三日月のパズル 新たな旅立ち(2) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

(あの女だ)


それが彼女と確信できるものなど無い
しかし、断言できる。
この声は彼女の声だと
森の奥へ入っていくと、湖がぽっかりと口を開いている
そこに佇んでいる人物
三蔵が探していた彼女、咲弥だった。
咲弥は、湖の上をまるで渡るようにして軽やかに踊っている
彼女の周りを小鳥達も寄り添い踊っているように見える
つま先が湖へ触れるとぴちゃんと雫がとび
幻想的な光景に三蔵は足を止めて見つめることしかできなかった
それは、追ってきた三人も同じで
彼女の伸びのある歌声と、軽やかな踊りに心を奪われた。


パキン


枝が折れる音と同時に咲弥の周りにいた小鳥達が一斉に飛び立つ
咲弥は湖畔の傍へ視線を向けると
呆然として自分を見ている三蔵たちの姿を目にした
咲弥は微笑みながら、湖の上から
三蔵たちがいる場所へと足を向けた。


「また、会いましたね。三蔵法師様」


「・・・・・」


咲弥の声に我に戻り、見つめるがどういった言葉をかければいいのわからない
それは他の三人も同じだったようで
声を出すこともできない


「三蔵様?いかがしましたか?」


「・・・なんでもねェ」


「そうですか」


ぶっきらぼうな三蔵の言葉にも代わらない声色で答える咲弥


「なあ!なあ!」


「どうしたの?」


「オレ!悟空!孫悟空っていうんだ!名前は?」


「悟空くんね。私は咲弥よ。葛城咲弥」


「咲弥か。よろしくな!」


「何抜け駆けしてんだよ。猿は。オレは沙悟浄よろしくな
咲弥チャン」


「ええ、悟浄さんね」


「僕は猪八戒といいます。こちらが」


「玄奘三蔵だ」


「はい、よろしくお願いします。八戒さんに三蔵様」


次々と挨拶を交わす四人に同じように笑顔で答える


「・・・・おい」


「なんです?」


「街での質問に答えろ」


「それには、オレ様が答えてやろうか?」


光の玉が現れ声が聞こえる
それがやがて人型へと姿を変えていく


「・・・・・やはり・・・行かなければ駄目?」


人型になった人物
それに咲弥は初めて瞳の色を悲しみの色に染めた。