「じゃあね」
微笑む君に同じように微笑み手を振る。
そんな僕に君は同じように手を振り替えして走っていく。
君の姿が見えなくなった後、紅く染まる空を眺めながら
シャツをきつく握り締めた。
どれだけ想っても君には届かない。
どれだけ見つめても君は気がつかない。
君は別の誰かを見つめているから
君は別の誰かを想っているから。
その微笑は決して僕だけに向けることなどなくて。
「いっそ、君の全てを奪えるのなら」
どす黒い感情が身体中を駆け巡る。
君を捕まえ、どんなに泣き叫んでも誰の目にも触れさせないように閉じ込め。
僕の全てで君を包み
君に僕を教え込む。
そんな感情を必死に押さえ込んで家路へ急ぐ。
「けれど 」
振り向いても君の姿は見えない。
だけどこの感情を抑えることが果たしてずっと出来るのだろうか?
もうこの感情を抑える力すら僕には残っていない。
君に嫌われたくない。
君に嫌われてもかまわない。
「明日会っても同じ顔を出来るだろうか?珠洲」
僕の言葉は暗くなり始めた世界に解けていく。
翡翠の雫 天野亮司
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あとがき
なんだか、タイトルとあってない内容のような・・・。
一応克彦×珠洲←亮司ってイメージで書いてみました。
誰も話してないけど。