初めてその音楽を聴いた瞬間、心が震えて思わず足を止めて
音のある場所へ歩き出していた。
人だかりの中に 貴方がいて
僕がずっと聞きたかった音がその場所には満ち溢れていて。
貴方がまぶしく映り、僕の頭から離れることは無かった。
「ヴァイオリンをあんな風に奏でるなんて・・・」
ぺこりと頭を下げヴァイオリンを片付け去っていく君の後ろ姿を見送りながら
僕はそっと呟いた。
君の音楽が聞きたくて―――。
君のことが知りたくて―――。
ずっと遠くから見つめていて。
それだけじゃもどかしく思えてきた。
演奏を終えた君に、話しかける友達。
君と一緒に演奏をしていた仲間だろうか
君と楽しそうに会話をして、音楽ができる。
それが僕には羨ましくて、そして少し妬ましいかった。
僕を君は知らない
分かっている。
分かっているけど、君の傍で音楽が聞きたくて
奏でる音を聞きたくて。
「僕は、君の音楽に惹かれて・・・。でも・・」
君に僕の声は届かない。
なら僕が君の場所へ行けばいい。
君のいる音楽のある場所へ――――。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
あとがき
金色のコルダで加地君を演じていらした、宮野真守さんのご結婚の記事を目にして
本当なら昨夜に更新予定でしたが、ちょっと手違いで本日になりました。
おめでとうございます。(・ω・)/