どうしてだろう?こんなにも胸が痛い。
心が苦しい―――。
会いたくて 会いたくて。
けれど、それも許されない気がして体が動かない。
貴方の微笑み、貴方の声。
ずっと ずっと欲しかったのに――――。
今は、こんなにも遠い存在に感じて
私は貴方の傍にいてはいけないような気がして。
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「・・・・・・」
「・・・・・・」
一瞬、本当に一瞬沈黙が部屋を包み、克彦さんと私は見つめあう。
さらりとカーテンが風になびいて、克彦さんの銀色の髪を撫でた。
「先生は、用事で今はいません」
「・・・・見れば分かる」
いつもと変わらない口調、そっけない態度に心の中で苦笑し
そっと視線を落とした。
私のその行動に、克彦さんの顔が一瞬険しくなったのを
このときは知らなくて。
「・・・・・・・壬生先輩、どこか怪我でも」
「それ以外何があると?」
「そ、そうですよね・・・」
ぎろりと睨みつけられ慌てて別の言葉を捜すが
うまい言葉が見つかることは無くて、再び沈黙が辺りを包んだ。
「・・・体調は、大丈夫ですか?」
「ああ・・・・」
ほっと胸を撫で下ろす。家に駆けつけた時は、心臓が止まるかと思った。
青白い顔、開くことの無い瞳。
今思い出しただけでもぞっとする。
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俺の体調を尋ね、「大丈夫」だという意図の言葉を俺が口にして返した瞬間
こいつの表情が和らいだことに、なぜか頬が緩む感じを覚えた。
(なぜ)
どうして、俺は安堵した?
なぜお前は――――。
「・・・・壬生せんぱ」
「克彦」
「え?」
「克彦だ」
なぜお前は俺を呼んでくれない。
俺を見つめているのに
けれどお前は俺をみていないような気がして。
「でも・・」
唇を震わせ何か言いたげな瞳。
けれど躊躇する言葉に、苛立ちを隠せない。
「俺がかまわないと言っている」
俯いた仕草にも苛立つ。
顎を掴み俺の見つめるようにあげると、揺れる瞳と交差して。
思わず口付けた。
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あとがき
何をいきなりしているんですか~~!(〃∇〃)
手が勝手に動いて結果ですけどね。