信じていた日々と幸せ(8) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「た、玉依姫様が!」


聞こえた言葉。背中に冷たい何かが落ちる。


「亮司さん」


ほんの、一週間前。僕に笑顔を向けて手を振り楽しそうに言葉をかけてくれた君が

今は何も話さない。瞳を開かない。


「・・・状況を」


動揺を隠し切れなくて、それでも冷静に状況を把握しようとしている自分に吐き気がする。








********



「大丈夫ですか?」


卓が肩に手を乗せ亮司を心配そうに声をかけた。

他の守護者も同じだったようで、感じる視線と瞳で物語っている。


「珠洲ちゃんは」


「守護者が、村へ連れてくるようです。とりあえず守護者が帰ってきてからではないと」


「そう・・ですか」


俯き小さく呟くと珠紀は、亮司を見上げる。

亮司はいつもと変わらない表情を浮かべ、卓と今後について話していて

珠紀の視線には気がついていないようだ。


(卓さんも、天野さんも・・・・)


「大好きな人です」


嬉しそうに自分に言った珠洲の言葉、表情が頭をよぎる。

頬を赤らめて嬉しそうに亮司の事を話す珠洲の姿。

今、彼女に何が起きているのか。

そもそも、なぜこの村に来る必要があったのか。

ちらりと卓へ視線を向けるが、珠紀の視線に気がつく事無く

少し険しい顔つきで、亮司と何か話している。

他の守護者へ視線を向けると、複雑そうな顔を浮かべ何かを考えているようだった。


(私だけ・・知らないの・・・?)






きぃぃぃ・・・・ん





「珠紀先輩?どうかしましたか?」


急な耳鳴りに、思わず耳を押さえた珠紀に隣で座っていた慎司が

心配そうに声をかける。


「ううん・・。大丈夫」


「何か、感じたんですか?」


「そうじゃないの。少し耳鳴りが――」





ガラリ――――。



言葉を続けようとした珠紀。けれどそれは開かれた音と

現れた人物によって止めざるを得なかった。


「連れてきた」


そっけない言い方だが、抱き上げて連れてきた人物を見つめるその瞳は

優しく、暖かで・・。

すぃ・・と彼と変わるように彼女の元へ亮司が近づくと

彼に抱かれながら眠っている珠洲の姿が珠紀の瞳に映った。















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あとがき

かなり・・。本当に久しぶりに書き上げてます。

今回は緋色のメンバーが出てますね。