目の前に広がる風景に戸惑いを覚えたのは分かる。
この風景は、かつてのこの村の風景で、
そこに住む村人達の姿は幸せそうで
私の前を通り過ぎていた。
突然現れた人は
彼女の心を奪い、彼女の世界の中心になった。
けれど、その人に心の奥にあったのは別の人で、
彼女の純粋な想いを彼も受け入れ、
これからの世界が広がった瞬間、
あの時、赦せたら
あの時、信じていたら
全ては変ったのかもしれない
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「珠洲!」
聞こえた声に全ての意識が戻る。気がつくと
克彦が珠洲を庇いながら、小鳥の攻撃を避けていた。
「何を呆けているんだ。お前は」
呆れた口調の克彦の言葉に
珠洲は何も言い返すことが出来ず、もう一度
小鳥へ視線を向ける。
人としての姿は消えうせ、異形の形になってしまった小鳥に
珠洲は言葉をなくした。
「・・・・・」
ちらりと飛鳥と澪の方へ視線を向ける
二人は何も言わず小鳥の攻撃を避けているのが見える。
残りの守護者達も小鳥の攻撃に、宝具で防御し、攻撃を仕掛けるが
中々小鳥にダメージを与えることは出来ない。
「珠洲・・・。どうした?」
「・・・・違う・・」
「珠洲?」
克彦は腕の中で呆然と飛鳥と澪を見ている
珠洲に声をかけると、珠洲は小さな声で何か告げている。
しかしあまりにも小さな声なので上手く聞き取れない。
「珠洲・・・どうした」
「克彦さん」
見上げて何かを伝えようとした珠洲に
克彦は視線を同じように、珠洲が見ている
場所へ向けた。
そして一瞬見た光景に、眉を寄せた。
「なるほど・・・」
「私・・・」
「まんまと騙されたな」
「兄貴!ねーちゃん!」
小太郎の声が響く
克彦が振り向いた瞬間
珠洲と克彦の目の前に、小鳥が放った刀が迫ってくる
「「珠洲!」」
「兄貴!」
「姉さん!」
守護者の悲痛な声が部屋を包んだ瞬間
爆風が辺りを包み込んでいた。