

「あれは嘘じゃない。俺は嘘はきらいだ。嘘つきは泥棒のはじまりっていうだろ。

嘘っていうのは、人間の性格を曲げてしまうからな」

僕は頭をかく。彼はなんの根拠を持ってそんなことを言うのだろう。

「お前がこれからやる行為にはあらゆる邪魔が入るはずだ。」

「一体誰が?」

「世の中には理不尽なことがあるんだ。」


それを聞いて、僕ははっとした。いつか父が言っていたことがあった。

いいか、隆。この世は希望も多いが、理不尽なことも多いんだ。しかし、

希望を広げるかどうかは

お前次第だ。それを忘れちゃいかんぞ。

「それって、つまりこの世を救う行為を快く思わない人がいるってこと?」

僕は、これがまだ大きな戦いのスタートだと気づいてはいなかった。
「致命的な問題とは?」

「この装置は大地震は予測が出来ない。つまりマグネチュード8.0までは感知するが

9.0以上の大地震は感知出来ない」

俺はここ数年以内に9.0レベルの大地震が東京で起きると考えている。」

「まさか?」私はうなった。

「必ずあると思う」田島はしばらく考えこんでいた。何か確信があるようだった

「そこでだ。それを明らかにするためにお前の力が必要なんだ」

「俺の力が?」

「そうだ。お前の論文をアメリカで読んだことがある。

ナマズの生態を記録して、動きを暗号化

して分析をしてただろう。特にナマズにCCDカメラを移植して画像記録をして

ナマズの電気感覚をソフトで記録させたのには驚いた。」

「ありがとう。実は俺は昔から、コンピュータソフトが好きで、

プログラミングも自分で組むんだ。」

「よく知ってる。調べさせてもらったからな。だからお前が必要なんだ。」

「俺の開発した装置の問題は、ソフトなんだ。

すでに知ってるかもしれないが、

地震がおきる基本のメカニズムは、岩盤と岩盤がこすれ、静電気が生じて、

地中の水を

電気分解して生じた水素が爆発したものだと考えている。

しかしながら、マグネチュウード9をこえるとなると、電気的な動きも複雑になり

俺の装置だとそれを把握することが出来ない。

アメリカの大学で開発してもらったソフトだが、限界があるそうだ。

しかし、それを把握する方法がひとうだけあるそうだ。

「それは?」私は聞き返した。

「つまり君の得意なものを取り入れるってことさ

「得意なもの」

「まさか、それは??」

「そうだ、その通り!」



それは一体なんなのか、次回明らかに!


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